イスラエルの聖書的視点
2月
17日
演題は「イスラエルの聖書的視点」
パンフに載せた紹介文は、
「ユダヤ人は今日でも選民と言えるのでしょうか?今も約束の地としてあの地をイスラエルに与えていると聖書は教えているのでしょうか? 置換神学とは? 二契約神学とは? 今年11月に行ってきたイスラエル旅行を報告しながら、聖書が教えているイスラエルとクリスチャンを通じての神の全人類救済計画について確認します。」
以下はPPTによる原稿です。
Ⅰ.イスラエル国の概観
①現在のイスラエル
人口:770万人、政治形態は共和制、
主な宗教はユダヤ教(キリスト教は2.1%)
②聖書のイスラエル人観
「聖なる民」、「選ばれた、宝の民」(申命7:6)
「選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民」(Ⅰペテロ2:9)
*Ⅰペテロは、ディアスポラのユダヤ人に充てられて書かれたものである。
*これを「教会」や「クリスチャン」に置き換えて解釈してきたキリスト教会の伝統がある。この立場が置換神学である。
③イスラエル建国への経緯
*19世紀のシオニズム運動。ロシアやポートランドでのポグロム(ユダヤ人虐殺)との反ユダヤの欧州から祖国に帰還するユダヤ人が起こされた。各地でのキブツ・共同体の形成。
*ナチスによるホロコーストで600万人の虐殺数十万のユダヤ人難民の受け入れのため、1947年、国連パレスチナ分割案。
1948年、テルアビブにてイスラエル建国宣言。
周囲のアラブ諸国の侵入・独立戦争、1949年に停戦。
④イスラエルの現状
*2012年11月。国連総会でパレスチナ政府を「国家」に格上げ議決案の採択
*ガザを支配するハマスはイランから長距離ミサイルを輸送、テルアビブやエルサレムが射程距離内に入る
*周辺アラブ諸国の不安定。エジプトのムルシ大統領はムスリム同胞団(ハマスの母体)出身で、シャリーア(イスラム法)をベースにした憲法修正案を提出。
*イスラエル国内のメシアニックジュー。
約1万人。それでも建国時の数人から現在は飛躍的な増大。信教の自由が保障されているが、ユダヤ教正統派からは嫌がらせ等の迫害がある。
Ⅱ.聖書の舞台の地・イスラエル
*イスラエル人(ユダヤ人)とは?
*聖書のどこからイスラエル人物語が始まるのか?
*アブラハムの生まれ故郷とはどこか?
*どこに行くようにと告げられたのか?
*神の御告げは、契約の形をとっている
~アブラハム契約 創世記12章1~3節~
「12:1 主はアブラムに仰せられた。 「あなたは、 あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、 わたしが示す地へ行きなさい。
2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、 あなたを祝福し、 あなたの名を大いなるものとしよう。 あなたの名は祝福となる。
3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、 あなたをのろう者をわたしはのろう。 地上のすべての民族は、 あなたによって祝福される。」
Ⅲ.アブラハム契約の概観
~命令形が2度、それそれに付随する祝福が3度出てくる~
1.「行きなさい」(1節)
①A.は大いなる国民(=イスラエル)となる
②A.は神の祝福(霊的にも物質的にも)を受ける
③A.の名は大いなるものとなる
2.「祝福の基となるように」(2節・新共同訳)
①あなたを祝福するものをわたしは祝福する
②あなたをのろうものをわたしはのろう
③地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。
*それはA.の子孫であるメシアを通じて成就する(イザヤ42:1)
*異邦人が霊的祝福を受ける基盤がここにある(ガラテヤ3:8)
~アブラハム契約の締結 創世記15章7~18節~
7 また彼に仰せられた。「わたしは、この地をあなたの所有としてあなたに与えるために、カルデヤ人のウルからあなたを連れ出した主である。」
8 彼は申し上げた。「神、主よ。それが私の所有であることを、どのようにして知ることができましょうか。」
9 すると彼に仰せられた。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩とそのひなを持って来なさい。」
10 彼はそれら全部を持って来て、それらを真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。しかし、鳥は切り裂かなかった。
11 猛禽がその死体の上に降りて来たので、アブラムはそれらを追い払った。
12 日が沈みかかったころ、深い眠りがアブラムを襲った。そして見よ。ひどい暗黒の恐怖が彼を襲った。
13 そこで、アブラムに仰せがあった。「あなたはこの事をよく知っていなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。
14 しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしがさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。
15 あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬られよう。
16 そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることはないからである。」
17 さて、日は沈み、暗やみになったとき、そのとき、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、あの切り裂かれたものの間を通り過ぎた。
18 その日、主はアブラムと契約を結んで仰せられた。
Ⅳ.アブラハム契約の特徴
*聖書の契約概念の骨組み、人が救いを得るための土台
*創世記には繰り返し22章まで7回に出現。
*3大条項
①土地に関する契約
②子孫に関する契約
③祝福に関する契約
*片務契約であり無条件契約
*永遠の契約
*ゆえに現在も有効である