ギリシア人の物語(Ⅱ)・・・塩野七生著
5月
10日
塩野七生著「ギリシア人の物語Ⅱ」
去年、第一巻が発売されて以来約一年。
第二巻が発売された。
なかなか深い内容であり、
連休にじっくり読むにはふさわしい一冊だ。
第一巻では、民主性を高度に発展させた都市国家アテネが、
同じ都市国家のスパルタとともに、
当時の巨大帝国「ペルシア」の大軍を、
はるかに少数の軍隊で二度にわたって撃破した物語だった。
民主制の勝利を語る内容だった。
その後のアテネの命運が描かれているのですが、
まず高度に発展した民主性が徐々にむしばまれて、
強烈なポピュリズムが台頭する。
衆愚政治へと流れていき、
指導者がころころと変わっていく。
それによって当たり障りのない人物が残っていく。
そしてアテネ崩壊の鐘が打ち鳴らされる。
沈滞した雰囲気を一掃しようという民衆の戦争への熱狂。
作戦の崩壊と撤退を認めない民衆の怒り。
ついには戦線の崩壊と総力を挙げた軍隊の全滅。
そして行き着いた先が地中海の覇者としての地位からの転落。
すべてを失って施しを受けるがごとき民衆の生活。
これがアテネ崩壊の道筋だった。
ポピュリズムの怖さに警鐘を鳴らす一冊となっている。
なにやら現代に通じるものを感じた。
世界を見渡すとそんな空気が充満してきてるのではないか・・・。
投稿日 2017-05-10 20:58
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2017-05-18 09:34
ワオ!と言っているユーザー