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4x4 走り方の違い

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ISUZU D-MAX #11... ISUZU D-MAX #117
僕にもう少し腕前と度胸を足せば、マシン的には10位以内を楽々走る性能がある。
ハイリフトされたブレイザーK5... ハイリフトされたブレイザーK5
350Wのスピーカー搭載で、河原の草原も夜の渋谷も走ることができるおバカマシン。
BMW傘下時代の上品なV型8気... BMW傘下時代の上品なV型8気筒NA エンジンを搭載した3rdレンジ。
走る応接間。
4インチリフトにボディーリフトを加え、大げさなブロックパターンを持つ巨大なタイヤを履かせたブレイザーK5は、強大なエンジン出力を使いながら地面を描きむしり強引に坂を上るタイプ。
なりふり構わずの暴力的な4x4は、後続車両に快適な路面を残さない。
そして巨大なその姿は、周囲を威圧する戦車のようだった。

それに対して、BMW傘下時代の第三世代のレンジローバーは、坂道の手前で加速なんか必要としない。
賢い電子制御に任せれば、カツンカツンとグリップしないはずの扁平タイヤがゆっくりと路面を掴み静かに上っている。
路面も荒らさず、応接間のような豪華な室内からコマンドポジションを取れば、前後のタイヤも目視することができる。
理にかなった、戦闘力のあるオフローダー。

この2台は全く違う性格を持ちながら、超ド級の走破性を兼ね備えていたし、僕は実際に惜しげもなくオフロードコースに持ち込んでいた。

思えば東京時代の僕は、週末の深夜になると、当時未舗装だった富士林道を、クラウンのセダンやシビックでスタックさせずに登ることを遊びにしていた。
富士山といえば、火山灰やら火山礫の塊だから、雨が降れば道路上に深い溝ができる。
元々大きなギャップのある路面の上、落石や崖崩れも頻発する。
そんな状況の漆黒の闇の中を、ノーマルのヘッドライトを頼りにライン取りだけで、もちろんボディーにも傷を残さぬように5合目まで登ってしまうのだ。
スタックさせる気など毛頭ないから、ロープも板も持っていない。
夜明け近くに5合目付近で、降りてきたランクルのコンボイたちがすれ違う時には目を丸くしていたのを思い出す。

免許取りたてのガキの頃、北海道で親父のブルーバードを持ち出しては、かってに林道を走っていた。
場合によっては藪漕ぎもしたし、ローでは滑りセカンドでは登り切れない坂もあったが、何とか生き延びた。
何せ、バイアスのノーマルタイヤだから、テクニックでグリップを得る方法は何でも使う。
スタックさせてしまったら、歩くとしてもたっぷり1日は民家にたどり着けない場所もあるし、ヒグマに出会う方が簡単な場所だってある。
だからスタックはさせない。

北海道の半年間の雪道は、いつも表情を変える。
水と氷の境目、プラス0℃なのかマイナス0℃なのかの見極めは、運転にとってものすごく重要だし、黒い氷なのかアスファルトが出ているのかの判断も運転を大きく左右する。
まるでスキーゲレンデのようなギャップ、グジャグジャにかき混ぜられた雪、深く刻まれた轍。
生活の中に、路面の変化は何だってある。
要するに、目視確認する能力と洞察力、瞬間の判断力が運転に大きく影響する。

だから、アジアクロスカントリーラリー2019で、全てのLEGをドライバーとして走らせてもらった時、僕は初出場ではあるけれど懐かしさと「帰ってきた」という感覚が込み上げてきた。
泥も岩も水も、程度の違いこそあれ、駆るマシンは父親のセダンではなく専用にチューンナップされたレースカーなのだから、運転自体は楽ちんに決まっている。ただし、そのアドバンテージをスピードに転嫁するには、とてつもない体力と精神力が要る。
ともあれ、初出場の不安は、走り出した瞬間に全て快感に変わったのは間違いない。

今回与えられたT12クラスのISUZU D-MAX #117は、完璧なマシンだった。
サスペンションのチューニングは、適度に伸び、衝撃を吸収し、高速セクションも粘るが、不必要に硬くなく、ジャンプさせるようなシチュエーションでも不安なく収めてくれる。
そして、予想を超える入力を入れてしまった場合でも、サスペンション関係すべての部品がきちんと動作し破壊される事がない。
最終的には、抜群に強化されたサスペンション周辺の強度そのものが、走りの姿勢を崩させない。
ラフな走行をしてこのサスペンションを壊そうと思っても、先に壊れるのは乗員2名だろう。
見た目の派手さではなく、トラクションを重視して選択されたタイヤはいつもグリップを失わず、強力なブレーキを入れても、なかなか音を上げない。
エンジンは低中速域重視のセッティングで、これまた信頼性が高い。
細かいことを言うと専属のメカニックがいてくれたおかげで、各部の泥落としをやってくれていたので、ブレーキや冷却性能は最後まで新品状態だったし、ウィンドウの撥水処理やワイパーブレードの性能確保も完ぺきにやってくれていたので、常に視界が確保できていたのは、他の車両の映像を見る限りではどうやら大きなアドバンテージだったらしい。

このマシンンの性格は、おバカなブレイザーK5と、お上品なレンジローバーとの中間。
一気に行くところは、行ってしまわないと、頭のいい電子デバイスが守ってくれるわけではないけれど、多少無理して難所に侵入しても、受け入れてくれるタフな基本性能が抜群に心強い。
これはあくまで性格的な話であって、実際の走破性は僕がこれまで乗ったすべてのクルマの中で最高レベルだ。
おバカブレイザーK5で同じことをやれば、車軸がひん曲がります。(経験あり)

こんなマシンをガキの頃に北海道で乗ることができたなら・・・
いやいや、特定保護区で事件が起きてなくてよかったかもしれない。
#117号車 #2019 #アジアクロスカントリーラリー #ドライバー

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