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現代詩の小箱 北野丘ワールド

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朝4時に目覚めて

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朝4時に目覚めて
眠っている夫に眠れないのというと
ううんと返事が返って来て
また寝息をたてた
起き出して
窓を開けると
湿った空気にもう蝉が鳴いている
昨日階段で踏みそうになった
死んだ蝉
まじまじみると怖かった
お腹の蛇腹
羽根の模様
何億年ものその眼に
私の姿は映らない
命のするべき懸命さを
わたしはしているだろうか
買い物袋は軽い
そう来年は還暦だ
なんとか生きのびた
生きのびただけで
本当に生きたといえるか
なにもしたくない病と
キーボードを集中して叩く
詩作とが交錯する
まだら模様の人生だ
いつだって子供がいない
昔々のおばあさんになるのだ
おばあさんのさびしさは
いとおしいと知った
二杯目のアイスコーヒーを
ごくごくと飲む
コップから雫が
千年の時のようにぽとりと落ちた

#感情

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新詩集『字扶桑』ついに出版!

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 財政難で諦めていた詩集『字扶桑』。ついに、ブログル仲間の齋藤氏の和綴じ製本で、これしかない、今しかないと出版に踏み切りました。詩人にやさしい価格でした。 
 美しい雪景色でありながら、温もりを感じさせる表紙と和綴じという製本にみなさんから驚きと称賛の感想が次から次へと舞い込みました。
 詩集は、若返りの不思議な伝説を生きる、架空の寒村の物語である第Ⅰ部と、言葉とポエジーを考察した、やや観念的な第Ⅱ部、詩人の日常を描いた第Ⅲ部から構成されています。第Ⅲ部は読みやすい最近作をまとめましたが、Ⅰ・Ⅱ部は構想12年、コツコツと書き溜めてきたものをようやくまとめました。不思議な読書体験をしたという感想がきています。
  ツイッター・メルカリで販売しています。興味のある方、どうぞよろしく!
#北野丘日誌

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派遣を突然打ち切られ

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 昨年12月に日誌を投稿以来です。ずいぶんとさぼっておりすみません。実はやっとデータ入力の仕事に慣れてきた今年の3月末で突然派遣終了となってしまったのである。寝耳に水!
 それが3月中旬に派遣先で来月のシフトを出さなきゃいけないので、提出書類をくださいといったところ、「北野さんは派遣会社から連絡がないのでお渡しできないんです」と言われた。聞いてないぞ! と、まさかという不安な気持ちとなんの連絡もない派遣会社に怒りを覚えながら連絡すると、案の定派遣切り! 派遣先から言われる前に連絡しろよと思った。幸い、再離職ということで9月まで失業保険がでる。それでなんとか仕事をみつけるつもりでいるが、このコロナ禍、仕事にありつけるのか心配である。
 そこで昔簿記3級をとったまま、棚ざらしにしており、まったく忘れてしまった簿記の勉強を始めた。事務のキャリアが少ないので簿記を勉強しなおして、何をするのかよくわからない一般事務から経理事務に移ろうと考えているところなのである。
 果たして、北野丘59歳。人はあと1年で定年だというのに勉強をしているわけであるが、再就職できるか否か。しかし仕事しないと食べていけないし、エッセイ集も出版したいし、老後の資金も貯めねばならぬのであった。なにがなんでももぐりこまなくてはいけないのである。詩人という身を隠し社会に潜入するのである!
#北野丘日誌

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壁に私の詩が
黒で大きく書かれていた
昔の職場の、詩には無縁のはずの
しかし40歳過ぎても
髪を金髪に染めるあなたが
私の詩を手直しするという

それは行の冒頭を赤で彩色し
最終の一連を縄跳びさせる
そんな動く筆だった
私は驚き、詩に動きがでるねと感心し
しかしプライドが
これ以上手をいれるとうるさいねと言わせた

いつのまにか壁は
若者たちが集まり
自由な筆で塗り替えられ
私の詩は消され
カラフルな色が奏でる
アートの様相を帯びていった
わたしも太い筆で青をいっしんに塗り
髪も青にまみれていった
金髪のはずの彼女も髪が青に濡れていた
そして、いつもこうするのと
いきなり歯を黒い墨で塗りだした
それを見た私は、堰を切って
私にも! といった

拒絶の赤が
情熱の赤と同じだと気づいた時
指を髪を服を汚す絵の具が許せた
花のように拒絶してみたい
あなたを赤で


#感情

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#鏡詩

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母は子供をか可愛いとは
一度も思わなかったと言った
娘の私は大人になって
女友達より
男の人と多くの時間をすごした
だって抱っこしてくれるから

最近母が
泣きながら娘の人生を
何も考えなかったことを
泣いてあやまる

そろそろ許すか
鏡に映った顔が
母に生き写しなってきたから
#MYDEAR

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映画詩

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25年前
夫と付き合い始めたころ
熱海に
行きましょう
と言われた

私は頭の中で
ぐるぐると
やってくるものを考えて
胸が高鳴った

しかし
それは
つかこうへい監督の映画
「熱海殺人事件」を
一緒に見に行こうという事だった
#MYDEAR

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音詩

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音詩

函館にいたころ
休みの日には
よく元町へ出かけた
金森商店の建物のなかで
円筒形のオルゴールの音を聞いた
ひとりで子守唄のように聞いた
ひとりでいることは
平気だったが
わたしを
あやしてくれるものを
いつも心は必死で
探し求めて
いるようだった

17歳のころ


#mydear

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午後2時に起きて

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 12月2日から派遣のデータ入力の仕事を始めて一週間が昨日やっと終わった。なんとか続けられそうでほっとして缶チューハイを二本開けた。しかしながらダンナは土日仕事なので10時半には床に就いた。私は自分へのご褒美感が残り、またこの頃寝つきが悪く、昨日も12時近くなっても眠れず、起きだして日本酒を飲み始めた。ツイッターで故郷北海道道南の方言と青森出身の人の方言に共通性があって盛り上がり、お酒もどんどん飲んでしまった。またその人が詩誌marubatuを創刊したのでパーティーをしようということがツイッターに残っていた。外で飲むと皆忘れてしまったりするが、ツイッターしながら飲むと記録に残ることがなかなか良いなと思ったりした。
 そして夜中2時ごろに眠り、朝6時に起きてダンナの朝食とお弁当を作り、見送ったあとひと眠りしたらしく目覚めたのは午後2時であった。トーストを食べながら福山雅治の福のラジオを聞き、二時間ほど詩が思いつかないかこたつであれこれ回想にふけったが作品にまとまるまでには至らなかった。
 そうそう再就職手当は同じ事業主に雇用された場合でないということを見落としていた。ああ、これで期待むなしく再就職手当はやはりもらえないことが判明した。私の場合そううまく事は運ばないのが常であるのだ。
 野口五郎のコンサートはよかった。2階席で目が悪いので顔が見えなかったのは残念だったが「アドロ」という愛の唄を生で聞けたのは嬉しかった。ファンもみな大人になってしまったので、靜かに聞いていた。そうしたら五郎がここできゃーと叫んでもらわないと歌えないという要求があって、会場じゅうがキャーという叫びに包まれた。わたしもここぞとばかりにきゃーごろーと叫んだのは言うまでもない。これも初めての体験だった。
 遅く起きた今日は祭りの後の寂しさで、誰かと話がしたくなったが、龍生塾の時の友人はたぶん鬱で電話にはでなかった。そんなことでこのブログを書いて、孤独を癒すことにした。
#北野丘日誌

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野口五郎コンサートへ行く

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 今日11月30日(土)は神奈川県ホールで5時から開演する野口五郎のコンサートに行く。去年の今頃もチケットを買っていながら足の甲を骨折して行けなかった。今年こそは行こうと心に決めていたのである。中学時代、歌唱力抜群の野口五郎のファンになったが、田舎のこととてコンサートに行くなんて考えられなかった。レコードプレーヤーも家が貧しかったので持っておらず、レコードも買えなかった。そうして大人になるにつれ五郎のことは忘れて生きてきた。
 ところが、にわかに野口五郎活動を始めたきっかけは、西城秀樹の死去に伴って五郎の弔辞に胸打たれたからであった。それからYouTubeで五郎を検索しては聴き三昧していたのである。若いころのルックス・衣装がたまらなく良かった。
 今回のコンサートでそれを要求はしない。おそらくギターを弾きながら大人の歌を歌ってくれると期待している。実はコンサートに行くのは2度目である。一度目は20代のころ、米米クラブのコンサートチケットを行けなくなったからと貰っていったのが初めてだった。自分の意志で行くのはこれが実質初めてなのである。野口五郎は青春そのものである。もうどきどきである。では、行ってきまーす!
#北野丘日誌

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秋の広場

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おはよう
壊れた カタツムリの殻の水浴び
おはよう
レールに光る ヤモリの夢の轢死

裸の背をかけのぼり
あおむけに影はたおれて

てのひらの乳房が
寒気に立つ方角へと
魚たちがまつげを叩いていく

何をなして
ここまで来たのか
人でなしの言葉でうろついて
秋がきても冬がきても帰らなかった

木の葉の虫食いたちが
ざわめいている
等しくひかりを受けるがいい

広場の隅にオスカー・ワイルドの
ぼろぼろの「幸福な王子」が
詩の彫像のように立っているのがみえる
つばめがくわえて飛び立った
青いサファイアの瞳が
地上を誰のものでもないまなざしにする

おはよう
うぶ声をあげる たて髪の幽霊
おはよう
くだけ散る 遺失物の散歩道

1013年冬
#現代詩図鑑

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