朝4時に目覚めて
8月
11日
眠っている夫に眠れないのというと
ううんと返事が返って来て
また寝息をたてた
起き出して
窓を開けると
湿った空気にもう蝉が鳴いている
昨日階段で踏みそうになった
死んだ蝉
まじまじみると怖かった
お腹の蛇腹
羽根の模様
何億年ものその眼に
私の姿は映らない
命のするべき懸命さを
わたしはしているだろうか
買い物袋は軽い
そう来年は還暦だ
なんとか生きのびた
生きのびただけで
本当に生きたといえるか
なにもしたくない病と
キーボードを集中して叩く
詩作とが交錯する
まだら模様の人生だ
いつだって子供がいない
昔々のおばあさんになるのだ
おばあさんのさびしさは
いとおしいと知った
二杯目のアイスコーヒーを
ごくごくと飲む
コップから雫が
千年の時のようにぽとりと落ちた
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