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"#現代詩図鑑"の検索結果
  • 秋の広場

    おはよう 壊れた カタツムリの殻の水浴び おはよう レールに光る ヤモリの夢の轢死 裸の背をかけのぼり あおむけに影はたおれて てのひらの乳房が 寒気に立つ方角へと 魚たちがまつげを叩いていく 何をなして ここまで来たのか 人でなしの言葉でうろついて 秋がきても冬がきても帰らなかった 木の葉の虫食い...
  • 洋食のからす亭 函館梁川町電停前

    信号が (●)(○) 変わりますとパッポウが鳴く ここはどこの ふかい海峡 ゆらり曲がる 函館元町十字街 レールをゆく深海魚 ゆけるまでしかゆけない愛しい市電 とける太陽をゆっくり光らせ (あとは知りません 旧家の娘が 幻のドックでスカートをひるがえす 金森商店の土蔵で 真鍮の円筒オルゴールが止めば...
  • 其丈で済む

    ある日、別居中だった夫のアパートを朝帰りの女のように、 そっと出ると、ふいに女の耳には駆け寄らずにはいられなく なる、ある種の高い音域に捉われて、私は小走りした。 タンポポが咲く駐車場と、子供の姿をみない高層マンションの 広場の角を、急ぎ越すと視界の中にバサバサした綿屑のよう なものが飛び込んできた...
  • くつがえされた玩具郷

    扇状地を いくつもの河川が 夢みる侵入のように蛇行し とり残された三日月湖は 緑のまま、まばたきもしなかった わたしたちは声を失って 人形(あのこ)は何も映さない瞳になって 人形(あのこ)は後ろに首をかくんと折れて 花は冷えて 人に愛されなければ 人に畏れられなければ この世にはなにひとつ存在しない...
  • 万人の幸福饅頭

    廃庫となった車両倉庫の 引き込みレール跡のどん詰まりに 事務所はあった 背中にモッコはあるのか はい それだけはなんとか 万人の幸福という 饅頭を仕入れにきた 赤いのぼりには 千個売ったら一モッコ それは使命とあった 万人の幸福と銘打つ それでハピー 違うかね 千個売ったら使命は終わり 死んでいい ...
  • あかる小石

    夕陽の橋を 渉らなければ よかった あんなにも 見つめたりしなければ よかった 橋のまんなかで 爪まで小焼け かなしくないのに うまれてはじめて涙ながれた まんなかでは つむったまま 小石を渉ればつめたくて 心地 いいでしょう 髪の毛も さぞひろがるでしょう かなしくなくて 石のひとは ひとよりふか...
  • 白筏

    冬の電車で、連結器近くの座席に腰掛け、視線を少しばかり泳がせると、合わせ鏡のような隣の車両には誰もいなかった。 ただ一定の方向に進んでいるに違いはなかったが、ここを基点に果てしなく両側が、どこまでも延びているのではないかという奇妙な感覚に囚われた。 目的地がどこであれ、こうなってみると、どこかへ向か...