記事検索

現代詩の小箱 北野丘ワールド

https://jp.bloguru.com/cue0529

フリースペース

秋の広場

スレッド
おはよう
壊れた カタツムリの殻の水浴び
おはよう
レールに光る ヤモリの夢の轢死

裸の背をかけのぼり
あおむけに影はたおれて

てのひらの乳房が
寒気に立つ方角へと
魚たちがまつげを叩いていく

何をなして
ここまで来たのか
人でなしの言葉でうろついて
秋がきても冬がきても帰らなかった

木の葉の虫食いたちが
ざわめいている
等しくひかりを受けるがいい

広場の隅にオスカー・ワイルドの
ぼろぼろの「幸福な王子」が
詩の彫像のように立っているのがみえる
つばめがくわえて飛び立った
青いサファイアの瞳が
地上を誰のものでもないまなざしにする

おはよう
うぶ声をあげる たて髪の幽霊
おはよう
くだけ散る 遺失物の散歩道

1013年冬
#現代詩図鑑

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ
ハッピー
悲しい
びっくり