古い翻訳版は安い:名作読書
2月
21日
私は電子書籍での読書を紀伊国屋書店のアプリ「KInoppy」で楽しんでいますが、最近、至極当たり前のことに気付きました。それは翻訳書籍の場合、「古い翻訳版の方が価格が安い」ということです。
そんなことを何も考えずに、『カラマーゾフの兄弟』が上中下巻あわせてたったの「160円」だった時、大急ぎで購入ボタンを押したのですが、いざ開いてみると、言葉が古くて、非常に分かりにくい――それもそのはず、私が購入した中山省三郎氏訳版は1937年に訳されたものでした! 戦前か…。
冷静になって、この本にどれだけの翻訳版があるのかウィキで調べてみると
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・原卓也訳 新潮文庫
・亀山郁夫訳 光文社古典新訳文庫
・米川正夫訳 岩波文庫 全4巻
・米川正夫訳 河出書房新社
・小沼文彦訳 筑摩書房
・原卓也訳 新潮社
・池田健太郎訳 中央公論社
・江川卓訳 集英社版
・北垣信行訳 講談社版
・中山省三郎訳 戦前の三笠書房版
・原久一郎訳 旧新潮文庫
・米川和夫訳 集英社
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やはり新しい訳版になるにつれ、現代日本人に理解しやすい日本語になっており、それと共に値段もアップするようです。ちなみに、2011年に発売された亀山郁夫氏の訳版は全巻で4500円。私の払った「160円」の約28倍(^^!)。
私の160円の戦前訳版では必然、現代人があまり使わないような単語や言い回しが頻出するため、辞書で調べながら読書を進めることになります。
例えば「鹿爪(しかつめ)らしい」なんていう単語が何度も出てきますが、私はこの意味を知りませんでした汗。調べてみると、「真面目くさった」「堅苦しい」という意味。しかしもう1カ月間この本を読み続けているうちに、私の中では当たり前に使う言葉になってきました。
古い本を読むのは難儀なことですが、こうして1カ月間古い日本語と付き合ってみると、外国語を学んでいるような刺激を感じます。160円で言葉の時間旅行が楽しめるなら、それも良いことかもしれませんネ。