なぜだろう 時間があると思えば 詩を書くことは遠ざける 僕は何かと闘っている時 発したい言葉がある 胸にある思いのメモ帳を めくりだすのだろう 冬を忘れさせるほどの陽ざし 空の向こうには明日が待つ 今年も 何かと闘ってゆくのだろう そう思うと詩を書き出していた
避けたつもりが 見抜けなかった自分の穴 落ちた底には紙一枚 記された『危険』の文字 気色悪さに壊し始める 紙がクシャクシャと笑い 僕は血に染まった玉となり 必死に逃げようとする 放り出そうベランダの向こう 最初から存在しない夢 やけに眩しく誘う 青を欠いた崩れるカラダ 最後の力も及ばず 手すりも遠く笑って 懐かしい筋肉が触れたのなら 摑まえる痛みの温もり 物干し竿にぶら下がった紙一枚 記された『馬鹿なことをして』の文字 人肌の雨が落ちている 「姉さん、僕はまだ生きているのかい」 「生きているわ、しっかりしなさい」 瞼を閉じれば浮かぶ紙一枚 記された『ごめんなさい』の文字 光に泳ぐ塵埃 「姉さん、僕は死にたくないよ」