夕暮れのラッキー 真っ赤な太陽に うわっ と、瞳を大きくする 場所と時間を合わせれば そりゃ、素敵に出会えるさ でも僕は偶然のラッキーに とても喜びを感じる ラッキーは 生きていてよかったがある わかりやすい幸せ たまたま その時に君を見つけ 手を繋いだラッキーに ふたりが真っ赤に染まる 最高のラッキー!
動くLED電光掲示板 繰り返すオススメの文句 一向に進まない世界に 通り過ぎてはため息をついて あなたは心が揺れることに 強くありませんから 昨日と違う今日と思い込んで 私のマンネリズムも勘違いされて ところで 上手に歩いていますか 上手に存在していますか 飽きもせず自分をしていますか あなた自身を繰り返し 変わるのではなく 足し算することの方が多いのです さあ明日もお会いしましょう 私と同じようになぞる板で 滑りながら繰り返して
溺れやしない 安心の浅瀬が続いて 僕らは手を離さずに歩く 伝えたい言葉すら 忘れてしまうくらい素敵で 君の描いた絵を進みながら 僕は幸せを噛みしめ 想い出の涙に揺れている ゲンジツ・ハ・スデ・ニ・ユメノナカ マドロム・ハ・イマ・ヲ・ウミノナカ ケド・ムジョウ ソレ・ハ・ムジョウ サメル・ムジョウ 到達してゆく 儚き果てある床(とこ) ユメ・ハ・スデ・ニ・シニハジメ ウミ・ハ・ドコ・二・キエテユク 幻で堅めた君の抜け殻は いとも容易く哀れに埋もれてしまう ただシーツを握りしめていた手 繋いでいたはずの救いは虚しく 冷たく平らであるだけで
昔から犬猫になぜか好かれる だから膝の上に猫をのせていると なんで、お父さんばっかり と、家族にやきもちを焼かれてしまう 学生の頃 学童保育でバイトをしていた時 今日は団地の学童へ行ってください と、言われ初めてそこへ向かった 建物の横には鎖に繋がれた犬がいて 近寄ると懐いてくれて 撫でると気持ち良さそうにしていた すると、部屋の中から 学童保育の先生が出てきて あらっ、驚いた ケンが吠えないなんて初めて そんなこともあるのね と、言われたこともあった 確かに配達のおじさんには メチャクチャ吠えていた 十五年飼っていた犬とも いつも同じ部屋で寝ていたし その前にいた猫も 私のそばにいることが多かった ひとにはそんなに 好かれた記憶がないが どうも犬猫には好かれるみたいだ 私の何が犬猫に好かれるのだろう 言葉にしてくれたら きっと新しい発見があるだろうけど 知らないほうが良いのかもしれない 体臭が好まれるとか 聞かないほうが良いことかもしれない そして、今も猫二匹が 私に纏わりつき 気持ち良さそう寝ているのだから こりゃこりゃ、幸せなことだなあ と、この詩を書いている
夜が明ける前の静けさ 新鮮すぎて怖い空気の中 子どもだった私は親に連れられ 上野駅へ向かう 夏休みになると列車に乗り 母の実家 山形に行くのである とくに嬉しい気持ちもなく 上野駅のホームにしゃがみ込み 自由席の列に並ぶ ドアが開けば走って 座席を陣取る それは子どもらの役目だった 向かい合わせの座席 床に新聞紙をひいて そこに兄と横になってひと眠り この先の長い長い旅路 移り変わる景色にも飽きて 駅弁を食べてしまえば 時間が重く退屈だけが遊ぶ 夜が明ける前 今は冬だというのに あの頃のことを想い出している 静けさの中にある 恐縮した心持ちの器には 自分の足音がカツンカツンと 決められた日程だけ 響いていた
今宵は映画 布団へ入りタブレットを横に 気分にあったストーリーのものを選ぶ これにしようか、いやこっちにしようか 満足できそうな時間や充実を探す 二本の邦画 とくに派手な場面もなく どこにでもありそうな日常 誰にでもある感情を俳優が表現 地味な喜怒哀楽 時間と場所とひとが重なる 感じたことのある空気を感じ 言葉にならない感情を楽しみ ゆっくりと流れていった あのひとは何を考え 何を思っているのだろう 自分の中にもある他人の自分 入ったり抜けたりする映像 どんな映画を見たんだい? そう言われて困るような 映画を二本 記憶からすぐに消えそうな それでいて満足を得た映画を
タイ国は夏だった。 鼻の頭が日に焼けて帰って来たら、やはり日本は冬。 島では、小学生が木の伐採や仏像を掘って仕事をしてる。 ちっとも可哀想なんて思わない。 みんな目が輝いている。 幸せは比べられないが、日本は先進国と言いながらも 住みやすい国なのだろうか……