君はちっとも笑わない 僕は気になってしまう どうすれば笑ってくれるのだろう いろいろ試してみたけど やはり視線は遠く何処かの世界 君が微笑んだら どんなに可愛いだろう どんなに美しいだろう どんなに嬉しいだろう 僕は何も知らない 君が君でいることがちっとも 迷惑だろうか 声を掛けてしまうことは 望まれていないのかもわからない でも君は僕を邪険にしていない 君が微笑んだら どんなに可愛いだろう どんなに美しいだろう どんなに嬉しいだろう 僕は今日も君に話しかける おはよう そう言って微笑むのさ
私が私を振り返らない そんな詩を書いてみたい そしたら詩ではなくなって しまうのだろうか そんなことはない あなたと私を媒介する者になり 真実よりも大事なものが 見えてくるはずだろう 真実以前 加工した思想にはいつも 騙し絵が施され 言葉を使わない詩を書く 誰にも読めない 私にも読めないあなたの詩 あなたが此処にいる いつの日か私を消したその詩を
ひとは難しい 僕も難しい だからこんがらがっちゃう あっち行って考え こっちに戻って考え くるくる回って考え 頭の中は足跡で どんどん黒くなってしまい 最後はすべて黒くなってしまう 訳がわからなくなる頃 考えることにずいぶんと疲れて いずれ寝てしまう そして目が覚めると 頭の中が白くなっている するとまた黒にしたくなるんだ ひとは難しい 僕も難しい だからこんがらがっちゃう
夏に蒸発してゆく僕 駅のホームにうな垂れ やがて水分の抜かれたカラダは ドクロになりカラカラと笑っている 乗り込んだ電車には 音楽も流れていないのに みんなが椅子取りゲームで盛り上がる 終着駅の墓の下までを ゆっくりと座りたいと思っている それは自分が死んでいることに 気付きたくないから 生きてる時の心情を引きずる 僕もそうだ 生きていると信じたい 死んでいないと思いたいくらい 自分を愛してしまう
何を気にして、詩を書いているんだ 誰を気にして、詩を書いているんだ 僕だけの世界にいた時の自由 たいした自由ではないが夢があった 逃げている時間の中だったかもしれないが 気持ちを吐き出すことが素直に 自分らしさに納得できて けして今の詩に幻滅しているわけでもなく ただ僕らしさに彷徨っているだけだ 素直な思いより作品という 読まれることにこだわっている 何を気にして、詩を書いているんだ 誰を気にして、詩を書いているんだ 帰るところへ帰らなくては 詩を行方不明にしないための