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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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僕君 / ぼくきみ

スレッド
「僕はここに居るよ」

そう言ったら

「あんた誰?」

知らんぷりされた

君が僕に飽きた
君は僕でない僕を探すと言って
出て行く準備をした

君は僕でない僕を探しに行くのだから
僕は僕でない僕になって
君が求める僕になろう

僕は君が出て行く前に出て行った

僕は僕でない僕を探すために歩いた
だけどいくら歩いても
僕は僕でない僕にはなれなかった

僕でない僕になれない
僕はあきらめて君の元へ帰った

「僕でない僕にはなれなかったよ」

そう言ったら

「あんたどこ行っていたの?」

君は僕のことを相手にする
もしかしたら
僕は僕でない僕になったのだろうか
それとも
君は君でない君になったのだろうか
まさか
僕は僕で君は君で
僕の君は君の君で君の僕は僕の僕なのか

#詩

ワオ!と言っているユーザー

スレッド
明日の俺が話しかけ
未来が現在の詩を書いている
勾配は文字を転がし
取集に夢中になれば
透明に汚れながら
芸術は黒光りして笑う

動かない昨日

俺の錆びれた関節は
バカになっている
打ち込めない題目に頭を叩く

文字はもう面倒だ
土を捏ねてさえいれば
カタチを崩すことが出来る
壊すことは大事だ
躓く快感をつくるからだ

捨てると面白い
文字がにょきにょきと芽生え
明日の懇願した大木が
原稿用紙の花を開く

萎える萎える詩の花
ろくろっ首になって俺を襲う

未来に頭を齧られて
現在の血は踊り
酸素の少ない成分は
くだらねえ
そう相槌を打ち笑う

#詩

ワオ!と言っているユーザー

愛とは

スレッド
愛を知らぬ者の
愛という言葉は
空気に触れた瞬間
嘘という言葉に変わる

父の口から
愛という言葉を
一度だけ聞いたことがある

母親は俺を産んで
すぐに逝ってしまった
おっぱいを欲しがる
赤ん坊を残して
どれだけ無念だったか
「どうかこの子が
幸せになりますように」
そう願ったことだろう
それが俺の信じている愛だ

父の口から吐きだされた愛の言葉
私の中にあっただろう愛のカタチは
いとも容易く崩れ堕ちた
二十歳の私はまだ愛を知らぬ者だった

戦争を体験している父親世代
愛なんて言葉は小っ恥ずかしいから
吐き出さないのだと思っていた

それは違っていた

愛とは別格の言葉

愛は心のずっと深いところに
途轍もない優しさで燃えている
容易く吐き出し
冷やすものではないと
父から教わった

#詩

ワオ!と言っているユーザー

取捨不能感

スレッド
一貫していないから
いつも頭の中はごちゃごちゃ

過去と未来と現在と
君とお前と貴方と
僕と俺と私と

進まない通勤電車
苦痛を長く感じる時間

曇るガラスに
バツを刻んだら
スカッとするわけでもなく
小さい希望を想像しては
毎日の重なり具合に不満を吐く

夢から遠いところで苦笑い
それでも孤独にむせながら生きる

怒りと不安と寂しさと虚しさ

捨てたはずのゴミを漁るように
捨てれぬゴミに悩むように

ごちゃごちゃの中で
僕はまだ僕を諦め切れていないから
今日も煩雑に生きる

#詩

ワオ!と言っているユーザー

部屋割

スレッド
この家は家族の数と
部屋の数が等しくない
もちろん部屋の方が足りていない
子どもたちに個室を与えると
親の部屋はどこにあるんだ
なんてことになる

お金があれば解決する問題だか
現代を生きていくには
なかなか貯金すらできないのだから
どうにか部屋割をしなければ

ここ数ヶ月
家族間で自分の部屋争奪戦が始まっていた

ネットの環境
エアコンのある部屋ない部屋
広いだの狭いだの
誰の隣はうるさいとか

家族間で溜まっているストレスが
ぶつかり合っては熱烈な感じになってくる
毎日のように顔を合わせていても
普段は言いたいことを遠慮していることがわかる
しかし、討論しなくては家族でもわからない
やる時はとことんやり合った方が良い

けっきょく生活をする場なのだから
話が進まないと住みづらくなる
少しずつ知恵を絞り始め
譲り合いや妥協をしながら
部屋の割り当てが決まってくる

これも子どもらが自立して出てしまえば
このイベントも発生しないのだから
途中から楽しんでしまおう
そんな余裕が出てきた

基本的に私はiPadで詩を書き
布団が敷けて寝れるとこがあれば良いし
なんて扱いやすいオヤジなんだと
自分で思ったりして

やっと部屋割が決まり
タンスや机などの大きなものを運び
その他の荷物は各自でまとめ移動し始める

娘の部屋にお邪魔していた私はロフトに移動
荷物を整理していると

おとうさん
いつもありがとう

おとうさん
たんじょう日おめでとう

カードや写真が出てくる
子どもからもらったものだ
こんな頃もあったよな
我が家にも歴史があることに
ほっこりとしながら
それらを封筒に入れ記念品と書いた

あと何年だろう
こうやって賑やかに過ごせる日々は

親は親として
子どもは子どもとして

家族の時間は過ぎて行く
いつの日か子どもらが今度は親となり
新たな家族として営むことだろう

家族は小さな社会であるけど
それぞれが成長する場所であり
役割を全うしながら
育む時間の大事さを知る場所なのだろう

繋いで行く未来に
微笑みながら荷物を運びだし……

#詩

ワオ!と言っているユーザー

詩集

スレッド
『詩集』 齋藤純二


詩集は小説に比べて売れる書物ではなく、書店に置かれることも少ない。しかし、詩は日々の暮らしの中で、心情に沿う言葉がふとした場面でフレーズとして流れる時がある。その共感が日々の苦悩を和らげる促しとなり、寄り添う言葉があるというのは生きていくための糧になり得る。

汚れちまった悲しみに、だったり

駄目なことの一切を
時代のせいにするな、だったり

苦悩は我が霊魂を
光らしむ、だったり

僕の前に道はない
僕の後ろに道はできる、だったり

木が美しいのは、
自分の力で
立っているからだ、だったり

倒れる時がきたらば
ほほえんでたふれろ、だったり

厳しさの中にあるやさしさを私たちは求めているのかもしれない。生涯、順風満帆にひとは生涯を終える者などいるわけでもなく、苦悩を持ちつつも生きるためのユーモアで乗り切る言葉の群れとして詩があり、詩集という表現が光を放つのであろう。

好きな絵があるように、好きな詩もひとそれぞれある。癒しを鏤めた詩もあり、言葉の景色だったり、リズムだったり、その感性の心地よさに爽快感を得て前向きに相乗する。

いったい、なぜ詩集が売れないのか。売れないから詩集なのか、そんな俗説は悲しくあり読まれないことが勿体無いという気がしてならない。詩人たちが素晴らしい道具を持っているが、使いこなしていないのではなかろうか。だからと言って、楽しく面白いばかりを求めて詩を展開したのならば、詩の魅力は何処へ行ってしまうのか、そんな安売りも如何と思う。

悩み多き詩の果てなき言葉の旅路をニヒルに、また熱く自分をさらけ出すサービス精神のもと答えなき答えを追い続けることが、求められているのかもしれない。一生を語り続けるタフな精神力が詩人には不可欠だと言えよう。書店に詩集が多く並べる意味なんて、詩には最初からなかったのだろう。それでも詩人は詩を書かずにいられないのだから、もうそれだけで良いのかもしれない。

#詩 #雑記

ワオ!と言っているユーザー

詩集・芥川龍之介

スレッド
『詩集』芥川龍之介(著作権の切れた作品です)



 彼の詩集の本屋に出たのは三年ばかり前のことだつた。彼はその仮綴かりとぢの処女詩集に『夢みつつ』と言ふ名前をつけた。それは巻頭の抒情詩ぢよじやうしの名前を詩集の名前に用ひたものだった。
  夢みつつ、夢みつつ、
  日もすがら、夢みつつ……
 彼はこの詩の一節ごとにかう言ふリフレエンを用ひてゐた。
 彼の詩集は何冊も本屋の店に並んでゐた。が、誰も買ふものはなかつた。誰も? ――いや、必かならずしも「誰も」ではない。彼の詩集は一二冊神田かんだの古本屋ふるぼんやにも並んでゐた。しかし「定価一円」と言ふ奥附のあるのにも関かかはらず、古本屋の値段は三十銭乃至ないし二十五銭だつた。
 一年ばかりたつた後のち、彼の詩集は新らしいまま、銀座ぎんざの露店ろてんに並ぶやうになつた。今度は「引ナシ三十銭」だつた。行人かうじんは時々紙表紙かみべうしをあけ、巻頭の抒情詩に目を通した。(彼の詩集は幸か不幸か紙の切つてない装幀さうていだつた。)けれども滅多めつたに売れたことはなかつた。そのうちにだんだん紙も古び、仮綴かりとぢの背中もいたんで行つた。
  夢みつつ、夢みつつ、
  日もすがら、夢みつつ……
 三年ばかりたつた後のち、汽車は薄煙うすけむりを残しながら、九百八十六部の「夢みつつ」を北海道ほくかいだうへ運んで行つた。
 九百八十六部の「夢みつつ」は札幌さつぽろの或物置小屋の砂埃すなほこりの中に積み上げてあつた。が、それは暫しばらくだつた。彼の詩集は女たちの手に無数の紙袋かみぶくろに変り出した。紙袋は彼の抒情詩を横だの逆様さかさまだのに印刷してゐた。
  夢みつつ、夢みつつ、
  日もすがら、夢みつつ……
 半月ばかりたつた後のち、是等これらの紙袋は点々と林檎畠りんごばたけの葉かげにかかり出した。それからもう何日になることであらう。林檎畠を綴つた無数の林檎は今は是等の紙袋の中に、――紙袋を透すかした日の光の中におのづから甘みを加へてゐる、青あをとかすかに均(実際には、「均」のつちへんのない字)ひながら。
  夢みつつ、夢みつつ、
  日もすがら、夢みつつ……



(大正十四年四月)

#詩

ワオ!と言っているユーザー

どうした今日は!?

スレッド
今日はなんて奇跡的な一日だろう
地元の仲間から久々の連絡がふたつくる
十数年とか二十数年ぶりのコミュケーション

ひとつは中学生の時のバスケットボール部の仲間
電話が入る

同窓会をしよう、って話があってさ
四月に予定しているんだけど
他のメンバーのアドレスとかわかるかな

彼の声が若いのにびっくりした
声は歳をとらないのか?
同い年の声には思えないくらいだった
一瞬、何かの詐欺かと思うくらいに

話をしていると長い月日が経ったことも
不思議なようにあの頃と変わらない波長になる
バスケットボールをしていることが昨日のように

彼は仕事とは別に
地元でバスケボール協会の役員をしていて
今でもバスケットボールに貢献していた
ひとつのことに長く携わり続ける持続力が
ハツラツとした声に現れているのだろう
自分も負けてられないと元気をもらった


もうひとつはLINEの電話番号登録をしたら
" YES "という文字のメールが飛び込んできた
宛名をみると高校生の時の同級生

おっと、これまた久しぶりだ
とりあえず、" NO "とふざけてメールを返信

純ちゃん、元気!

返事が来る
その私の呼ばれ方に懐かしさ倍増だ

彼は日曜日にマラソン大会に参加するようで
十年前から走っているらしい
私も足には自信があったが
病気してからはさほど走れなくなったので
羨ましくもありながら仲間が元気でいることを
嬉しく思える歳になっていることに気付かされた
亡くなっている仲間がいるからなおさら、そう思える


それにしても今日は素晴らしい日だ
懐かしい仲間ともコミュケーションできたし
このブログ『詩は元気です! ☆ 』も宣伝し
自分の元気だと伝えることができたみたいだし

みんなこれまで人生で大変な思いをしてきただろうけど
今でも元気でやっていこうオーラを出している

元気をもらったぞ
さあ、私も頑張るぞ

そりゃ!

#詩

ワオ!と言っているユーザー

帰宅電車

スレッド
乗り込んだ電車には
様々な広告がぶら下がり
餌に食いつくのを
待っているかのように

〇〇部門の売り上げ一位
若返ります〇〇
超一流の〇〇力
〇〇の新発想
〇〇の改善
詳しくは〇〇サイトへ

生きていくために
一生懸命な人びとを乗せ
宣伝電車は走る

やっと座れたものなら
揺られる心地よさに
身知らぬひとの肩を借り
押し返されては
「すみません」と謝りまた眠る

再び目を覚ませば
ここは何処だろうと慌てて

時間に追われ
疲れを引きずり
今日という日は終わりを告げる

夜に明かりを零しながら
家路を辿る電車
明日へ繋げと走り続けて行く

#詩

ワオ!と言っているユーザー

君に吹く

スレッド
見えないから見ようとしない
見えているものはすでに見えていない

君にそっと触れて通り過ぎてゆく
感じているけど見ようとしていない
そこに理由(わけ)などないように

僕には声がないから
君が気付いてくれるのを待っている

伝えたいことがあるんだ
だから僕は何度でも何度でも
君にそっと触れては通り過ぎてゆく

僕を感じてくれる優しい君だから
信じているよ

見えないから見ようとして
見えているものに感謝を忘れず

僕を見て
手を差し伸べる君を待っている

#詩

ワオ!と言っているユーザー

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