遅読の読書
2月
3日
【読了】漁港の肉子ちゃん(西加奈子)
小さな漁港に住む“肉子ちゃん”と、その娘“キクりん”を中心に描かれる、人間模様の物語。
私は“遅読”である。本を読むのが遅い。5ページも読むと疲れてしまう。
この文庫本は、全325ページ。長。ちょっと読んでは、これで全体の5分の1ほど読めた?、次の章まであと3ページ、と確かめながら読んだ。
驚いた。100ページまで読んでも、“事件”が1つも起こらない。このまま、ほのぼのと終わってしまうのか…。読むのやめようか…。でも、もう少し読んでみる。
そして、突然、ストーリーは展開し始める。
人は、一見ナチュラルに生きているようでも、スッと落とし穴に落ちたり、ポッと浮かび上がったり。その繰り返しだ。
また、西さんの文体が印象的。とても自由だ。私は仕事柄、きちっと正確に書くことを求められるので、普段もそこに注意が向きがちだが、こんなに自由な表現方法があるということは、新たな発見であった。
(幻冬舎/2011)