【読了】「遊廓と日本人」(田中優子)
12月
29日
とある方からお借りした本。ジェンダーの視点から遊廓の文化と歴史を考察している。
ご存知のように、遊廓は家族が「前借金」をし、家族の1人である女性が遊女となって借金を返す仕組みである。遊女は前借金に拘束され、廓(くるわ)から逃げることは出来ない。
しかし、遊廓には日本文化を守り、継承させたという側面があった。書、和歌、俳諧、三味線、唄、踊り、琴、茶の湯、生け花、香、年中行事の実施等。遊廓がそんな役割を果たしていたとは初めて知った。
しかし、遊廓文化がどんなに優雅で華々しくても、女性に対する人権侵害の上に成り立っている以上、遊廓は二度と出現してはならない存在である。遊女の数だけ悲劇があったことは想像に難くない。文化より、女性一人一人の人権の方がはるかに重いことは自明の理である。
では、遊廓をどう語り継ぐべきか。ジェンダー問題を解決する糸口はあるのか。
そのヒントの1つは、「女性は男性になりたいのではなく、自分自身でいたいのです」という著者の言葉の中にあると考える。
(講談社/2021)
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