5月
28日,
2008年
HUBやPCは測定器ではありません
ネットワークのトラブルのサポートをしていますと、トラブルの診断をPC本体や周辺機器、そして経験とカンをたよりに行っておられる方々が、あまりにも多いのに驚かされます。
PCでサーバが見えなくなったとか、見えているけど接続出来ない、HUBの100BASEのインジケータが点灯しているのに速度が遅いなど、様々な「利用」をされておられます。
ところが、これらは全くとまで言いませんが、当てにならない場合が多いのです。
例えばHUBの場合です。
インジケータが点灯しない場合、接続が出来ていないと判定出来ますが、点灯していれば接続が正常であるとは言い切れません。まして、100/1000BASEのインジケータは、それに対応した信号をキャッチしているとの表示であって、その速度で通信が出来ているわけではありません。
PC本体も同様です、専用のAPLをインストールしているならともかく、OSレベル、特に
Windowsでは正確なネットワーク診断は余程の経験が無いと、判断が出来ないどころか、誤った判定の恐れがあります。
ネットワークトラブルの診断は、原則として物理層から行いますが、PCやHUBでこの階層の診断は、断線や単純な接続などの簡単な原因しかチェックは出来ません。
最近の物理層は信号の周波数が高くなり、その単純な構造の割には検査が困難となっています。簡単に交換可能な場合ならともかく、バックボーン配線などにはどうしても専用測定器が必要となります。特に高負荷時の遅延等、再現性が困難な場合には絶対必要となります。
ネットワークの測定器は押しなべて高額で、一般ユーザはなかなか手が出ないのが現実ですが、少なくてもサポートを生業とされるなら準備されて必要があります。
物理層以外にも専用の測定器があります。高級乗用車が買える程、恐ろしく高額な機器もありますが、PCの高級機程度で購入できるものも存在します。
これらの測定器は、基本的なネットワークの知識があれば操作は比較的簡単で、ネットワークの診断は驚くほど効率的となります。
例えば物理層測定器の場合、周波数特性やケーブルの損傷個所も特定出来ます。
光の場合であれば、肉眼では決して発見できない損傷や波長での特性を数値で表してくれます。
物理層以外の機器では、ネットワークが動作している環境で測定できるのが特徴で、ネットワークに流れている、信号を分析してデータとして表示してくれます。
特に重要なのは、特定のIPやMACなどに対象を絞りこんでデータが収集出来る事で、再現性の乏しい症状の場合にはかなり有効な対応が可能となります。
ネットワーク構成はここ数年、インターネット接続に対応するため、急速に増設が行われています。
ネットワーク部材が安価で簡単に入手出来るため、いわゆる目茶目茶なネットワーク環境が急増しているのが現実です。
AUTO-MDIX仕様のHUBの存在が、とにかく接続すれば「繋がる」との印象をユーザに与え、LAN構築は「簡単」であるとの思いが広がっています。
小規模ならともかく、一定の規模以上では場合によってはネットワーク全体がダウンする危険因子が発生し始めていると言っても過言では無いと思われます。
これらの「危険因子」は、専用測定器で比較的早い段階で検出が可能です。
そんなモノ当社には不要と決め付けず、一度ご検討されることを強くすすめます。
物理層測定器は高額ゆえ、購入は困難かもしれませんが、レンタルや工事関係業者に測定して貰う方法もあります。
また、キャリア関係の会社であれば工事部門が所有しておられると聞いています。
一度、手に取って現場で試験される事を強く勧めます。