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夭逝の詩人はどのように死と向き合ったのでしょうか? 僅か24歳でこの世を去った立原道造。

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はじめてのものに ささやかな地... はじめてのものに

ささやかな地異は そのかたみに
灰を降らした この村に ひとしきり
灰はかなしい追憶のやうに 音立てて
樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつた

その夜 月は明かつたが 私はひとと
窓に凭れて語りあつた(その窓からは山の姿が見えた)
部屋の隅々に 峡谷のやうに 光と
よくひびく笑ひ声が溢れてゐた

――人の心を知ることは……人の心とは……
私は そのひとが蛾を追ふ手つきを あれは蛾を
把へようとするのだらうか 何かいぶかしかつた

いかな日にみねに灰の煙の立ち初めたか
火の山の物語と……また幾夜さかは 果して夢に
その夜習つたエリーザベトの物語を織つた 
 
「エリーザベトの物語」。
これは、シュトルムの「みずうみ」という短編です。愛し合いながらも永遠の別れを告げてゆく、悲しい男女の物語です。私世代の純情な若者には、よく読まれていたと思います。
 
彼の詩は、映像と音楽の世界です。
 
この詩の第一連は、浅間山の小噴火、悲しい追憶の地(追分)の提示に始まり、
 
第二連は、溢れる光や声がよく響く空間の中で、愛し合う二人へと次第にズームアップされていきます。
 
第三連目で、一転して曲は転調し、愛への懐疑、淡い不安が提示されます。そして、
 
第四連目で、私たちは、火の山の物語や、シュトルムの「みずうみ」に描かれた永遠の別離の世界へと誘われて行きます。

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