-
投稿日 2017-09-17 13:02
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 6 ≡ 作業員はオーロラの作業員と出会って思いついたことがあったそれは旅に出ること目的があるわけではないがオーロラの作業員のように旅をしたくなった作業員は旅の間は虹をつくらないと決めバケツは事務所の金庫虹のことは考えたくなかった流線型の雲はないけれど雲の上を歩いて行こうと思った作業場の柵を乗り越えて旅は始まった歩き始めて五時間が過ぎた薄くなった雲の上を慎重に進む作業員がいたのどが渇き薄い水蒸気を手で集め水滴を口にした「うーん、ここの水蒸気はよくないな。空気が汚れているからだ。水がおいしくない」きっと下界には煙をたくさん出す大きな工場があるのだろう」「その通りだよ。俺はオゾン層の修復作業員だ...
-
投稿日 2017-09-17 02:15
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
「逃げた女房にゃ未練はないがお乳欲しがるこの子が可愛い」夜中に食器を洗いながら浪曲子守唄を歌っている自分家事で辛いなんて思った時につい歌ってしまう「子守唄など苦手な俺だが馬鹿な男の浪花節一ツ聞かそかねんころり」...
-
投稿日 2017-09-14 21:28
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 5 ≡ 「あなたは虹の作業員?」どこからか作業員を呼ぶ声が聞こえた「誰だい、こんな朝早く私を呼んでいるのは?」作業員がパッと目を覚まし、辺りを見回すと流線型の雲にのる女性がいた「おはよう、私はオーロラの作業員よ。今、北極から南極へ移動中なの、そこで少し休ませてもらっていい?」「私は虹の作業員。本社以外の訪問者は初めてです。どうぞどうぞ、休んでいってください。おいしい水蒸気を集めた水を飲んでいってください」「ありがとう。お言葉に甘えて」オーロラの作業員は自分の雲を静かに直陸させた「初めまして、虹の作業員さん!」オーロラの作業員は波状のカラフルなドレスをゆらし、雲から降りる姿は美しかった「初め...
-
投稿日 2017-09-13 21:13
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 4 ≡ 星が輝きを下界に降らす頃、作業員は雲の上に帰ってきた記者会見で疲れた作業員だったが、班長に報告するため高台へ向かった「班長様、どこにいるのですか?」歩くこともできない班長が、いつもの高台にはいなかった「班長様! どこに……」あっち行って、そっち行って、こっち来てもう足が動かなくなるくらい班長を捜したそして、作業員は本社の人間の言葉を思い出していた《あいつは口しか動かない三十年後の君だろ。もう辞めてもらうことは本社で決まっている!》《もう、君と会うことはない》作業員は考えていた……班長様は本社の人間にどこかへ連れて行かれたんだ私の三十年後が班長様だなんて、わけのわからないことを言って...
-
投稿日 2017-09-13 07:05
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
落ちた赤い秋を踏みしめてこの手に包むiPad刻まれた詩はみな消えてゆく生きていることの自然それでも、そんな言葉は要らないただ歌えばいい、軽やかにしがみつく枝はなくなりひらひらと落ちてゆくを受け入れなかったことにではなくあったように消えればよいこの手に包むiPad刻まれた詩はみな消えてゆく...
-
投稿日 2017-09-12 20:46
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 3 ≡ 下界の記者会見場に作業員はいた床に置かれたカメラが一台眠っている新聞記者がひとりライトがあたらないところに本社の人間作業員に質問するレポーターがひとりいた「この度は百二十色の虹、おめでとうございます。早速ですが、質問をさせていただきます。百二十色の虹をつくる秘訣を教えてください」レポーターが早口で言った「……えぇ……、班長様の指示通りに、一生懸命に水蒸気を集めました」緊張している作業員は唇を震わせながら言った「一生懸命ですか。こちらでは三十年ぶりの百二十色の虹が素晴らしいと大フィーバーしています。それをどう思いますか?」「うれしいです。みなさんに喜んでもらえて」「今後の作業員さんの...
-
投稿日 2017-09-12 06:44
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
風に吹かれ雨に打たれ僕は此処で何をしがみつくこともなくぷかぷかぷかぷかか時に乗れずひとに慣れずひらひらひらひららそれでも誰か見てくれ僕のことを寂しさには耐えられそうにない僕のステップは何処かで狂って足跡ばかり消し始めていたひとりぼっちの僕が泣いている自分の道が濡れているどれもこれも僕の仕業なのに...
-
投稿日 2017-09-11 21:40
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 2 ≡作業員が雲の上に来て一ヶ月百三色の虹がひとつ百十色の虹がひとつ百十八色の虹がひとつ百二十色の虹がひとつつくることができた百二十色の虹は三十年ぶりのことであった下界からは拍手が竜巻にのって舞い上がって来た作業員はその拍手を聞いて、雲の上を走り回り大喜び「こんなにうれしいことは初めてだ! わたしはここへ来てよかった!」作業員は叫びながら、雲でつくられた高台に立っている班長のもとへ走った「班長様、下界の拍手を聞きまし……?」「…………」「どうして班長様は、涙を流しているのですか?」「…………」「今、本社の人間が来ている。お前を事務所で待っているから、行け!」班長は涙さえ拭けずにいた「はい」...
-
投稿日 2017-09-09 15:00
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
人生の主役が自分であるかのように日々を過ごす。痛みも苦しみも喜びも自分が体験しているのだから、このドラマの主役が他人であるわけがはない、と。しかし、人生っていうのは脚本などないのだから、いつ何処かで心境の変化が起こってしまうのだから面白い。実際、私の場合も変わりつつある。ただ、歳をとったのだろう、そ...
-
投稿日 2017-09-08 09:00
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
不安を補うように生きてきたマイナスをプラスへとプラスを更にプラスしてそんな世界は描けなかった冒険とか希望とか夢とか今まで何かチャレンジをしただろうか闘わないことを何が悪いと開き直ったつもりでもビクビクしてふと虚しさを覚えたのは季節が変わるような心の変化人間として自然な流れなのかもしれないやり遂げて散...