-
投稿日 2017-09-18 00:37
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 10 ≡「あっ、虹だよママ。パパがつくった約束の虹!」「そうね。とってもきれいね!」おしまい。。。
-
投稿日 2017-09-18 00:28
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡9≡水蒸気をバケツで集め、休む暇もない虹の作業員は近頃忙しい雲の上ですってんころりん笑って楽しい雨を降らせているたまに威張って指示する班長に叱られながらもあっち行って、そっち行って、水蒸気を追いかける「班長様、あなたも水蒸気集めを手伝ってください」「バカを言うな、俺は班長だぞ!」「そうでした。あな...
-
投稿日 2017-09-18 00:11
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 8 ≡ 旅から帰って一年が経つ作業員はバケツをもって走り回っているそして昨日、百二十色の虹をつくることができたしかもその虹は三重大きな虹の中にまた虹があってその虹の中に小さな虹見たことのない虹に誰もが喜んでいた作業員も大満足そんな作業員のもとに本社の人間が再び現れた「君は未来を変える才能をもった作業員だね。もう、ここへは来ないつもりだったが……。下界では今、君のつくった虹で大フィーバーしている。また、記者会見に応じてもらう」「もちろんです」「それと君にとってはうれしいニュースがある。班長は我が社に復職することが決定した。記者会見を終えて作業場へ戻って来たときには、班長もいることだろう。さあ...
-
投稿日 2017-09-17 21:03
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 7 ≡ わからない約束のことを考えながら作業員は歩いた私の約束って何?それは本当に虹をつくることなのだろうか?雲の上にくる前の約束?そんな大事な約束を忘れてしまったのだろうか?オゾン層の修復作業員にとって約束の内容はないようだった作業することがその答えのように言っていた何がそうさせているのだろう私は虹の作業員それでいいのだろうか?それしかないようだがそれでいいのだろうか?「コケッ、コッ、コッ、コッ、コォー」短い羽をバタバタさせて一羽のにわとりが突然、雲の上にやって来た「にわとりさんって、飛べるのですね」作業員は驚いて言った「飛んではいけないって言うの!」にわとりは言葉を使い話しだした「いや...
-
投稿日 2017-09-17 13:02
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 6 ≡ 作業員はオーロラの作業員と出会って思いついたことがあったそれは旅に出ること目的があるわけではないがオーロラの作業員のように旅をしたくなった作業員は旅の間は虹をつくらないと決めバケツは事務所の金庫虹のことは考えたくなかった流線型の雲はないけれど雲の上を歩いて行こうと思った作業場の柵を乗り越えて旅は始まった歩き始めて五時間が過ぎた薄くなった雲の上を慎重に進む作業員がいたのどが渇き薄い水蒸気を手で集め水滴を口にした「うーん、ここの水蒸気はよくないな。空気が汚れているからだ。水がおいしくない」きっと下界には煙をたくさん出す大きな工場があるのだろう」「その通りだよ。俺はオゾン層の修復作業員だ...
-
投稿日 2017-09-14 21:28
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 5 ≡ 「あなたは虹の作業員?」どこからか作業員を呼ぶ声が聞こえた「誰だい、こんな朝早く私を呼んでいるのは?」作業員がパッと目を覚まし、辺りを見回すと流線型の雲にのる女性がいた「おはよう、私はオーロラの作業員よ。今、北極から南極へ移動中なの、そこで少し休ませてもらっていい?」「私は虹の作業員。本社以外の訪問者は初めてです。どうぞどうぞ、休んでいってください。おいしい水蒸気を集めた水を飲んでいってください」「ありがとう。お言葉に甘えて」オーロラの作業員は自分の雲を静かに直陸させた「初めまして、虹の作業員さん!」オーロラの作業員は波状のカラフルなドレスをゆらし、雲から降りる姿は美しかった「初め...
-
投稿日 2017-09-13 21:13
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 4 ≡ 星が輝きを下界に降らす頃、作業員は雲の上に帰ってきた記者会見で疲れた作業員だったが、班長に報告するため高台へ向かった「班長様、どこにいるのですか?」歩くこともできない班長が、いつもの高台にはいなかった「班長様! どこに……」あっち行って、そっち行って、こっち来てもう足が動かなくなるくらい班長を捜したそして、作業員は本社の人間の言葉を思い出していた《あいつは口しか動かない三十年後の君だろ。もう辞めてもらうことは本社で決まっている!》《もう、君と会うことはない》作業員は考えていた……班長様は本社の人間にどこかへ連れて行かれたんだ私の三十年後が班長様だなんて、わけのわからないことを言って...
-
投稿日 2017-09-12 20:46
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 3 ≡ 下界の記者会見場に作業員はいた床に置かれたカメラが一台眠っている新聞記者がひとりライトがあたらないところに本社の人間作業員に質問するレポーターがひとりいた「この度は百二十色の虹、おめでとうございます。早速ですが、質問をさせていただきます。百二十色の虹をつくる秘訣を教えてください」レポーターが早口で言った「……えぇ……、班長様の指示通りに、一生懸命に水蒸気を集めました」緊張している作業員は唇を震わせながら言った「一生懸命ですか。こちらでは三十年ぶりの百二十色の虹が素晴らしいと大フィーバーしています。それをどう思いますか?」「うれしいです。みなさんに喜んでもらえて」「今後の作業員さんの...
-
投稿日 2017-09-11 21:40
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
≡ 2 ≡作業員が雲の上に来て一ヶ月百三色の虹がひとつ百十色の虹がひとつ百十八色の虹がひとつ百二十色の虹がひとつつくることができた百二十色の虹は三十年ぶりのことであった下界からは拍手が竜巻にのって舞い上がって来た作業員はその拍手を聞いて、雲の上を走り回り大喜び「こんなにうれしいことは初めてだ! わたしはここへ来てよかった!」作業員は叫びながら、雲でつくられた高台に立っている班長のもとへ走った「班長様、下界の拍手を聞きまし……?」「…………」「どうして班長様は、涙を流しているのですか?」「…………」「今、本社の人間が来ている。お前を事務所で待っているから、行け!」班長は涙さえ拭けずにいた「はい」...
-
投稿日 2017-09-11 20:15
詩は元気です ☆ 齋藤純二
by
齋藤純二
私はひとつの想像をしました雲の上にいる友人は虹をつくっていると≡ 1 ≡ 水蒸気をバケツで集め、休む暇もない虹の作業員は近頃忙しい雲の上ですってんころりん笑って楽しい雨を降らせているたまに威張って指示する班長に叱られながらもあっち行って、そっち行って、水蒸気を追いかける「班長様、あなたも水蒸気を集めを手伝ってください」「バカを言うな、俺は班長だぞ!」「そうでした。あなたは班長様、失礼しました。でも、汗をかくって気持ちいいですよ」「俺はもう疲れたんだよ。口しか動かないんだ!」「苦労されたのですね……」「わかればろよしい」と、直立不動の班長は言った「えーと、班長様に訊きたいことがひとつあるのですが...