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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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虹の作業員 2 (全10編)

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≡ 2 ≡



作業員が雲の上に来て一ヶ月
百三色の虹がひとつ
百十色の虹がひとつ
百十八色の虹がひとつ
百二十色の虹がひとつ
つくることができた

百二十色の虹は三十年ぶりのことであった
下界からは拍手が竜巻にのって舞い上がって来た
作業員はその拍手を聞いて、雲の上を走り回り大喜び

「こんなにうれしいことは初めてだ! わたしはここへ来てよかった!」
作業員は叫びながら、雲でつくられた高台に立っている班長のもとへ走った
「班長様、下界の拍手を聞きまし……?」
「…………」
「どうして班長様は、涙を流しているのですか?」
「…………」
「今、本社の人間が来ている。お前を事務所で待っているから、行け!」
班長は涙さえ拭けずにいた
「はい」
作業員は「失礼します」と言って、班長の涙を拭き事務所へ向かった

事務所に入ると、背広を着た本社の人間がいた
「君がここの作業員だね?」
「はい、そうですが……」
「えー、先週我が社で発売した百二十色の虹が、
下界では評判となり誰が水蒸気を集めたのか、問い合わせが殺到した。
だから、君には下界で記者会見に応じてもらうことになった」
「えっ、私がですか? それなら班長様が記者会見に行くべきだと……」
「なにを何を言っているんだ、君は! あいつは口しか動かない三十年後の君だろ。
もう辞めてもらうことは本社で決まっている!」
「……えっ、それはどう言うことなのでしょう?」
「んー、聞かなかったことにしてくれ。
雲の上では未来のことを話してはいけないことになっている。
そんなことより、君を下界の記者会見会場に連れて行く。
はやく、あの雲に乗りなさい!」
本社の人間は小舟のような雲を指さした
「……私は班長様で……班長様が私……、どうなっているんだ……」
「いいから、早く乗りなさい!」
「は、はい」

作業員がその雲に乗ると、夜空には一番星が輝いた



続く。。。

#虹の作業員 #詩

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