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投稿日 2017-02-14 09:01
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
仕事以外は肌身離さずのiPad 持ち歩くにはすこし大きいが いつどこでも詩を書けるよう スタンバイするのは当たり前 頭の中に描かれた風景なんて すぐに消えてしまうのだから 朝は夢の中で詩を書いている 起きたらすぐに打ち込む言葉 電車が来るまで打ち込む言葉 仕事前十分間で打ち込む言葉 昼休み早食いし打...
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投稿日 2017-02-12 16:54
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
三歳まで遡っていた 夢から覚めると それは半世紀前の記憶に気づく 父は他界して 大人たちが楽しそうに 精霊船を造っていた 小さいわたしは そのまわりで遊んでいる 「子どもは無邪気なもんだ」 そんな声が聞こえてきた わたしがとても悲しいことに 気づいてくれない 三歳でもこころは泣いていた わたしはその...
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投稿日 2017-02-12 00:36
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
君がゆく 僕は追いかける 君は軽やかに飛び跳ね うさぎのように森をゆく 後ろ姿は揺れて 微笑みながら振りむく 僕は嬉しくて いつまでも つかまえることが 出来ない振りを 続けているんだ 美しき君に 真昼の星が散りばめられ 君がゆく 僕は追いかける 精霊たちが道を開け 君がゆく 僕は追いかける...
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投稿日 2017-02-11 20:04
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
別れ際 右にずっと曲がってね 私はずっと左に曲がるから そう君に言われた たぶん 僕と距離を置きたいんだ それから僕は言われた通り 右に曲がる人生を送り 君はきっと左に曲がる人生を 送っているのだろう ふたりは 違う景色を見て歩いた 君のいない人生は 寂しくて 味気なくて 辛くて 苦しくて でも そ...
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投稿日 2017-02-11 12:48
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
失はれたもの もはや私の書くものには真実はない。 私から時間が離れていつた。 私から女のひとが去つていつた。 一枚の着物も引き剥がされていつた。 つひに私の絶望さへ。 私に信じられるものは、 最後に裸の私自身のみだ。 裸の私が歩いてゆく。 私の背ろを見せて歩いてゆく。 しかし、それさへやがて強烈な太...
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投稿日 2017-02-11 12:02
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
影 手をとる君はあらずとも さみしきこともなかりけり 月にうつせるわがかげを 君と思ひて行くときは ゆめ あなくやしくも物の音は おのがゆめをばさましけり うれしき君のそのゆめを 物の音なくばこれなくば うれしき夢をとこしへに 見つゝも我はあるべきを 田山花袋(1871〜1930)...
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投稿日 2017-02-11 11:04
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
毎日のように詩を書いているが 自分の詩を暗記しているのだろうか 思い浮かべてもひとつの作品すら 完全に暗唱できないことに気づく これで作品と言えるのだろうか 自由過ぎるのではないか そんな呑気さでよいのか 詩をインターネットという世界で 発信し始めて数年 自分の詩がたぶん読まれいるだろうに 書くだけ...
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投稿日 2017-02-11 08:53
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
猫さえ白い息を出して 穏やかな街をなお白くしている 白夜のように明るい夜 踏まれて沈む雪は か弱い少女のように笑う 世界を変える白 心に降り積もる感覚 柔らかいモノがそっと沁みてきて 何処までも歩きたい気持ちは 足を止めたりはしない 綺麗に飢えていたのだろうか 日常の黒に煤けてしまい 重たい責務の山...
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投稿日 2017-02-10 23:49
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
とても冷めました それはいいことだと思います 詩を書く上で余計なモノ 見えてしまったのだから 感謝すべき日々だったのでしょう なんだかどこからか ピアノのCコードが聴こえてきます それは煩わしさの終わりの和音に聴こえて 僕は君のことはわかってしまうんだよ どんな言葉を連ねても 詩を四十年書いて自分と...
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投稿日 2017-02-09 21:18
詩は元気です ☆ 齋藤純二
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齋藤純二
時多かれ少なかれ 彼は彼なり 枯れてゆく中にも 反骨を散りばめ クタバルを受け入れ 膨らむ腹 穿刺される屈辱 それでも静かに逝く夢 友人にも知らせず 自分の存在を誇張せず 生き絶えることにも 涙を見せぬ意地 幸せになれよ 妻への 愛の言葉は震えて心を焼く 許しあえる夫婦に救われる束の間 逝く夫 残さ...