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"#詩"の検索結果
  • 旅立ち

    「行ってきます」 僕は部屋で父の弾くギターの音色に紛れて言った。愛はきらめきの中に、っていう曲だったろうか、なんとなくせつない親心のようなものを感じながら玄関の向こう側へ。言葉少ない父はいつも悲しげな背中を見せていた。それは母が亡くなったからだろう。そして、僕が出て行ってしまった空間でこれから何の曲...
  • 月・赤とんぼ/三木露風

    月 雪ふりぬ絶え間もなく、 雪ふりぬいともわびしら。 夜の「時」はかくて近づき そこはかと木により枝より 悲しげに粉雪に落つる。 凍えたる小鳥の翼を見よ あふぎ見よ、大木の灰色の欺きを。 いつしか淋しげに月に輝やき 地平より色褪めてうかがひのぼる。 ちからなきためいき…… 一物もなき冬の夜に あはれ...
  • 超人以前の人以前の

    惜しみなく捧げる矢印のように生きる人 いや、もう人生と言えない世界で 奉仕の心は超人化し人として浮いている いや、しっかりと歩いているのだ 僕はまだ歩いてもいない ましてや生かされているとも言えない それでも生きていたい太陽に向かうような原動力 死ぬ前に一歩でもいいから踏み込まなくては 追われている...
  • 雑念なき文藝

    どこかで作品が読まれ それで賞が頂けたのなら拒まない だが自分から賞を貰うことも念頭にあって 作品を送りつけるのは 何だか違うような気がする そこまで自分の表現をアピールすることに 純粋な意志を汚してしまう そういったものは 後からついて来るものであってほしい 特について来なくても良いものであってほ...
  • 朝の収穫

    若き頃、詩作の収穫は夜中だった 最近はどちらかと言うと朝 寝起きはボッとしていたいはずなのに 年齢とともに朝型になるのだろう 準備体操はすでに夢の中から始まる 起きているような寝ているような 柔らかい金縛り状態で詩の内容を模索 たぶん眠りが浅くなっているからだ その柔和な感じがとても作品に反映され ...
  • キ・ラ・ク

    滑り出したら止まらない月曜日 ほら、僕たちはそれでいいのさ 気にすることはない 摩擦のことなんか考えていられない ツルツル人生のクレイジー加減で イエッ、イエッ、イエッー ヤヤヤッ、ヤヤヤッ、ヤヤヤッー 人さし指を天に向けて叫ぶさ 空を突き抜けて真空の言葉は行くさ 月を突き抜け太陽を突き抜け 銀河系...
  • アゴに

    「おヒゲが」 昼食はいつもサラダ 食べ過ぎると眠くなるし ダイエットも兼ねて ちょっぴり味気ない感じで さあ あと半日をがんばろう そう思った時に そのひとは優しく言った 「キャベツが」 なんて言われたら 笑えるけど なんか恥ずかしくなるだろう 相手を思いやる一言 ちょっとした言葉遣いで こちらの気...
  • 温もりから

    再び手が重なり合えば 忘れていなかったその温もり 容易く僕を捧げるような日々 そのフィールドで疲れ果てることは あなたにとっても 僕にとっても良いことではなかった 犠牲にする毎日は 何も答えを見出すことがなく 回避することで潰れぬよう 旅に出て何かに近づきたかった 僕はどこまでも歩いた あなたから遠...
  • 雨の誘い

    雨粒が葉を揺らしても とても静かです その景色に 僕は耳を傾けています 過去の想い出 どこかの安らぎに手をのばし 僕は淑やかに なっているのかもしれません 少し斜めの銀色にのせられ そんなことを呟いて どこまでも落ち着いてゆきます 幼き頃からの 心に揺れるオルゴールを感じて 誰もいないここで 優しい...
  • 二月二十八日、出勤

    まだ日の昇らぬ黒い川が 通勤電車から揺れている 寒かろうに足を突っ込む 想像をしている私からは 温もりを奪う景色の強さ 世間より手前にある猶予 その時間に淀みながらも 忘れまいと己を見ている 感じる冷たさは試された 選ばれし人間なのだから まだそんな優越に溺れて 暫くは姑息に流されよう 己以外への思...
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