Zに乗りたくて免許を取った。 しかし、いまだかつて僕はZを所有したことはない。 人生とはそういうものだ。 フェラーリに乗りたくて会社を辞めた。 中古のフェラーリならば、買えるかもしれない今も、僕はフェラーリを所有したことはない。「これに乗ったら、人からどう思われるのだろう?」そんなことが気になりだした。 そんなことを全て超越できるところに、フェラーリがある。 フェラーリに乗るならば、自他共に認める成功者になるか、あるいはなけなしの貯金で、現代のセダンに簡単にぶち抜かれるような中古のフェラーリを買うかのいずれかのスタイルがさまになる。さて、鈴鹿である。 予選から見ていると、しびれるような作戦でフロントローを固めたフェラーリは、スタート時点でマッサのマシンを軽くし、いかなる状況でもミハエルの援護が可能なように準備をしているようだった。 実際、全ての作戦はうまくいっていた。 中盤にピットを飛び出したミハエルも、アロンソには大きく差をつけていた。 しかし、そのマシンは僕たちの待つ最終コーナーには戻ってこなかった。 エンジンブロー。 周囲からも落胆の声が聞こえる。 爆音の中で、やることをなくした僕は、サーキットを後にすることにした。コルベットに乗る不良の僕にとって、優等生のフェラーリは完璧なものであってほしい。 いつの日か、最高級のフェラーリを乗っても不思議と思われないほど成功することができたなら、僕は君を不良流に仕上げてみせる。 いや、かっこ悪くはしないから安心しな。
投稿日 2006-10-10 09:53
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2006-10-10 13:20
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投稿日 2006-10-11 01:51
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投稿日 2006-10-10 20:57
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投稿日 2006-10-11 08:36
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