宇宙で戦った記憶
10月
7日
信じるも信じないも、人それぞれだ。
僕も一度だけやってもらったことがある。
先の大戦で、2人乗りの機体でたくさんの味方戦闘機が撃ち落とされるのを遠くの空から確認した。
上官の僕を乗せた機体は退却時に被弾し、太平洋上のどこかの島に不時着し生き延びてしまった。
催眠中に流した涙の量はもの凄かったが、今日の話はそれではない。
さらにすっと昔の話、僕がまるで神のように戦った記憶。
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僕の住んでいた集落には女帝が存在していた。
女帝の名は知らぬ。
女帝には数人の家来がいて、その数名だけ豪華な服装をし、女帝だけは髪や耳に飾りを着けている。
集落の中心には塔があった。
PLの塔に似ているが、もう少し金属質で光り輝いていた。
一般人の住居は、木の柱とおそらく獣の毛皮のような材質で、テントのようなものだ。
僕は今よりも筋肉隆々の大男で、その集落で一目置かれる存在であったが、女帝と言葉を交わしたことはない。
ある時、女帝の家来に女帝の願いを聞かされる。
洞窟から石を持ち帰ってほしいという願いだった。
その場所は、明確に伝えられた。
命令ではなかったが、その願いをかなえたいという思いが強かった。
僕は男たちを募り旅に出た。
数日であったのか、数か月であったのかはわからないが、1年ではなかった。
冬は記憶していない。
僕の服装は布製ではなく、肌の上に直接毛皮を身に着けていたように記憶している。
目的地にの洞窟の中には、美しい鉱石があった。
大きさは長い面が30cmほどのいびつな形。
それよりは巨大なものではないと記憶している。
集落に帰った男たちは、英雄となったが、その後は疫病に苦しみ一人また一人と死んでいった。
僕も発症した。
皮膚がただれ、出血し身体が腐っていくようだった。
女帝の一団は、空に飛んだ。
集落の中心に置かれていたのは、今思えばロケットのようなものだった。
僕らが運ばされたのは、その燃料となる放射性物質だったのではなかろうか?
その時僕は「女帝たちに騙された」事を強く感じ、強い憎しみの念を抱いた。
ともかく僕はそこで死んだ。
肉体を失い魂となった僕は、むしろ自由だった。
強い憎しみを胸に女帝を追う事にした僕は、いとも簡単にそこにたどり着くことができた。
女帝はある星の統治者であった。
そこで、怒りに狂った僕は女帝と初めて言葉を交わす。
場所は、その星の上空の宇宙空間だ。
その言葉は、日本語の文法のようでもあるが、単語は何一つ聞き覚えがないし、意味も分からない。
肉体のない僕ではあるが、形は存在している。
そして何らかの方法で戦った。
女帝はひどく怯えていた。
女帝をやっつけたかと言えば、そうではないと思う。
何かを納得したのか、あるいは僕が敗北したのかはわからない。
それ以上の記憶はない。
後日の考察:
今思えば、その女帝こそ「卑弥呼」と呼ばれる人ではないだろうか?
放射性物質を持ち帰った場所が人形峠だとしたら、卑弥呼の集落であろう邪馬台国は九州ではなく岡山もしくは鳥取となる。
僕の感覚的には、鳥取もしくは山口あたりから旅が始まった気がする。