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エネルギー社会構造のチューニング

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エネルギー社会構造のチューニン...
原発を停止あるいは一部しか運転していない各電力会社は、電気料金の値上げ攻勢を始めた。
関西電力では、大飯原発3・4号機(237万kw)が稼働中である。
これは昨日10月30日の予想最大電力1830万kwの約13%を原子力が供給している事を示す。
(震災前までは約39%)
このため、その差分の燃料(主にLNG)購入の為に、上期最終損益は1167億円の赤字だという。
前年同月は204億円の黒字であってことから、半期で前年比1371億円の収益悪化となった。
燃料費は1681億円の増加、他電力からの電力融通(購入)分は1063億円の増加である。
ただし、この2つの合計値の約2700億円の費用増加と見るのは間違いで、後者の1063億円の中身は精査の必要がある。
さて、このままでは関西電力は来期には債務超過となり、破綻の道へ進むことになる。
これに類似する問題は、原子力発電所をもたない沖縄電力を除く電力各社も共通して抱えている。
そのため、もともと原子力を利用してきた電力会社電力各社ともに料金値上げに踏み切ろうとしている。
値上げ幅は家庭向けで1割以上、企業向けは2割~3割となる。
これは、日本の製造業にとって大きな打撃となり、生産現場の日本離れが加速する事になるだろう。
経済界が最近になって原発再稼働を望む理由はここにある。
原子炉を所有する電力会社電力各社は、当然ながら原子力発電設備を資産計上している。
また、使用済み核燃料を含む核燃料を「加工中等核燃料」として資産計上している。
前出の関西電力を例にとると、原子力発電設備3630億円、核燃料合計5277億円が資産計上されている。
原子力からの撤退、あるいは燃料再処理計画の撤廃になると、これらの巨額資産は負債となり会社は破綻する。
つまり原子炉を所有する電力会社は、絶対に原子力を止める事ができない構造になっているのだ。
これは、これまで政策として行われてきたことであり、一概に電力会社の責任ではないとも言える。

さて、それでは原発を再稼働させれば電気料金は値上げされないのだろうか?
ここに大きな問題が隠されている。
福島第一原発事故前と事故後では、政策経費(交付金等)・追加安全対策費・事故リスク対策費(保険や積み立て)が大きく変わってしまった。
もちろん新設する場合の費用もこれまでとは大幅に違ってくる。
それらを考慮すると、原子力による発電コストは現在の8.6円/kwhから最大で17.1円/kwhまで上昇すると試算されている。
(公益財団法人:自然エネルギー財団の資料を基に記述)
http://www.pref.osaka.jp/attach/15927/00104638/17_siryou2.pdf
ドイツ・ライプチヒの保険研究所が算出した原発の保険料は、1kwh換算で20円ほどになるそうだ。
つまり、原子力の発電コストは今までのコストより大幅に上昇し、現在の太陽光・風力のコストを超える事はほぼ確実だ。
さらに、高レベル放射性廃棄物は最終処分の方法は研究中で、結論の糸口も見えない。
また、さらに悩ましい数値は、全国の原子炉を廃炉にするための6兆から12兆円の一時費用である。
原子力の利用により、将来世代の負担を増大させている事が隠されており、この構造は社会保険庁に似ている。

ここまで読まれた方は、原発を使わなくてもあるいは使ったとしても、日本はお先真っ暗ではないかと思われるだろう。
これを解決する手段はあるのか?
僕はその答えを「ある」と見ている。
これは日本固有の問題のように見えるが、福島第一原発事故から世界も同じ問題に直面しており、この問題解決を行う事で日本は世界のリーダー的存在に返り咲く事ができる。
中央集権型国家が作り出した電力会社に頼る社会の仕組みを大きく見直し、送電ロスの少ない地産地消型の電力を選択できるようにすることである。
当然ながら再生可能エネルギー比率を上げて、温暖化問題にも貢献する。
新しい社会の実現には、節電も極めて有効な手段だ。
この対応の為には、何か画期的な発明や大発見があるわけではない。
キーワードは、「エネルギー社会構造のチューニング」だ。
それには、すべての技術をフル活用する必要がある。
太陽光・風力・地熱・潮力・小規模水力などの再生可能エネルギーの活用、家庭用燃料電池のさらなる活用、エアコン室外機の地中熱交換、ピークを避けるための電気自動車蓄電池の活用・デマンド制御・シフト勤務、高効率住宅やオフィス、軽量化し高効率化された自動車、最適化された工場配管など、既存の技術ではあるがこれまではそれほど必要とされてこなかったものを見直し効率化する。
一つ一つは地味ではあるが、その中身はアイディアにあふれたビジネスの宝庫だ。
今の日本は、規格大量生産型社会から、地域の実情に合った社会へ変化するチャンスなのだ。
現在の電力供給システムと異なる選択肢が生まれる事により競争原理が働き、電気料金は国際水準まで低下することになるだろう。

しかし、我々は一足飛びにそこに到達する事は出来ない。
その過渡期には、原発の再稼働も必ずある。
いかなる対策をしようとも、原発に絶対的な安全は作れない。
ある程度の安全性を確保し、他の準備ができるまで「イチかバチか動かします」という選択である。
さらに、日本周辺に眠る石油・天然ガス等の資源を、早い時期に掘削し日本の選択肢を広げる必要があるとも考える。
過渡期は可能な方法を何でもやる総力戦となるなのだ。

政治が期限付きの未来を示し、国民がその過渡期を容認するならば、技術者はその方向で技術を生みだし、日本は急速に変化する事ができる。

僕は原発反対運動をしているのではない。
古いものは淘汰され、新しいものが生まれる。
原発後の新しい国家、新しい現実を考えているのである。
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zakka
zakkahさんからコメント
投稿日 2012-10-31 17:35

他国の教書引用ですが。
 “我々の環境に加えられた損害は、行われた選択よりもむしろ疎かにされた選択の結果として生じる。悪意のある意図からではなく、我々の行動のあらゆる結果を考慮に入れない事の結果として生じる”
1970年2月10日発表の“米国環境汚染防止に関する教書;
-the President Nixon annual State of the Union message to Congress-,より

今、何をなすべきか??
党利党略に終始する間に官僚が好き勝手。
しかしながら、良いことを試行錯誤している末端役人もおります。

声を大にして・・発信してください。
しかと見ております。隠居親爺ですが。

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Mt.zaki
Mt.zakiさんからコメント
投稿日 2012-11-01 02:45

ご意見、ありがとうございます。
京都のローム株式会社は、駅前ビルリニューアル により44%のエネルギー削減に成功しています。
こういう事ができるのですよ、日本では。

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ハッピー
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びっくり