風の帰る場所。 それは、どこか特別な土地ではないのだと思う。生まれた町でも、終の住処でもない。もっと曖昧で、もっと身近なところにある。 たとえば、朝の光が差し込む台所。 使い込んだ茶碗の縁。 ふと耳に入る、懐かしいメロディー。 理由もなく胸がゆるむ瞬間――そこに、風は帰ってくる。