特別な出来事がなくても、一日は確かに過ぎていくのに、
何も残らないまま夜になると、どこか心が落ち着かない。
だから私は、手帳に戻る。
今日の足跡を確かめるために。
特別な出来事がないまま一日が過ぎていくと、時間は簡単に溶けてしまうように感じられる。何も残らないまま夜を迎えることに、心が落ち着かないという不安がふと生じる。
自分の人生に対するコントロール感が薄れると、人は不安を抱きやすくなる。書くという行為は、その流れゆく時間を「文字」という形に変える。流動的で実体のない時間が、ページの上に定着する。
一語一語を並べていくうちに、消えそうだった一日が、かすかに輪郭を取り戻していく。失われたわけではない、ただ形を変えて残っているのだと、静かに思える。