自宅はシステムキッチンをポンと設置。
真っ白な天板に、ピカピカの収納。
確かに機能的で、清潔で、使いやすい。(ようだ)奥ちゃんがいつも使うけどね。
けれど、どこか味気ない。
なぜだろう。
それはたぶん、「記憶」がないからだ。
モノたちと一緒に過ごした時間の重みが、まだそこに染み込んでいないから。
道具と暮らしが、互いに育ち合っていく。
その積み重ねが、空間に「味わい」を生むのだろう。
新しさだけでは得られないものが、確かにある。
家は、ただの器ではない。暮らしの歴史が宿る場所だ。
そう気づかせてくれたのは、古びた窓と、にぎやかな台所だった。