まな板を使わず 刃物をナメて使い 隙ありと切られてしまう 久しぶりに指を少し切る たいしたことはないが 痛みに思い出す 肉体を守るため 鋭利なモノには気を付けろ と 滲む血を眺め 絆創膏はどこにあるのか そう思いながら 赤く染まって 日常の時間は止まる 理由のある痛みは わかりやす囁く お前は間違っている と 今 鍋をつかむ指の 絆創膏が剥がれかけると 悔しさに貼る 絆創膏を探していた
古(いにしえ)の古の 古の空箱の 素敵な物語の 欠けらの 欠けらの パンっと 破ってと 君がいうと どこかへ飛べると 飛べると 不思議な 黄ばんだ紙の匂いのような 懐かしいような 夢のような 軽やかな もう浮いている 浮いている 君は知っている 知っている 僕も知っている 君を知っている 知っている よ
痛みが走るカラダ その中で元気が叫ぶ 俺は今を生きて 納得を飲み込めれば もう目覚めなくても本望な覚悟は 違う次元で詩を綴らせるはずだ 追う納得という奴は 掴めそうで掴めないから 俺の心中を引きちぎり バラバラにしては 不完全燃焼のカスで山を盛る 嘆いている暇は俺にはない 有限のカラダに 有限の魂からの消える恐怖を 塗り潰しながら今がある ひとが感じる俺の魂など 真実のモノではない 追求する表現者は 自分に自分を近づける生きモノ いつ死のうが 納得に近づく矢印になり リアルタイムに投身しなければ 痛みの中から やっと見つけた鍵穴に 俺を差し込むだけだ そこが始まりでだろうが 終わりであろうが
ブロクを始めて七ヶ月が過ぎました。このブログ『詩は元気です☆』が皆さまにご拝読されていると思うと、意欲が湧き充実した時間を得ることができます。いつも幸せをありがとうございます。 総アクセスが六万に達したので、一万アクセスごとの報告となります。この数字は減ることがないので、私の財産は増えるばかり。とは言え、詩に真摯に向かい合わなければ、数字は正直に教えてくれるでしょう。「最近のお前の詩は最低だな」と。 詩を紙面上での活動だけにとどまらぬように、心掛けて行きたいと思います。詩を通しひとと触れ合い自分の世界を広げ、皆さまに元気を与えられるよう精進して参りますので何卒、今後とも『詩は元気です』を宜しくお願い致します。
行って参りました、虚言朗読会。 たくさんの方の詩を拝聴して来ました。この朗読会は山岡 遊さんが主催されているもので、ご本人が高知に帰郷するため今回が最終回となるようです。「俺にはファンがたくさんいる!」と先日の詩人会でお会いした時に言っていましたが、ほんとうに満員御礼って感じでした。熱い方にはひとが集まって来るのですね。 世間には様々な詩を書く人がいる、そこに驚きを感じた一日でした。「殺す」というテーマを書き続ける詩人、まったく何を語っているかわからないが魅力のある詩人、歌謡曲に纏わった詩を書く詩人、戦争について語る詩人たち。それぞれの特化した個性(自分が好み書く詩のチョイスによる)で表現して昇華させている、凄さが刺激的でした。私とは違った個性に出会う楽しみがありました。 「私は六十過ぎてから詩を書き始めたのですが、もっと若い時から書いていれば友だちができたのではないかと思います。なので、この歳になって詩を書くお友だちを作りたいと朗読会へ参加するようになりました」とおっしゃるご婦人がいました。もしかしたら、今まで友だちといえる存在がいなかったのではないかと勝手に想像しました。どうのようにして孤独の日々を送られたかは分かりませんが、詩によって今現在は外に出て行けることは素晴らしいなあ、と何も知らない私ですがそう感じていました。「友だちになりましょう」と機会があれば言おうと思っていましたが、その方とは話すことはありませんでした。詩の力、詩の元気を再確認できたお言葉を拝聴、私も嬉しかったのです。 こちらの朗読会は詩だけではなく、演劇風なパフォーマンスありの朗読や弾き語りありの幅広な展開となっていました。山岡さんも弾き語りされていて、なかなか味があって良かったです。昔は友川かずきか山岡 遊と言われていたこともあったそうですよ。題名は忘れてしまったのですが、友川かずきさんの「♪ほっぺよせあう幸せ〜」という歌詞が好きだったなあ(歌詞の記憶違いで少し表現が異なっているかも……)。 あらら、話は逸れてしまいましたが、この虚言朗読会がいつの日かまた埼玉で復活することを願って、結びとさせていただきます。 楽しい時間をありがとう!
さてさて今日はとある詩・虚言朗読会「最終回『背走する太鼓』」へ向かう。とある、とか言って詳細を書いているじゃん、と、自分ツッコミ。この朗読会では阿賀猥さん、山岡 遊さん、杉本真維子さん、そしてXさんが朗読をするらしい。私が知っているのは山岡さんだけである。知っていると言っても詩人会の打ち上げて一度話した程度である。 どんな朗読会だろう、ワクワクしているがなんだか緊張もして……。それは、Xは私だから!? って、言うのは嘘っ。先日、Xさんの名前を聞いたのですが詩人に疎い私は誰だかわからなかった。まあ、詩を拝聴すればどんな方かわかるだろう、だいたい。 では、ぼちぼち行こうとするか。 オープンマイク歓迎の朗読会らしいので、チャンスがあったら私が盛り上げてみますか、と意気込んでは圧倒されて帰えることだろう。 朗読会の様子をのちほどアップしますのでお楽しみに。 個人情報の許す範囲で。 では。。。
市営野球場の 駐車場から聞こえる 直線の音 遠くを忘れた空 揺れることのない枝 燻んだ空気の色 誰も見ようとしない桜 冷たい裸体 左手を高く掲げる銅像 ベンチに座る男 固まっているカラダ 直線と歪んだ足音だけが やけに響いている 静かにあった存在の迷い 止まらずにはいられない 動くものは怪しいモノ 襲いかかる無言 止まる直線 止まる足 点
私の一日はまだ終わっていないが 日をめくる時計 二十四時間では足らない日々の ゆとりが忙しさにくっ付いて めくられてしまう 現実を味わって過ごせる 心のセンスは乏しく 人生のデッサンは線がはみ出し ガクンと落ちて眠りに就く 目覚めれば未練の布団から いざ出陣なんて気合を入れて まだ寒い桜の下 私が冴えていないのだろう 綺麗なはずのものが反射してこない 社会で生きることの 継続と忍耐が必要であるように ステレオタイプという言葉を 足の裏に刻みながら押しつけている それでも一歩一歩 今日も先へ進むことに執着しよう それでも一歩一歩 今日も轍の道が平らになると信じて 桜が桜であるように 私が私であることを捨てぬよう 「それでも」と言う栞をはさみ 日めくられる日々は続く
最近はよく夢を見る。今朝方も新婚さんの旦那に料理について語っている自分。彼は新婚旅行から帰宅したばかりで「明日から自分が炊事をしなくてはいけない」と言う。 「そうか、お前も大変だな。奥さん、忙しいのだな」と訊くと頷く彼。 「でも、僕も仕事が忙しくて帰りの時間が遅いんです。どうしたらいいですかね」 「ああ、作り置きしておけばいいよ。冷蔵庫はあるんだろ。土日に作っておいて、冷蔵するなり冷凍しておけばいいよ。ご飯はタイマーを使って帰宅時間に合わせてさ。あとはチンだ。私は前の晩にするけど」なんだろう、熱く語っている自分。 「はあ、でも僕は料理できまん」と困った顔で彼。 「おいおい、そこからかよ。インスタントラーメンは作ったことあるだろ」 「ないです」指を絡ませながら、ちょっと情けない。 「参ったな。どれだけ上げ膳据え膳で生きてきたんだよ。仕方ないか。教えてやるから今晩、うちに来いよ。汚い家だけどさ」 そんなところで、夢から目がさめる。まず、彼は誰だったのだろう。親しく話してはいるが、たぶん知らない人である。まあ、夢ってそんなもんだろう…… 夢の脚本は飛躍し過ぎず、現実味があるのは笑えてしまう。だけど、こんなストーリーが展開するのだから、寝ているけど起きているみたいだ。夢を覚えている時点で、寝た気がしない、残念。 それでも夢の内容を書き留めておく楽しみはある。そこに落ち着くのか。 自分なりに今朝の夢分析をすると。 ああ、炊事って大変だ。食べた後の皿洗いも大変だ。そこをどうにか楽しくやろうとしてはいるが、やはり大変だ。誰かこの私の吐露を聴いてくれ〜、そんな器の小さくなっている精神状態なのだろう。 昨夜は大根と豚肉を生姜で煮込んだものとシチューを作り置きした。すでに今は明日の夕ご飯のメニューを模索しているのだった………
男兄弟って、そんなものなのか。 父が亡くなる前に病室で兄と会う。十五年ぶりの再会であったが、気まずい理由はなかったはずなのに疎遠であった。痩せていた兄が太っている姿を見て、時の経過を感じた。住んでいるところも車で四十分ほどしか離れていないはずなのに、こんな場所で会うのはなんだか親に申し訳ない気がして。 子どもの頃はもちろん毎日のように空き地で野球をして遊び、兄弟の仲は良い方だっただろう。ハデに罵り合う喧嘩もなく、いつも暇があれば遊びを見つけ楽しんでいた。 しかし、兄と話し始めると時間の経過は何の障害にもならないことがわかる。たわいもないむかし話に花が咲く。会話のパターンも変わらず同じ。私がボケて兄がボソッと正す。 「前の車のハイバード(hybrid)って、ハイブリッドカーだよね」と前に走る車を指さし私。 「あれ、ハイブリッドって書いてあるぞ」と兄。 私は恥ずかしながら、ずっとハイバードというハイブリッドカーがあると思っていた。この様な会話は誰ともせずに、やはり十年くらいは訂正されず。教師をしている兄は「馬鹿だな」という言葉は使わない。それは恥を強調しない兄の人柄からくるのかもしれない。 それからは、電話で兄と話すことが自然になってきた。まあ、互いに用事や聞きたいことがあった時だけだが。兄弟の関係は修正されたようだ。 来月には父の三回忌。兄弟の会話に父は天国で笑うことだろう。 余計なことを一切言わない父は「らしいな」と頬を緩ませて。