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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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雨が降れば

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次は上山田、上山田
本日、雨のため傘のお忘れ物がたいへん多くなっております
お降りの際は手元の傘をお忘れないよう願い致します
次は上山田、上山田


改札を出る
此処へ来る日は必ず雨が降っている
それは雨の日にわざわざ此処へ来るからだ

恋人に会うためである
ただ彼女はもうこの世のひとではない
この場所と雨は未練を緩和する

公園のベンチには雨の吹き込まないほどの屋根がある
銅板が重ねられた屋根には
雨粒の音がひと粒ひと粒しっかりと響いている

膝を寄せ合った想い出

今は雨が好きだった彼女の温もりはない
霞んで見える木々
肩を落としたような心情で共感を得る
潤った土からは想起の匂いがして
面影を追うことに癒されてゆく

心象に彼女を再生してゆく雨
想い出の中だけで時間を過ごし
日々の哀しさを忘却させ
頬が緩んだ顔が水たまりに映る

雨が降れば此処に来る
哀憐に触れようと面影を追いかけてしまう

#詩

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母のいない実家

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誰も居ない実家の玄関を開ける
こもった空気
引っ越してきた当初の材木の匂いがして
四十年前がすぐそこにある不思議

母は故郷の山形に帰郷
私は頼まれた部屋の換気と庭に水を撒く

すでに庭には水が撒かれているようだ
近所の親切で潤っている花や木
有り難い思いに感謝して

横になると心地よい風が抜けて
近づいては遠ざかる電車の通過する音
身体は床に溶けてしまいそうだ

そろそろ戸締りをして帰ろう
母のいない実家はもの足りない
父の位牌に手を合わせ

また来るよ

そう言って戸締りをしながら
母の書き置きをもう一度読むと
「申し訳ない」と言う言葉が
「申し沢ない」と書かれていて
クスっを実家に置いていった

#詩

ワオ!と言っているユーザー

ハレルヤ

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僕らは流した血の果て
戦争を忘れる訳ではない
あなたの微笑みが愛おしくて
戦争を遠ざけることが出来る

ハレルヤ
誰もが救世主となって
世界に平和の鐘が響いている


僕らは自分が大事であっても
ひとりだけの平和を祈りはしない
愛するひとへの慈しみがあって
祈っているのだから

ハレルヤ
誰もが救世主となって
怒りが静謐な夢を見れるように


僕らは知っているのさ
攻撃をすることが強いのではなく
肩を並べ分かち合いながら
強い心を育んでゆくことを

ハレルヤ
誰もが救世主となって
世界に平和の鐘が響いている

#詩

ワオ!と言っているユーザー

献血

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それはとても
わかりやすい奉仕

すこしのチクッを望めば
人のために役立つ
今日は400ml

15分ほどですかね

と、看護師さん

シートの前にあるテレビをつける
怪しい雲行きのニュースに
終わるなよ日本と呟く

画面の右上には15:23の表示
15:40には採血も終了するだろう

はい、終了いたしました
針を抜きます

15:27

四分もかかっていない
私の血流はF1並みのスピードらしい
その割には手足が冷たかったりもする
まあ、専門的なことは分からないが
看護師さん曰くいい血管だと言うことだ

今日で19回の献血
その9割が十代、二十代の頃だ
五十歳を過ぎ初めての献血
これからまだまだ奉仕したいなあ

目標100回

この目標は長生きをすると言うことだ
深く考えなくても役に立つ献血
とてもわかりやすい奉仕だ

#詩

ワオ!と言っているユーザー

Signal

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天井は赤色、壁は黄色、床は青色の箱に中に立っている。その箱は一辺が五メートル程の立方体で造られていた。僕がなぜこんな所に閉じ込められているのかは分からない。これが現実なのか、夢なのかも全く見当が付かない。いったい、何がどうしたと言うのだ。そして、僕は誰なんだろう。家族はいるのだろうか。帰る家はあるのだろうか。その前に生きているのだろうか。いや、生きているが虫かごの中で生かされているようなものだ。この状況は孤独で社会が存在していない。法律も関係なければ秩序も必要ない。

僕は青色の床に横になった。喉が渇いているが水などはない。舌がザラザラして飲み込む唾液さえ出なくなってきた。ここの空は赤色だ。身体を溶かしてしまいそうな熱が伝わって来るような感じがする。視線を黄色の壁に向け、少し色彩の攻撃から逃れられる気はするが、もう生きていようとする抵抗さえ消えて行く。

生きている意味のない場所には、もう生きようとする夢など生えては来ない。しがみつく草も無ければ、しがみつく根拠も無い。ただ、僕は終わり方に人間としての最後の意地を貫こうとした。それを無理矢理に希望だと決めつけて。

力を振り絞り、青色の床にうつ伏せになる。もう仰向けに戻る力はない。出来ることは瞬きすることぐらいになってしまった。眼に浸透するその青色で床に身体が埋もれて行くのを感じている。

離れて行く、僕と身体が。飛んでいる。僕は間違いなく飛んでいる。

僕は初めて希望の中で消えることを確信した。

#詩

ワオ!と言っているユーザー

全集を綴る

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過去の感情を忘れられず
辛い後ろ側で如何にか楽しもうと
心に図太さが育った

スマートな大人にはなれない
詩人がいる訳で
欠けていた慰めを求め
旅するみたいに詩を綴ったりする

過去の心情を探る
未来へ進むことに繋がり重ね合い
分厚くなる詩人の全集であり
改訂される人生は過去と未来の協奏曲

懐かしき匂い温もり安らぎ
懐かしき寂しさ虚しさ苦しさ
その頃の心情を整理整頓してしまう

最近
過去に未来を見ることが多くなった
未来に過去を見ることが多くなった

それでも
歳をとってゆく自分の未来に
進んでいるのだから
詩を綴ることは不思議な体験だ

#詩

ワオ!と言っているユーザー

平和の歌/戦争を考える

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わざわざ不安になれとは言わないが
アニメーションみたいに
ボタンが花となったりはしない

平和を考えるために
戦争を考えなくてはならない

殺し合うために生まれたのか

戦争を望む者は
自分や愛する者が
殺される想像をしただろうか

自分達の平和のため
戦争は必要なのだと言うのか

インターネットにより
世界は速く近く小さくなって
情報の質は怪しく粗いものとなり

誰もその情報で明日の雲行きなど
知ることはできない

明日かもしれない

けして私たちは
殺し合うために生まれてきたのではない
人間である道徳は世界共通の歌

平和を考えるために
戦争を考えなくてはならない

平和を愛するために生まれた私達は
戦争を考えなくてはならない

#詩

ワオ!と言っているユーザー

身体心象

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軋む身体は痛みと痺れ
日々に学ぶ有限の命
だからこそ
時をグッと引き寄せ
今は生きていたい


焦りに煽られ
疲弊してしまう心身

覚悟はできているつもりが
気を抜くと襲いかかる
価値のない自分を許せなくて
どうして、の
未熟は止まらない

この世界で何を
成功させたいと思っているのか
証を高台に置こうと、くだらない夢を見て

雑念をとり除く発想と
納得を外に零さぬように
自分の中だけで証を灯しながら

痛みと痺れ
付き合うしかない諦め
まずはそこから進まなければ
何も始まらないのだから

#詩

ワオ!と言っているユーザー

にょき

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にょき
光に向かう力
伸びる力
にょき
にょ

#詩

ワオ!と言っているユーザー

なんでもない半日の物語

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さてさて、なんでもないだろう一日が始まった。よっしゃ行くぞ、図書館に。そんなに気合を入れなくても良いのだが、気合いを抜くと半日はすぐに過ぎてしまう。先週はダラダラしてしまって、後で自分の溜息に気分が悪くなってしまったから。

昼過ぎ、今日の図書館は閑散気味だ。春の太陽が燦々、世間は観光にでも行っているのだろうか。私は視界の五割が空という開放感のある自由席に座る。ああ、なんとラッキーなんだ。私にとってはポイントの高い幸せだ。

そして、いつものことだが直ぐに本は読まない。まず、詩をひとつ書く。が、今日は思考を変えて詩の題材をタブレットで検索する。「詩集 人気」でクイック。売れている詩集のランキングが掲載されているようだ。そこを閲覧。

なぬなぬ、一位は『あたりまえポエム』とかいう詩集だった。「なか見!」機能で閲覧。ほうほう、ほんとうにあたりまえのポエム? になっている。「あたりまえ」の力で癒されようとかいう趣旨の詩集らしい。これまた著作権が絡んでくるので、私が掲載されている作品に似せたものを考えよう。

今日がないと明日はないよね

ひとりでいるといつもひとりぼっち

知らないひとに誰? って言われた

星って星形じゃないよね

水は透明だけど見えるんだっ

まあ、こんな感じの言葉が綴られているようだ。私もこの本を読んだわけではないので、的はずれだったらゴメンって感じで。世間は病んでいるのか、言葉遊びを楽しみたいのか、妙な詩集?! が売れているもんだ。

ではでは、本を探しに行こうと思うが何か書きたい。 詩か、いや小説がなんだか書きたい。と思い今、この訳のわからない散文というか、小説というか、そんなもんを書いている。そこで、ひとつ。
「詩と小説の大きな違いはなんだろう?」
詩を書くのも小説を書くのも自分。違いは表現方法。そこにも一定の決まりごとなどないから、また面倒な話だ。しかし、そんな境界線を無くしてしまえば解決だ。いや、そうはいかない。物語を読みたい時にコテコテの詩が書かれていたのなら、それはそれで面倒なことになってしまう。難しい定義だ。難しいこと、今は考えたくない。それが休日の過ごし方だ。んっ、そこは納得。逃げっ。。。

そして、逃げた先は公園のベンチだ。雲がかかり、風が木々の枝を揺らし、この小説を書く環境には厳しい状況になってきた。ああ、タブレットの画面には雨がポツン、ポツン。雨粒の表面が明かりによって虹の色が出ている。しかし、雨上がりの虹ではない、これから来るぞっ、って感じだ。さあ、家に逃げろっ。

こんなところで、この小説は〆だ!

さいなら。。。

#詩 #雑記

ワオ!と言っているユーザー

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