詩を書く時 私の感情は方位磁針となり ひとつの昂りを指す 喜びの赴くまま 揺れ 怒りの赴くまま 尖り 悲しみの赴くまま 凹み 不安の赴くまま 撫で 不思議の赴くまま 旅し 勇気の赴くまま 堅く あるがまま 感情を紙面に泳がせ 方位磁針の先に自由を獲得する 感情の物語を 表現する喜びを知ってしまったら もう書かずにはいられない その発する言葉の 止め方などもう誰にもわからない
束の間の安堵 今日、戦争が始まってしまう そう感じていたから 電車の中では 危機感のない顔が並び どうして周りの人がそんなに 落ち着いていられるのか 不思議だった そんな自分も 仕事へ向かっているのだから 大丈夫だ、戦争なんて起こらない 心のどこかで精神のバランスをとって 小さい頃に 戦争の話を身内から聞いたり テレビなどで悲惨な映像を見ていた それが夢でうなされるくらい怖くて 虫けらのように殺される 次は自分が、と 大人になってその恐怖は 遠いところに行ってしまった しかし再び日本に 黒い空が包み込もうとしている もし自分の守るべき家族が…… そう思うと 小さい頃、感じていた恐怖に さらなる絶望を載せ襲ってくる ボタンがひとつ押されれば すべてが終わってしまう可能性 核ミサイルの脅威 ボタンを押すために核ミサイルを 造ったわけではないだろう 自国に打たれないため、権威を保つため 脆弱な均衡を保ってきたというのか 何かひとつ狂ってしまえば…… その時が今日だと予感した 嫌な予感は外れ 胸を撫で下ろしてはみたものの…… 帰りの電車も 危機感のない顔が並んでいる 今日という日が きっと世間では平和に流れたのだろう そして 私の嫌な予感は続いてゆく 明日かもしれない、と
いいよ 君のその言葉はラヴではない 僕に対する優しさだった 何度も抱いてしまいたい そう思っていたけど 水を被ったように冷めてゆく 君の優しさは鋭い棘 僕のエゴは鋭い棘 重なり合ったのなら 傷だらけになるのだろう 一瞬で理解したふたり 僕でなくてよい君 君でなくてよい僕 でも そんなに単純ではない 傷だらけになりたい僕と君 そして その傷を慰めあいたいふたり ……そこが ふたりの始まりだった
とりあえず布団には入っていた 右足の靴下を履いたまま 少し横になっているつもりが 夕飯を食べてすぐに寝ていたようだ すこし早い目覚めに 日々のするべき行程をいくつか飛ばす とりあえず歯を磨き顔を洗う もう片方の靴下を探しながら 大事なことをひとつ思い出し慌てる ごはんの炊飯タイマーをしていない そんなわけで早炊 休日にチャージした体力を 月曜の一日でずいぶんと使ったようだ しかし 今日の睡眠は質が良かった 頭は軽いし首腰の調子も悪くない 詩も日記のようにすらすらと よしゃよしゃ たまにはこんな日も良いもんだ 普段はそんなに早寝は出来ないが 睡眠は日々の活力源 しっかり確保せねばいかんなあ 一日が三十時間あったら なんて思うことがあるのだが 二十四時間で上手くやって行こう
フィクションは想像内 現実の想像できないところに 天才が存在する 自分だけの集中世界 とても純粋に駒をさすことに 時間を示さない時計を持ち 終わってしまえばあっという間 歓喜の声が聞こえ 天才だと賞賛されても 天才に天才という概念などなく 人と人を比べるような 感覚など微塵もないのだろう 世間の度肝を抜く 集中力は夢を見せてくれる その生き様から輝きを放つ 見守られる環境の中で 誰でも持っている可能性の追求と 雑念のない集中世界の中から 天才は世間の想像を超えてみせる
僕らに望まれているストロークは 宇宙が拡がる速さより 高速な思いで愛を知ろうとすること グズグズなんてしてられない なあ、そうだろ青春 メジャーコードで惑星なんて砕いて そこどけそこどけ 誰にも止められないのだ もう響いて痺れているんだから なあ、そうだろ青春 ボーカルの吸い込みは ブラックホールを飲み込んで 諦めるなよ その言葉を吐き出すんだろ なあ、そうだろ青春 繋げや繋げや君と僕を ベースはウナウナと過激に 異物な立体感の拳は鋼より硬いぜ なあ、そうだろ青春 ちっぽけな孤独なんて 君と僕が出会い 溶け合うものなんだろ 今を超感じて生きて行くんだろ なあ、そうだろ青春
記憶はすれ違って なんだか物足りないふたり 慣性の法則 ゆるゆると続く回想 もう 視線は交じりを知らない 悲しくもなく 寂しくもなく 想い出にもならない 夢の跡が代りに汚れて ふたりの納得 淀んだ空気の中で無臭 互いの方向に拾う孤独はなく 理由と確信 ドアノブの金属音 時間を捨てる想像の向こうへ Good by......
本日は予定がないため図書館へ。 詩の棚に新しい本が置いてある。 『世界はもっと美しくなる』 詩:受刑者、編:寮千子 (出版社:ロクソン社)という本だ。 奈良少年刑務所詩集の第二弾。 まだ発行されて半年の詩集を手にとる。 前作より纏まった作品が多く、 詩人が書く詩より数段に詩であったりする。 (前作も素晴らしい) 読んでいて時間を止めてくれる作品ばかり、 グッと惹きつける素晴らしい詩集であった。 すべて受刑者が書いた作品集となっている。 やはり著作権があるために 作品をブログには載せられない。 詩集はインターネットなどで、 全て無料で拝読できるようになれば、 素敵だなと常々思うのです。 すると詩人が詩を書き収入もなくなるが、 それで良いのではないだろうか。 詩はすべてボランティア。 紙媒体は読みやすくカタチへの想い入りがあるが…… (インターネットを使わないひともいるよな……) って、いうか自腹を切って 私家本を出される方も多いが、 それはそれで凄い意気込みを感じ、 尊敬に値するものではある。 かなり脱線してしまったが、 こちらの本はこれこそザ・詩ってことだ。 とても心を揺さぶる詩集であった。 個人的に好きな作品は「涙」。 34ページ。 頑固で仕事一本の父で、 息子の名前さえ呼ばない親。 しかし、その父親が警察に 「こどもを漢字ひとつであらわすとなんですか」 と問われ、「宝」と書いたそうだ。 このストーリーに含んだ親子の繫がりにハッとした。 よしっ、もう一度読んでみようかな。。。
なっ、わけで ぼくはそうなんだ えっ、どうして ぼくはこんなに ぼくをそんなに こんなにしてしまうのは いつか観た あの映画のせいかもしれない そうして太郎は 行ってしまったのだから 言葉を捨てられ かなしみの伝言すらできない あっ、いた ぼくが向こうに えっ、どうして ぼくはこんなところに そして二郎は 帰ってきたのだから 言葉に絵の具をぬり べつじんとして なっ、わけで ぼくがそんなに こんなになってしまったのは ぼくが三郎だからなんだ
ごきげんよう 私がミスターポエムです ご存知でしょうか 多くを語らない 想像を詰め込んだ 風船を膨らませている者です 流れゆく喜色、怒色、哀色、楽色 感情が揺れるように バランスよく散りばめます どの色をキャッチするかは みなさまのご気分しだいです 迷わずにすっとお取りください あららっ 涙を流されているのですね でも大丈夫ですよ その風船に願いを込めて 手放してみてください きっと 素晴らしい未来が待っています 私はそのために 風船を膨らましているのですから みなさんの幸せを夢みる 私がミスターポエムです