僕らのナイフと空
12月
17日
誰のものでもない空を見上げ
ポケットに手を突っ込み
持っていないナイフを探し
お守りの落とした場所を考える
不安の隙に君の手が添えられた
か弱きナイフ
それでもグイグイ
胸の中を刺しては隣で微笑む
恋は愛を求め始め
希望が細く潰れてゆくと
僕は君のナイフを受け入れ
痛みを涙に変えた
この世界から抜け出す入り口
誰も踏み込んだことのない空間に
新たな世界を見るために
視線をなるべく上へと向けた
湿った冷たさが
振り子のように落ちてきた
僕の失望は君の刺した切り口から
膜を張り苦笑いを促す
僕らは唇を合わせる
内緒の世界は扉が広く開き
空はふたりに指定席券を降らした