冬の中間に佇み 誰のものでもない空を見上げ ポケットに手を突っ込み 持っていないナイフを探し お守りの落とした場所を考える 不安の隙に君の手が添えられた か弱きナイフ それでもグイグイ 胸の中を刺しては隣で微笑む 恋は愛を求め始め 希望が細く潰れてゆくと 僕は君のナイフを受け入れ 痛みを涙に変えた この世界から抜け出す入り口 誰も踏み込んだことのない空間に 新たな世界を見るために 視線をなるべく上へと向けた 湿った冷たさが 振り子のように落ちてきた 僕の失望は君の刺した切り口から 膜を張り苦笑いを促す 僕らは唇を合わせる 内緒の世界は扉が広く開き 空はふたりに指定席券を降らした