もの言う牧師のエッセー 傑作選
第111話 クリスマス・ストーリー
「 Tips for Jesus / イエスさまにチップを 」
クリスマスシーズンたけなわのアメリカで、NYシティとLAを中心にとんでもないキャンペーンが進行中だ。その名は「Tips for Jesus/イエス様にチップを払おう」である。つい先日、とあるニューヨークのレストランでもそれは発生した。
見知らぬ3人の男性が来店し、彼らが食事を済ませた後、ウェイターのアルジュ君は彼らのテーブルへ111ドルの勘定伝票を持って行った。戻ろうとしたその時、3人の男性のうちの一人がアルジュ君を呼び止め、「今夜はすごいぞ」と言いながらクレジットカードの控えを彼に手渡した。「えっ?!」と絶句するアルジュ君。何とそこには1000ドルのチップが。「危うく勘定伝票を落とすところでした。本当に嬉しいです!」と満面の笑みの彼。
だが、通常飲食店でのチップは勘定の15%前後と決まっているので、彼らは15ドルほどのチップ置けば済むはずだが、いったいなぜ? 実のところ、この“奇怪“ な事件は今年の9月、ミシガン州アンアーバー市で何者かが、87ドルの勘定に対し3000ドルのチップを置いて行った時から始まった。その後215ドルの勘定に対し2000ドル、そして214ドルに5000ドルのチップ、さらにNYマハッタンでは7000ドルのチップを置いていく人などが続出。不思議なのはどの伝票にも ”Tips for Jesus” と書かれていることである。
マスコミがようやくこれらの支払い者の一人にたどり着き、“高額チップ” の理由を尋ねたところ、「なぜって?そりゃ100倍置きたいからさ!」と即答。「チップを置く度に、主の働きをするんだよ。」とも。
これは聖書に出て来る イエスのたとえ話「100倍実らせる良い種」から来ていることは間違いない。なるほど、これらリッチな人たちは聖書の
「寄るべのない者に施しをするのは、主に貸すことだ。
主がその善行に報いてくださる。」 箴言19章17節
を見事に実践し、100倍の良い業を実らせようとしたのだ。米国では、飲食業界において最低賃金で働いている人が多く、つい最近も大手マクドナルドを始め全国規模のデモがあったばかり。彼らはそれに心を痛め、十字架で自分を捧げたキリストに見習い、爽やかな善意の風を吹かせたのだ。今年のクリスマスは、神が我らのためにご自身を捧げて下さったことを今一度思い出し、良い行いを100倍、1000倍と増幅させよう。 2013-12-19