記事検索

フリースペース

南加聖書教会ホームページ: http://wdx.socalbiblechurch.com/ 南加聖書教会フェイスブック: https://www.facebook.com/SoCalBibleChurch/

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第12話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第...
第12話「日本語看板製作」

その後、年末に独立して自給で開拓伝道が始まり(第8話参照)、手始めに日本語の手軽な看板を作ろうということになった(第10話参照)。12月に大規模なバイカーの集会がLAの東100キロの所にあるベンチュラ市で開催されるので行くことにしたが、実はそこはエミリオが住んでいる街だ。風光明媚なビーチタウンで山があり、人口が少ない田舎で、バイクやサーフィンにもってこいの典型的なカリフォルニア的な所で、かつての古き良きサンタモニカのような場所なので、彼はゴミゴミしたLAを嫌ってそこに長く住んでいる。

集会のついでに彼にも会おうと思い電話をするとその日は仕事だという。残念だと思いつつ独立して教会を始めることや看板を作る話を何となくしたところ、「何?看板だったら俺が作れるぞ」と言ってきた。彼は家の修理などをする”ハンディマン“なのでが、「え、マジで? でもこれ日本語だよ。どうすんの?」と聞いたところ、「そんなの関係ない。日本語の原本をスキャンしてステッカーを作り それを板に張るだけ。ダチでそれを専門にしてるやつがいる。どんなのを作るのか決めてるのか?」と聞くので、「縦25センチ 横80センチ程度、白文字で背景が焦げ茶色、出来るだけ簡単で軽いのが欲しい。」と答えたら、「任しとけ。楽勝や。集会場前で会おう。届けに行くから」と事もなげに言う。

とある婦人に墨で半紙に書いていただいた原本を彼に送り、「ホンマかいな?」と疑心暗鬼で当日を迎えたが、「はい、コレ」と渡されたのは私のイメージ通りの見事な出来栄えの日本語看板!「で、おいくら?」と尋ねると、「そんなもんいらねえよ!お前はアリッサを助けてくれたじゃないか」と言ってきた。スキャンしてステッカーを作った人もおそらくアリッサの友人なのだろう。しかし私が助けたと言っても微々たるもの。いくら何でもタダというのはなどとゴニョゴニョ言ってるとさっさと帰っちゃった。そうだ。忘れてた。彼は今日は仕事の途中だった。私はただ天を仰いで神に感謝するしかなかった。そして、イエスさまの言葉

「聞いていることによく注意しなさい。
 あなたがたは、人に量ってあげるその量りで、
 自分にも量り与えられ、さらにその上に増し加えられます。」   
           マルコの福音書4章24節

を噛みしめた。しかし太っ腹な主の恵みはこんなことでとどまるものではなかった。奇蹟は続く。。。
                      9-8-2019

ワオ!と言っているユーザー

愛する皆様へ。55歳になりました。

スレッド
愛する皆様へ。55歳になりまし...
神さまとカミさんと皆様に感謝!今後ともよろしくお願い致します(^^)

ワオ!と言っているユーザー

もの言う牧師のエッセー  傑作選 第52話

スレッド
もの言う牧師のエッセー  傑作...
第52話 「 戦う中国男児 」

  2012年9月11日、日本政府は尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島を埼玉県在住の地権者から20億5千万円で購入、正式に国有化を完了した。これに対し中国の多くのメディアが、異例とも言える大々的な尖閣特番を編成、反日感情を醸成するいっぽう、中華人民共和国外交部報道官による暴力的デモ容認とも受け取れる発言も加わり、それまで比較的小規模だったデモは、週末土曜日を迎えた同月15日一気に拡大、中国の50都市 以上で反日デモが発生するに至った。

その後デモ隊の多数が暴徒化し、日本車や日本料理店、日本企業の工場が次々に破壊、略奪、放火に遭い、中でも湖南省長沙市の日系スーパー「平和堂」は売り場全域が破壊し尽くされ 被害総額10億円、山東省青島市の「イオン黄島店」も徹底的な略奪を受け被害総額25億円に上り、青島イオン社長の折口史明氏は「もうこれはデモじゃなくてテロだ」と憤った。

しかし、その様な“戦争状態“の中、陝西省西安市ではスゴイことが起こった。 何と1人の善意の中国人男性が、広げた段ボールに「前方で車の破壊行為が行われている。日本車はUターンを」と書き、それを持って路上に立ち続け、多くの市民を暴徒から救ったのだ。彼の行動はたちまちネット上を席巻、「暗黒の1日に一筋の光を灯してくれた」などと大絶賛された。これを見て、キリストの十字架での犠牲による人類の救いを思い出した。
  
「 私たちがまだ罪人であった時、
 キリストが私たちのために死んでくださったことにより、
 神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。」
              ローマ人への手紙5章8節

とあるように、愚かで暗闇に住む人間のために 神であるキリストが、先に体を投げ出して救ってくださったのだ。キリストを絶賛しよう!   2012-10-21

ワオ!と言っているユーザー

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第11話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第...
第11話「初めて貰った献金」

シゲコさんへの訪問が始まった頃、私は小さな日本人教会で伝道師をしながらひたすら神学生として勉強に没頭していた。いっぽうで生活は苦しく勤めていた鮨屋が閉店し全くの無収入(第6話参照)。教会やミッションでの働きは全くのボランティアなので経費は全てこっち持ち。妻のバイト代と貯金を切り崩して何とかしのいでいた。そんなある日、トムさんが「いつもありがとう。これアンタに」と言って300ドルくれた。

それと前後して私の親友でメキシコ人のエミリオ君が「俺の姪でアリッサという名の15歳の女の子が乳がんの手術を受けることになった。今みんなで金を集めてるのだが教会で仕えるミッキーにもお願いできないだろうか」と尋ねてきた。「おお、それはいい。ここにちょうど300ドルある」と思いつつトムにさっそくそのことを伝えたところ、「君にやった金だ。どう使おうか君の勝手だ」と言いつつ目は笑っていない。やはり私に使って欲しかったのだ。「じゃあ150ドルでは?」と半分いただくことにしてトムをなだめ、残り半分の150ドルに教会メンバーらの寄付を加えた約180ドルをエミリオに送金した。恥ずかしいくらいの僅かな金だが彼はとても喜んでくれた。

いっぽうエミリオたちは驚くべき行動に出た。メキシコ人という大家族と友人同士の結束力を生かし、何とバーを借り切り「アリッサのために」というイベントを開催、酒とおつまみが飲み放題食い放題で一般客から寄付を集い数万ドルを集めた。もちろんバーのオーナーも友人である。イベントは大成功だった。アリッサは無事に手術を終え順調に回復、サンキュー(感謝)カードを送ってくれたがしばらくしてテキサスへと引っ越して行った。初めて貰った献金はその何百倍の恵みに与った。

「受けるよりも与える方が幸いである。」使徒の働き20章35節

しかし神の祝福はこんなことだけでは終わらなかった。これらのことをきっかけに、この一年後、とんでもないことが起こることを私は知る由もなかった。      つづく。。。

8-24-2019

ワオ!と言っているユーザー

もの言う牧師のエッセー  傑作選 第47話 「 仮想水/バーチャルウォーター 」

スレッド
もの言う牧師のエッセー  傑作選 第47話 「 仮想水/バー...

第47話 「 仮想水/バーチャルウォーター 」

今年のアメリカの夏は暑かった。暑いだけじゃない、雨が降らなかった。お陰で中西部の穀倉地帯は56年ぶりの大干ばつに見舞われ、ブラジルでもこれまた50年ぶりという干ばつが進行中だ。すでにシカゴ商品取引所でトウモロ͡͡コシ価格が最高値を更新する中、国連食糧農業機関でも食糧危機の警告を開始した。

日本はというと、西日本では台風による豪雨が集中する一方で、関東地方ではサッパリ雨が降らず、利根川流域の1都5県は11年ぶりの取水制限 だ。日本は自他共に認める水の豊かな国ではあるが、実のところ1人あたりの水の利用可能量は、国際的に見れば平均より下に位置する。なぜなら、仮想水/バーチャルウォーターが莫大だからだ。

仮想水とは、日本が大量の食糧を輸入している中で、それらを日本で生産したと仮定した場合に要する水の量を指す。東大の沖大幹教授の試算によれば、日本の水使用量835億トンに対し、仮想水は640億トンというから驚く。要するに仮想水がなければ日本は“枯渇“するのだ。周知の通り、雨が降らず水がなければ我々の生活は成り立たない。キリストは言う。

「わたしが与える水を飲む者はだれでも、
 決して渇くことがありません。わたしが与える水は、
 その人のうちで泉となり、永遠のいのちへの水がわき出ます。」
             ヨハネの福音書4章14節

と。これは全宇宙の創造者である神が雨を降らせて下さるのは元より、さらにキリスト自身が“バーチャル”ではない水そのものであることを説明している。今日の世界に生きる我々は、まるで干からびたアメリカのトウモロコシ畑のようにカラカラに乾いてはいないだろうか。おいしい水を豊かに飲みたいのではなかろうか。干ばつの脅威を間近で見る今こそ、「命の水」であるキリストを信じ、渇きを癒そう。             2012-9‐25

ワオ!と言っているユーザー

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第10話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第...
第10話「本来の教会」 シゲコさんシリーズ part 5

教会が発足し、自宅(当時はアパート)を使って妻と2人で日曜礼拝を細々と始めたが、シゲコさんは日曜礼拝に来れないので私は出張礼拝という形で週一度の割合で施設まで通っていた。いっぽうで、何とか彼女が教会に来ることは出来ないものかと思案する日々。息子のトムさんはOCからLAまで2往復する覚悟でいたが、往復200キロプラス彼と私の家の往復50キロが加わり合計250キロ以上もの運転を強いる分けにはいかない。

そんなある日、「教会の日本語看板を造ろう」と思い立ち、かつて在籍した教会の友人で達筆で知られる台湾人の林(リム)愛子さんを訪ねた。80歳と思えないほど若々しく、柔和で思いやりに富み、身を挺して教会を支える善きキリスト者の見本のようなご婦人なのだが、「あのー、フルバヤシ先生、もし出来たらここで月一度くらい礼拝できませんか?」といきなり聞かれた! ここならLAまで2往復140キロ程度、月一度ならトムさんも運転できるかも知れない。「ありがとうございます!」と2つ返事で決まった。月一度の夕礼拝ということで、礼拝後に皆さんに食事もしていただこうと言うことになり彼女は料理も振舞うことになった。すごいバイタリティである。しかもこの家にはプールがあるので洗礼式ができ、さらにグランドピアノまであり礼拝にうってつけなのだ。結局ここで半年ほど世話になり一人の青年が受洗できた。

ところで、リムさんは幼き頃より台湾教会へ数十年通っている。息子さんは台湾で数千人規模のメガチャーチを牧会してるほどのクリスチャンファミリーだが、彼女の世代は日帝教育の影響で日本語が流暢、大の親日家なので自身の教会へ行った後に近所の日本語教会へも通い続け奉仕されてきた。

実はアメリカにはこういうケースが多い。今回の”シゲコ・ミッション“の口火を切ったドーソンもウチの教会員ではないが、あれ以来10年にわたって月々の1/10献金の中から幾らかを捧げてくださり、折にかなった様々なヘルプをしてくれている。同時に彼は他の教会に在籍する友人と祈祷会も行う。また、シゲコさんの息子さんのトムも自身が通う母教会に加え、他教会へ通うクリスチャン男性の交わりを毎週月曜の夜に何十年も続けている。共通しているのは彼らが決して教会から教会へ渡り歩く”チャーチ・ショッパー“ではなく、母教会にしっかりつながり1/10献金や奉仕を続けつつ、他のミッションを手伝うミニスターであることだ。

日本では農耕文化のせいか終身雇用のごとく同じ教会へ通いそこの人々とだけ交わることが殆どで、せいぜいクルセードや音楽イベントなどでたまに”よその人”と会うだけの人が多い。また、近くに教会がないなどの理由でキリスト者と交われない”教会難民”も少なくない。だが、彼らのように「超教会型教会」なら何でも可能だ。ずばり“彼ら自身が教会”だからだ。我が南加聖書教会も日曜礼拝に来れない人のために出張礼拝や聖餐式、補填クラスなどを続けている。これがイエスさまが言う本来の教会の姿なのだ。

「二人でも三人でも、わたしの名において集まる所には、
 わたしもその中にいる。」 マタイの福音書18章20節

8-8-2019

ワオ!と言っているユーザー

もの言う牧師のエッセー 傑作選 第45話

スレッド
もの言う牧師のエッセー 傑作選...
「 ほんとにあった怖い話 」

       フジテレビで1999年から毎年夏に放送されている、通称「ほん怖」が今年 も8月18日に放送され、見事に視聴率16%を稼ぎだし絶好調だ。しかも今年も昨年に続いて“土曜プレミアム”枠での放送となった。

過去の同番組枠には、大ヒットドラマ「電車男、最後の聖戦」や、超人気映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」をはじめ、格闘技の「K-1グランプリ決勝戦」や、バラエティの「松本人志のすべらない話 ザ ゴールデンSP」などの超人気番組が並ぶことからも、改めて「ほん怖」の人気ぶりが伺えよう。

一体なぜ日本人はこれほどまでに怪談が好きなのか。おそらくそれは、科学では良く理解出来ない“神秘的“なことだからなのかも知れない。しかし実のところ、人が幽霊を理解出来ないのは当たり前の話なのだ。なぜなら、幽霊は “霊” だからである。ちょうど3次元の物体を2次元の手段で表現するのに限界があるように、我々物質的世界で”霊的世界”を説明するのは難しい。 が、実は世界最古の本である聖書は

「 神は霊である」ヨハネの福音書4章24節            と明言する。そして
  
「神の霊以外に神のことを知る者はいません。私たちがこれについて語るのも、人の知恵に 
 教えられた言葉によるのではなく、霊に教えられた言葉によっています。つまり、霊的なも 
 のによって霊的なことを説明するのです。自然の人は神の霊に属する事柄を受け入れませ 
 ん。その人にとって、それは愚かなことであり、理解できないのです。霊によって初めて判 
 断できるからです。」              1コリント2章11‐14節:共同訳

とある。実は聖書には幽霊や霊媒、さらにはUFOもどきの話まで出て来る。おまけにキリスト自体が幽霊に間違われたりもしている。まず神を信じ、神の霊を頂き、良い霊と悪い霊を見分けよう。          2012-9‐9
    

ワオ!と言っているユーザー

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第9話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA 第...
「洗礼第一号」 シゲコさんシリーズ part 4

これまで1年にわたり交わりやBS(バイブルスタディ)などミッションをして来たが、ついに正式に独立し礼拝を中心とした教会が発足。通常アメリカでは地名などコミュニティの名が教会につくが、私たちはすでにかなり広範囲の人たちと関わっていたので思い切ってLAからSD(サンディエゴ)までを表す「南カリフォルニア(略して南加:在米日本人が使う当て字)聖書教会」と名付けた。なお英語表記では”Southern California“ の愛称で これまた略語でもある“SoCal”となり「So Cal Bible Church」、「ソーカル・バイブル・チャーチ」と発音する。

シゲコさんが夏に救われてから何も出来ぬまま12月になってしまった。久しぶりにトムに電話するとかなり怯えた様子。結局 彼女が出席できる教会は見つからず、そうこうしてるうちに体調がさらに悪化しベッドにふせったままと言う。何かあるとは聖霊に示されていたがここまでとは。急いで訪問したら彼女は又してもボケーっとこっちを見てる。祈りつつ話してると急に「あ!フルバヤシさん!」と思い出し笑みがこぼれた。これで夏の頃の状態にリセットしたことを確認、神に感謝した。

とりあえずトムに私たち夫婦が自給伝道を志し独立して教会を始めることを告げ、来月から正規礼拝を開始、シゲコさんの所へは「俺が通う」と伝えた。また、病床洗礼に向けてBSも兼ねて受洗クラスも始まり、往復100キロを行き来し地道な交わりを続けた。いっぽうで、私とトムには一抹の不安があった。それは「彼女が自分のしていること、学んでいることを理解しているかどうか」だった。そんなある日、詩篇23篇を朗読した際、彼女は一節の”主“を見て「Is this Jesus?(これイエスさま?」と聞いてきたのでビックリ!「あれっ、シゲコさん、イエスさまをちゃんと分ってるじゃない!大したもんだ。と言うか、今シゲコさん 英語で喋ったよね?英語も思い出したんだよね!」。彼女と2人きりの病室で、神の恵みにただひれ伏した。

それからしばらくして彼女がいる施設「敬老ホーム」の一室を借り病床洗礼を執り行った。図らずもこれが当教会受洗者第一号となった。ミッションを始める前、私はてっきり教会に導かれるのは私のようなガラの悪いオッサンか兄ちゃん、或いはレストラン関係者だと思っていたので本当に驚いた。周辺の日本人教会の牧師たちも「85歳の女性に洗礼を施すとは! しかもこれが初めての洗礼の奉仕だとは!」と驚き、神を賛美していた。その後、彼女はすっかり英語を思い出しトムさんとも会話できるようになり、さらには歩けるようにもなった。まさに奇蹟の街道を進む日々であった。

「人知をはるかに越えたキリストの愛を知ることができますように。
こうして、神ご自身の満ち満ちたさまにまで、
あなたがたが満たされますように。」 エペソ人への手紙3章19節
                   つづく。。。

ワオ!と言っているユーザー

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA  第8話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA  ...
第8話「独立伝道開始」

  めでたく茂子さんは救われたが予想通り色々問題が出て来た。入居施設へは遠く毎週の礼拝への出席は叶わない。しかも彼女は単独では外出できず常にトムさんが付き添わないといけない。無理して来れたとしても献金や奉仕が出来るわけではないし、洗礼するにも先に学びをしないといけない。当時の私は小さな教会で伝道師をしていたのでとりあえず主任牧師に事の次第を話したところ、彼は茂子さんの救いを喜ぶどころか「その施設にはチャプレンがいるはずだからその人に任せろ」と言う。牧師というのは”自分の教会へ来てくれる人”には優しいがそうでない人には冷淡な場合が多い。

いっぽう、その施設のチャプレンは常駐しておらず、礼拝もなく、仕方なくトムさんは周辺の日系教会の門を叩き始めた。実は施設はリトルトーキョーの近所なので周辺に10件以上の日系教会があるが、どこも日曜の朝以外は空っぽ。50キロ離れたOCで日曜礼拝を守っている彼は誰とも接触できなかった。さらに私自身は鮨屋をクビになったのをきっかけに1日十数時間かけて神学生として猛勉強中で余裕がなく、何も出来ないまま時間が過ぎ焦りは募った。

しかしある日、ひょんなことからモヤモヤを吹き飛ばす奇蹟が起こる。何と私のオヤジが約50年前にテキサス州のダラス神学校で学んでいた時の“日本人クラスメート“がこのLA在住であることが分かった。リトルトーキョー近くのLAバプテスト教会引退牧師の山田和明師である。親父より一回り上の80過ぎの見知らぬ爺さん。会いに行ったら私には初対面だが彼には”再会“で、私がダラスで生まれた時、彼は私を腕に抱いてくれたそうだが私はそのことを全く知らなかった。その時の赤子が今ガラの悪いオッサンになって50年ぶりに突然バイクで現れたわけだが、彼は大声で「神よ。あの時の赤ちゃんが今、目の前に主の僕として現れてくれたことを感謝します!」と主を称え、2人で神の不思議な導きを分かち合えたのだった。

彼に今回のシゲコさんを巡る教会の問題などを打ち明け これからの進路などについて聞いたところ、「君は単立教会の出身だろ?じゃあ“単立の神学”を継ぐべきじゃないのか?!」とはっきり言われた。大きな衝撃を受けた。当時の私は伝道師として小さな教会の”お手伝い“であり、独立して開拓する気など全くなく、その度胸もなく、ましてや日本にいたころ私の両親は自宅を使って開拓教会を始めたために散々な目に会い言わば「単立教会なんかこりごり」だった。それにどうやってアメリカで教会を一から始めるのだろうか?

などと一瞬考えたが、次の瞬間、怒涛のような聖霊の波動を感じ「そうか!」と我に返った。困っている人が目の前にいるのに何もしない牧師、施設の名ばかりで役に立たないシステム、いつも空き家の教会。これらの問題を解決するにはまず自分が動けばよい。なのに私は矢面に立つことを恐れ中途半端な働きしかしていなかった。考えてみれば私は教会から給料を貰わず自分の経費で動いているので端からもっと自由に行動できたのだ。今更ながら自分の器の小ささと不信仰を恥じた。「独立しよう!」 腹は決まった。これからは“教会のボランティア”ではなく教会の矢面に立ち、十字架を担ぎ、持てる全てを使って主にお仕えしよう。

「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです。」
                     ヨハネ15章16節
                           つづく。。。

ワオ!と言っているユーザー

牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA  第7話

スレッド
牧師、バイカー、鮨職人として。。。シェア from LA  ...

第7話「トム、そして茂子さん」

その後、ドーソンの紹介で彼のクリスチャン友だちである日系3世のトム・オオシタさん(当時65歳)に会った。彼のお母さんであるシゲコ・オオシタ(大下茂子)さんが84歳で痴呆症を患い、おまけに足が悪いので施設に入院中で、まだ救われていないと言う。トムさんが伝道し始めた矢先に茂子さんは病気になり、困ったことに英語をすっかり忘れてしまい日本語しか話せなくなってしまった!実は茂子さんは、私と同じ米国生まれで日本育ち、再び米国へ戻った“帰米二世”なので、若い頃は日本語で生活していた。おかげで英語しか話せないトムさんは伝道どころか自身の母との会話が出来なくなった。

1週間後、トムと2人でLAの老舗の引退者施設「Keiro(敬老) Home」を訪れ彼女と対面。この施設は3つの部門からなり、①介護が不要な人、②割と元気だが要介護・要医療の人、③重篤で入院状態の人 に分かれており、①の人は自由に生活し、②と③の人は厳重な監視下に置かれ、茂子さんは②だった。自殺や事故防止のためか小さな窓が天井近くに一つだけの狭く薄暗い部屋で彼女はポツリと座っていた。変な”闖入者“が来たからか予想通り彼女は怪訝な顔でボーっと私を見てる。トムに紹介されても反応なし。どうしようもない絶望感に襲われた。

かつて神学と一緒にカウンセリングも勉強したものの、当時の私は若く老人伝道や介護など全く未経験。まして20年ぶりにミニストリーに復帰したばかりの私に出来ることなど何もない。重い空気が流れ、トムは横で刺すような目で私を睨んでる。こんな若造に何が出来るかと言わんばかりに。私は心の中で神さまに「タスケテー!」と叫びつつ、「四つの法則」を示しながら恐る恐る福音を語り、最後に「イエスさまは茂子さんを愛してますよ。一緒にに祈りませんか」と尋ねた。すると「その話は以前トムから何となく聞いたことがある。」と意外な答えが。そして「私は教会へは行かない!」とキッパリと言った!「え?!」驚く私たちを尻目に彼女は堰を切ったように語り出した。

実は以前、彼女が二人部屋にいた時、同室の人のネックレスが無くなり、何と茂子さんが犯人にされてしまい、しかもトムさんはそれを真に受けて相手の人に弁償までしてしまったと言う。「何でそんなことしたの!私がそんなことする分けないでしょ!!」とトムさんに対し烈火のごとく怒ったが、周りの人は何もせず、自分をこの個室へ移送しただけで、それ以来、誰にも理解してもらえずいつも一人で泣いていたと言う。

そうかあ!!だから彼女は心を閉ざし、英語を話せなくなったんや!とたんにメラメラと霊の炎が私のうちに燃え出した。そして「茂子さん!良く分かったよ!今まで辛かったね!独りぼっちだったんだよね!?でも もう大丈夫だよ!ボクはあなたが盗みなんてしないことは良く分かってるよ。そしてね、何よりもイエスさまはご存じだよ!彼はね、皆に裏切られて、十字架にかかったんだよ!でもね。神さまだからよみがえったんだよ!そして皆の罪を赦してくれたんだよ!ボクの罪も茂子さんの罪も。だからもう前向いて行こうよ!イエスさまを信じましょう!」

とまあ私は彼女がちゃんと理解したのかどうかも分からないまま調子に乗ってまくしたてちゃったけど、何と「そうなの?」と彼女は聞き返してきた!「そうだよ!!じゃ 一緒にイエスさまに祈ろうね?」「はい。」え、マジで?と彼女の素直さにビックリ。共に祈った。彼女はイエスを受け入れた。喜びに包まれると同時に、私は軽率だったトムを厳しく叱責もした。奇蹟の街道が幕を開けた。

「闇の中を歩んでいた民は、大きな光を見た。
 死の陰の地に住んでいた者たちの上に、光が照った。」 
             イザヤ書9章2節       つづく。。。

ワオ!と言っているユーザー

  • ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
    ログイン
  • まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
    新規ユーザー登録へ
    現在 76/78 ページ
  1. <<
  2. <
  3. 70
  4. 71
  5. 72
  6. 73
  7. 74
  8. 75
  9. 76
  10. 77
  11. 78
  12. >
  13. >>