ファミリーランド
8月
30日
家族を描いた短編集なのですが、
紹介者が「ずっと報われないお話が続いて、最後だけハッピーエンドでよかった」みたいな感想を書いていたので、
気になって読みました。
2019年夏に出版された本で、コロナ禍はまだ未知の世界でした。
コロナ禍で変わってしまった世界がこの本に感じられました。
◇内容◇
家族をテーマに描いた、新感覚の家族小説。
いつの時代も「家族」は、やさしく、あたたかく、いびつで、おそろしい。
コンピューターお義母さん・・・スマートデバイスを駆使して遠方から家族に干渉してくる姑と水面下で繰り広げられる嫁姑バトルの行方。
(息子と孫は血縁なのでやはりそうなるんだと未来になっても変わっていない)
(介護施設の恐怖も露わに)
翼の折れた金魚・・・金髪碧眼のデザイナーズチャイルドが「普通」とされる世界での子どもの幸せのかたち。
マリッジ・サバイバー・・・次世代型婚活サイトでビジネス婚をしたカップルが陥った罠とその末路。
サヨナキが飛んだ日・・・自立型看護ロボットによって育児の負担が減った一方で、隔たれる母と娘の関係。
今夜宇宙船の見える丘に・・・技術革新によって生み出された、介護における新たな格差。
愛を語るより左記のとおり執り行う・・・対面しない葬式が一般的な世界で、二十世紀型の葬儀を希望する死者の本当の願いとは。
(これって、本当にハッピーエンドだったの?)
ここ3年、介護と看取りと葬儀を経験したので、身近な話題でもありました。
以前から「生命線が長いので、天寿を全うしますよ」とよく言われます。
私を看取るのは誰なのでしょうか?
その頃には、おひとり様専用の看取り~墓場までのサービスが構築されているのでしょうか?と時々考えます。
【本】