古代製法の 「菩提酛」
9月
22日
【生酛・山廃酛・菩提酛仕込みとは?】
日本酒の醸造では酵母菌を大量に増殖させると共に有害な雑菌の繁殖は抑える必要があります。
そのために仕込みに使う原料の約一割弱の量の蒸米・米麹・水をまず小さなタンクに仕込み、
ここに酵母菌を植え付けて増殖させ酵母と乳酸を高濃度に含んだスターターを造ります。
これを大きなタンクに移して追加の蒸米、麹、水を三段に分けて加えて本醗酵を始めます。
この本醗酵を始める前の工程を「酛」あるいは「酒母」といいます。
★酒には、速醸酛(そくじょうもと)、 生酛(きもと)、 山廃酛(やまはいもと)、 菩提酛(ぼだいもと)の製法があります。
【菩提酛(ぼだいもと)とは?】
生酛造りは江戸時代中頃に灘(兵庫県)で確立した技法です。
生酛の原型といわれ室町時代に奈良県の菩提山のふもと正暦寺で使われるようになったと伝わるのが
「菩提酛」(「水酛」とも言われる)です。
まず飯を溶かした、生酛と比べて濃度の薄い「そやし水」といわれる液に乳酸菌を生やして酸性水をつくり、
これを仕込み水として酛を仕込みます。生酛が冬季の低温環境下でないとうまく出来ないのに対し、
比較的暖かい時期に造りやすく操作も生酛と比べて簡便な事から広く行われていたようです。
江戸時代に生酛を用いた寒造りによる酒質の優良さと安全性が認識されるようになると菩提酛は少数派になりました。
昭和初期くらいまでは使う蔵もそこそこあったようですが現代の酒造の教科書からは姿を消してしまいました。
菩提酛発祥の地である奈良県では近年復刻製造されていますが、奈良県以外で製造しているのは数社のようです。