登り進むうちに、
いよいよ道は険しくなってくる。
垂直の岸壁にかけられた梯子を超え、
かなりの大岩の上を歩いていく。
巨大化していく岩を超えるのは、
呼吸が苦しくなった身には結構堪える。不意に後ろを振り返ると、
今日の登りの基点となった、
涸沢カールがはるか下になって見えていた。
氷河によって削り取られて、
すり鉢の底のようになっているのがよく分かる。
大自然の圧倒的なエネルギーを感じずにはいられない。
万年雪が凍りついてできている雪田が、
かなりの面積を占めているのに意外な感じがした。
下にいる時にはこれほどのものとは思えなかった・・・。しばらく登り続けると、
登山道から外れてというより、
完全に反対側にうずくまっている登山者を見た。
オレンジ色のザックを担いでいる。そばにいた若い登山者が語るには、
滑落したとのこと・・・。
どうやら知らずに登山道をはぜれてしまって、
斜面を滑り落ちたらしい。ベテランと思しき登山者が、
途中まで歩いていきタオルを渡している。
かなり血を流しているようだ。
励まされてのことか立ち上がって歩き始めると、
一瞬よろめく・・・。
見ていてハラハラさせられる。とにかく登山道に戻れそうなところまで歩くしかない。
少しづつ登り始めている。
われわれもとにかく登らなければならないので、
少し緊張しながら登っていくと、
ちょうど、こちら側の登山道へ歩いてくるところで顔を合わせた。顔半分が「お岩さん」状態だった・・・。
滑り落ちる時に擦ったものと思われる。
ジロジロ見ることも出来ないので、
すぐに前を向いて通り過ぎたが、
ちょっとその顔の印象は忘れられなかった。後から別の登山者に聞いたところによると、
ヘリコプターで運ばれていったとのことだった。
3000メートルを超える山に登っていると、
自分でも気がつかないうちに、
登山道を外れて歩いていることがある。
話は古く18年年近く前になるが、
剣岳を登山仲間から少し遅れて登っていると、
いつの間にか脇の少しくだりの道に入ってしまい、
少し歩いていしまった・・・。
ハッとして我に返って、
(おかしい・・・)と思って、
急いで戻ったことがある・・・。
何でその道に入っていたか今でも分からない・・・。
そのまま行ってしまえばもちろんアウトだった。やはり日本アルプスと呼ばれる山域を登るときは、
ほんとに気をつけないといけないと思う。
穂高岳、槍ヶ岳など名前はメジャーではあるが、
やはり相当な険しさを持っているということだ。
2年前の谷川岳では顔面を岩にぶつけてしまった・・・。
大事には至らなかった怪我ではあるが・・・。両手を使って3点支持を確実にして、
ますます急になる岩の道を登っていく・・・。
穂高岳山荘までもう少しだ・・・。
- ブログルメンバーの方は下記のページからログインをお願いいたします。
ログイン
- まだブログルのメンバーでない方は下記のページから登録をお願いいたします。
新規ユーザー登録へ
投稿日 2007-08-29 12:33
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2007-08-30 08:59
ワオ!と言っているユーザー