小さな願い
11月
23日
私の敬愛する女性プロ腹話術師でセラピストのウェンディ・モーガンさんは、2018年のクリスマスを待たず天国へ帰られました。
ウェンディさんとの出会いは24年前、ラスベガスで開催された国際フェスティバル出席の時でした。彼女はプロショー出演、私は国際ショー日本代表出演での交流が始まりました。
そして、日本の腹話術普及と社会的地位向上を目指し奮闘している私を見かねて、はるばるイギリスから来日してくれたのが、2002年の第2回、世界・腹話術の祭典“国際交流フェスティバル”でした。
それ以来4回、JVA祭典でのワークショップやセミナー、国際ショーを担当し、持てるすべての知識とテクニックを我々に伝授してくれました。
2013年の4回目の来日では、東日本大震災被災地への激励訪問公演も共に参加して下さり、地元の子ども病院や幼稚園保育園等でも、言葉や習慣などの隔たりもなく子どもたちを慰め喜ばせてくださいました。母国イギリスで40数年もの間、障害(特に脳障害)を持った子どもたちへ腹話術によるセラピー活動を続けてこられたその働きを目の当たりに見せていただきました。
『腹話術師はセラピスト』・・・これは彼女のモットーでした。
20年以上指導する私の腹話術仲間たちも高齢化が進んでおり、昨年末には、メンバーの一人がこの世を去りました。またご家族を亡くされた方もいらっしゃいます。その寂しさや哀しさの胸の内は、他人には到底埋められるものではありません。本当につらい時には『そっとしておいてほしい』というのが本音でしょう。そんな時、相棒のパペットがそばにいるだけで『慰めとなり励ましとなり、笑顔を取り戻すきっかけとなる』とおしゃっています。その後サークル活動にも復帰し、自分のつらい体験を通し、同じような境遇の方々を励まし癒すために腹話術を活用していらっしゃいます。まさに腹話術による“パペットセラピー”ではないでしょうか。
私の小さな願いは、腹話術を単なる娯楽イベントに限らず、このように様々な分野に活用し、あらゆる専門家の方々が、それぞれの専門分野で腹話術の基本メソッドを取り入れ、独自効果を創り出して欲しい…、というものです。
JVA Takeshi