何もせず 自分はどうにかなる、大丈夫 って、のは逃げだからな。 世間は上手く出来ていて、 そういうのをすべて知っているから。 努力に勝るものはなく、 突き詰めていけば努力は充実になり、 楽しみになる。 当たって砕けろ! まずは当たって行かなくちゃな。
たなびくアリの黒波 とても大人達に似ているね 黒基調の衣をまとい 行ったり来たり 休み返上で働いている お疲れさんですね 日曜日の公園 解放された 時間と固まった表情 僕らはここで いろんな衣をまとう サルのように 手を叩き笑い カラスのように ブランコで宙を舞い カァ カァ 鳴く ジャングルジムのてっぺんから 楽しいですよ お天道様へ ハトになって手紙の配達 ガオッ ガオッと ライオン 子どもたちを追いかける ケラケラ笑いながら 逃げてゆくバンビ それを見ている風神さま 本気になってはいけませんよ 大きなうちわをひとふりして 大人だけに くるりんと弾みをつけて 風を起こすのさ アリの時に浴びる 向かい風とは まったくべつもので 心地よいのさ ああ ひとやすみ ひとやすみ ベンチに座ってしまうと ナマケモノのように だらりんこ コトリがチュンチュン 袖を引っぱって 遊ぼう 遊ぼう さえずっている パオーンーと 短い鼻に腕をあてがって ゾウは答えるのさ 楽しい時間は チーターよりはやく 薄暗くなると コウモリになる パタパタ パタパタ 夜の不気味な演出で 子どもたちを 巣に促すのさ 家路をなぞる カメの親子 まだ終わらないで日曜日 ゆっくり ゆっくり 歩くのさ ただいま おかえり あら 三人とも カバみたいに 泥だらけね 先にお風呂 入ってちょうだいね はーい はーい はい
平和について考える時 まず猫ちゃんのまったり主義を 知ろうとすることが大事だ 猫じゃらしがわざとらしく動く 好奇心が強く 自分の安全を見極めながら手を出す 夢中になってしまっても よく見てカラダは反応する ちょっと疲れたらカラダをひいて 腹ばいになり目はキョロキョロ 右、左、上、あっち 左、右、上、手前 ここぞ、というところで突進 猫じゃらしをしっかり目で追い ジャンプしてゲット 表情ひとつ変えないで 猫じゃらしを咥えて秘密基地へ そして、猫ちゃんはまったり 無防備で眠っているけれど ちょっとした音で目が開くのさ 防衛本能とうまく付き合い 口元からは吹き出しが現れて 幸せだにゃん そう書いているんだから 猫ちゃんは平和の象徴なんだな
小刻みに揺れる始まり 淡々とアンダンテで破壊され 最上の精度で新生される俺 リズム 旋律 2挺のチェロがエッジを効かせ 仕掛けてくる 徐々に 弦を激しく弾く弓 粘度を失った松脂が飛び散り 奏者1の息づかいは 俺を切り離してゆく魔王の吐息 未来に飛ばされた頭 過去へ歩き出す足 心は笑気を吸わされたまま リズムの脈を打つ 旋律はセレンディピティを持たせ 遠くにいる少年に入り込む いつかどこかの懐かしさに癒されると クールな微笑みを見せる奏者2 意表をつく変調 プレスト 力強いスタッカートは蒸気機関車の機動力 その振動に揺られる心地よさ リズムの速さと真逆に 俺は車窓から 緩やかな旋律に乗って麦畑を見ている 懐古趣味に浸り 知らぬ農婦に手を振る 2挺のチェロが奏でる安定感 旅は永遠に続く安らぎ 終わらない風景 終わらない夢のように そして ふたりの奏者は目を合わせ 浅く頷く 突然の霹靂 打ち込まれた光 痺れる俺 さらに リズムは剛腕による最速 荒馬の尻尾は弾き踊る トレモロ奏法の早弾きで旋律は目覚める クラシカルな風景は一転して ハードロックな都会に突っ込む 俺は振り飛ばされそうになった瞬間 弓は短く切られた 旅は終わりを告げた 音なきホールが 目的地に着いたことを気づかせる ひと呼吸の時間を与えられ 現実に戻された ブラボー 俺は 旅の続きを熱望して いつまでも 手を叩き続けた
ビルの谷間では見えぬ稲 乾き始めた風に実りの秋は 色づいてきただろうか 轍を上手に跨ぎ イナゴの上をトンボが飛んで 雲の向こうにはくれないの夕日 僕は少し早めに出勤し 職場近くの公園 目を閉じ香ばしき風の匂い 贅沢なひと時にほっこり 今日の素晴らしい始まり 幸せの風を感じながら
ピアノの響きを突き刺してくれ 小心者の繰り返しに終止符を クレージーな早弾きで 都会の景色が奏でられると コーヒーカップを手にしたまま 街が歩き出し僕を置いてゆく 口をポックリ開けてここに佇むしかない 目の前の奏者は我が世界の中で 芸術の衣に身を任せ 僕をその世界へ手招きしている ピアノの周波数は僕のこころに反響すると 奏者への尊敬なんてどこかへ消え 素敵な集中の顔に見惚れてしまい だんだんピアノの音が深く突き刺してくる もう奏者がピアノなのか ピアノが奏者なのかわからないほど 一体化してゆく奏者とピアノ そこから既成概念を鍵盤で 破壊してゆくエネルギーを発し 僕は孤独に落ちてゆく喜びに ただカラダは冷めたく充実を得ている 現実の緊張は完全に奪われ 薄暗い小さな空間は 芸術のリズムが時間を止め いつかどこかで感じていた安息の地に ミルクのようにエスプレッソへ溶け込んでゆくようだ 脈打つ違和感さえもシナモンに変えて相乗してゆく喜び 日々の痛みを超えた先にある憩いは 僕のフラッシュバックを雨のように降らせて カラダを包みながら ピアノの響きは頭を突き抜けてゆく 深層にある豊かで冷たく輝く場所へ そのクレージーな早弾きで
しとしと降る雨のように 丁寧にアルペジオで奏でる 僕のつくる景色は どこまで描けるのだろうか 君の疲れた心に沁みるように 弦を弾いて 蔑ろな甘えは僕の罪 すれ違いの心 君に寂しさがおし寄せた これではいけない 想い出の栞をつまみ だいじなページを開いてみる 夢で輝く僕を見つめる君の瞳 ふたりの原点は前しか見えてなかった 君を包み 離さない約束 僕は、きっと という言葉で遠ざけていった 日々の暮らしになんか 負けないはずだった 背をまるめ寂しさと疲れで震え 君の頑なが崩れかけ こんなに悲しませてしまったんだね 今、僕が雨になって 君に優しく沁みていかなくちゃ 弦を弾く指は 安心させるように靡かせ 大好きな君へ アルペジオの景色を奏でて その涙を拭おう
あなた様の場合 魂が通常より小さく燃えているため 金額はこちらになります 納得されないようでしたら 私どものお勧めは 差し控えさせていただきます よくお考えになってくださいませ そうですか ご契約になられますか ありがとうございます それではご成約に ご協力を願い致します その前に 先ほどの説明と重複致しますが もう一度ご確認させていただきます 命の期限ですが こちらはご成約後 三ヶ月となっております お売りになった命の代金は こちらの契約書にご記入後 現金でご用意致します ご自由にお使いくださいませ 当店では 一度お売りの命に限り 買い戻しは致しかねますので ご承知くださいませ 先日どうしても買い戻したいと おしっしゃるお客様がいました こちらとしても対応しきれぬと 判断致しまして 閻魔警察に通報する事態が ございました くれぐれもそちらに関しては ご理解くださいませ そうですか ありがとうございます では ご記入をお願い致します 二箇所ございます まずはこちらのご契約者名に 署名をお願い致します 大丈夫ですか お手が震えていらっしゃるようですが はい 失礼致しました それではこれで最後となります 私の命を売ることは生きている者が犯す 悪辣である罪のひとつとわかって 売却することに間違いありません こちらの文面の左横に ご署名と捺印をお願い致します どうなされました こちらへご記入くださいませ そうですか 承知致しました ご時間が必要とのことですね 後日にまたお越しの際 記入いただいたご契約書を お持ちにくだされば すぐにでも売却金を お支払いさせていただきます なおご契約書が涙で汚れた場合は ご契約は成立致しませんので ご注意くださいませ では 本日はご来店 命の査定を ありがとうございました またのお越しを 心よりお待ちしております
何を隠そう私はクスグリマン 隠してないじゃないか 君はそう言いたいね でも、残念ながら 私は透明人間になれるから 隠れることができるのさ それで、クスグリマンって 何をしているか知ってる? 知ってたら 私の存在を知られている って、ことになっちゃうけど まあまあ、落ち着いて 聞いてくださいな 私はひとの幸せのために クスグリ続けるクスグリマン 変身! これを変身というか わからないけどね と、言うことで透明人間になり まず、街をふらつきその現場を探す 何を隠そう いや、隠れているんだけどね 喧嘩している現場を探すのさ そのひとたちをくすぐって 笑わしてしまうという奉仕活動を、ね 喧嘩はダメダメ 喧嘩しているところでクスグルと 急に笑い出すひとびとが多い 当たり前か たいてい えっ、私たちなんで喧嘩してたっけ そんな雰囲気になるのが7割 あとの2割は そのまま笑い続けてしまう 結果オーライっ 笑いながら なんなんだ、お前は と、言って殴り合ってしまうのがたまに んん、残念 街中で喧嘩していたひとが このような流れになった場面に遭遇したら それはクスグリマンの奉仕活動だよ へっへっ 正体をばらしてしまった でも、変身前の私は 見つけることはできないよ 私はレア中のレアキャラクター その名もクスグリマンだからね
火曜日、水曜日より なんとなく存在が薄い 土曜日、日曜日なら 街の雰囲気も変わって ひとの表情も明るい 土日の勤務は お疲れさんとしかいえない 月曜日なら電車の中 一番に眉間のシワが深くなる 金曜日なら もうひと頑張りの空元気 木曜日 はて、なにかあっただろうか 思い浮かばない今日、木曜日 無表情 気はどこかに飛んでいる でも、時間ばかり長く感じ 時計を見る回数の多い木曜日 木曜日 お前の正体はいったい 目立たないようでなにかを企んでる おお 木曜日 なぜにお前は 木曜日