脳も 心臓も 肺もない カラダのほとんどが水分 動き続けなればガス交換も体内循環も出来やしない それでいて遊泳能力もなくどこへ行くかは水流まかせで生きる 脳も 心臓も 肺もある カラダは進化していった 考え続けなければいとも容易く壊れてしまう生態 それでいて幸せへの道を間違って進んで生きてしまう不思議
もう誰もいないその家には 遺品になってしまったモノたちが おかえりも言えず静かに佇んで 主を失った家は時間の止まった箱 咳ばらいがひとつ聞こえそうで 聞こえない空しさが回っている 積み重ねられたノートに 今年もツバメが来ましたと書かれ ツバメの親子が並んでいる絵 歌いだしそうに描かれていた 若き日 絵を描くことに憧れ 山形から東京へ旅立った 現実はやはり厳しくて 絵の世界では生きてゆくことは出来ず 寮のあるパン工場に勤め四十年 結婚することもなく 派手に遊ぶこともなく だけど絵を描くことはやめなかった やめれなかったのだろう 大学ノートにはツバメの親子ばかり 誰に見せるわけでもないのに そこには叔父の控えめさはなく 賑やかな世界が広がって そしてノートの最後には じゅんㅤありがとう がんばれよ そう書かれていた 私がこのノートを見ることを 知っていたかのように 私も一生ㅤ詩を書いてゆこう 叔父のように貫く人生の意志を継いで なるべく純粋に無垢に進んでゆこう ありがとうㅤ叔父さん そう呟いて私はノートを閉じた
歩き詩作は危険です マナーを守り楽しいプレイを! 今日も感性レベルアップのためにお出かけ 夏の風景やひとの表情を見られるのが楽しみだ まずは近場の公園に足を進める やはり歩かないと感性レベルはアップせず 詩を育てることはできない おっと 蝉は何が言いたくて鳴いているのかい まずはあいつをゲットしよう 『蝉』 僕は鳴く 愛する君を求め それを かんたんに種の保存なんて 言わないで欲しいんだ 本能とひと言で片づけたくないんだ この問題は 僕自身の意思を引き継ぎながら 永遠の命を獲得するためなんだ きっと 君も僕と同じだと思うよ そして一番に大事なのは 僕と君がずっとそばにいれることなんだよ 人間は種の保存なんて言うけれど あれは間違っているんだよ 有機体すべての夢は 愛するものと永遠を分かち合うことなんだよ さて 文字入力を終了 ポエムボールを投げた どうだ どうだ 頼むよ やっほー 「蝉」をゲットだぜ 今日はなかなか出だし好調 私自身のCPもアップし レア度の高い「蝉」もゲットできた 大切に育てて進化させなくては ベンチに座る「お爺さん」を発見 眠っているので目が合うことがなく じっくり観察でき容易くゲット可能かも 『ベンチのお爺さん』 近寄ってみる 目を閉じベンチに座っているお爺さんへ 杖は足元に転がっていて 背もたれに寄りかかり青空を仰いでいる 何を夢見ているのだろう では 私がお爺さんの夢を想像してみましょう あれれ お婆さんや若返っているぞ 出会った頃のようだ そうかい 私も若返っているって言うのかい これはどうしたことなんだ でも幸せなことだから良しとしよう それでお婆さんや なんでこんなところにいるのかい えっ 私を迎いに来たというのかい それで どこに連れて行ってくれるのかい それは言えないって 水臭いなあ 長年 夫婦円満でやってきたじゃないか 今さら内緒ってないだろう えっ なんだって 雲の上って 婆さんやそれって だめだめ詩作は中止 お爺さんの肩を揺さぶる 反応がない 息はどうだ ない すみません救急車をお願いします 誰か救急車を こりゃ オジサンGOをやってる場合じゃない お爺さん お爺さん お爺さ~ん (愛するものと永遠の世界へ?)
幼い頃 斜め前の家に引っ越してきた家族 僕と同い年の子がいて まだ女の子だからという意識などなく 毎日のように遊んでいた 今では名前も顔も想い出さないけど あの時の雰囲気と 僕の和やかな気持ちは忘れない 何年経っても想い出すのだから どれほど僕にとって幸せだったのだろうか 彼女の家には大きな庭があって 柵に絡みついた赤い薔薇が咲き お部屋にはピアノとテーブル 特に何もない僕の家とはまったく違って 洋風な感じがとても新鮮だった 僕は彼女の笑顔がとても好きだった どんな表情なのかも忘れているが その雰囲気の輪郭だけを覚えている 手を口にあててクスッと笑う感じ 笑わせたくて 薔薇のトゲを顔につけたり 地面に絵を描いたり 動物のモノマネをした やがて来る辛いお別れ どこかのドラマで見たような展開 覚えているのはトラックが 走ってどんどん小さくなって行く場面 初めてシュンとなった僕だった なぜか彼女にさよならを言ったはずなのに そこだけは想い出さない 幼い僕にとって きっと忘れたい出来事だったのだろう 大好きだった彼女の面影を忘れても あの時に流れた幸せな時間の輪郭 まだ僕の中にある幸せな想い出
矛盾に矛盾を重ねてしまうのは そこに僕の真実が見え隠れするから 膝を抱える願いだけが 微かに見えるひとつの光 僕はそれを知っている だから駄目なんだお前は 君はどうせ鼻で笑うのだろう 暗闇を見ようとしない想像では 僕の光を知ることはない だから駄目なんだお前は 君はどうせ僕が捻くれていると 鼻で笑うのだろう 気色悪いと矛盾を遠ざけて 真実に目隠しはしたくないんだ 折り合いの先にある光を見ようと 膝を抱え 僕は矛盾に矛盾を重ねながら……
俺の生きているグロテスク 砕けて粉々になる散り散り舞を 誰が見ることがあろうか 心は迷想して逃亡中 孤独に揺れた鈴が無音 誰か俺に歌わせてくれ お前たちに与えるモノは何もないが 上手く壊れて見せるから バリッㅤバリッㅤバリッ バリッㅤバリッㅤバリッ 透けた身の果て 残酷なる身の果て 涙の抜かれた身の果て 俺の果ての果て 白なんて無かった 黒なんてぶら下がっても無かった 色さえない透明のカラダ 誰か俺に歌わせてくれ お前たちに与えるモノは何もないが 上手く壊れて見せるから バリッㅤバリッㅤバリッ バリッㅤバリッㅤバリッ 壊すものが欲しかった 音が欲しかった カタチが欲しかった カラダを染める絵の具が欲しかった 誰か俺に歌わせてくれ お前たちに与えるモノは何もないが 上手く壊れて見せるから 汚れに全てを染めて壊れるから だから……
たまたま座れた帰りの電車 ホームボタンに指をのせ 僕だけの指紋に反応 それがなんだか嬉しくて 子どもが頭の上にヤモリをのせ それを笑う仲間の笑顔 土門拳との信頼関係が見える写真 ㅤㅤㅤㅤㅤ……(土門拳/写真家) ああㅤいつもの壁紙だ 仕事を終え 詩を書いている幸せ iPadがあって 僕がいればそれだけでいい これで世界は創れるし どこにも行けるし 時間の旅はできるし 想い出のひとにも会えるし だけど なんだかオルゴールが聴こえてくる 眠りに誘うこの振動はいったい おっと iPadを落としそうになる だめだ僕は詩が書きたいのに おっとと また落としそうになる おっとと おっと おっ くう……
雨粒が落ちると 踊るように土の匂いが舞い いつかどこかの想い出とリンクして 具体的さのない柔らかさに 僕はしんみりとしている 景色をあやふやにしては 引っ込み思案の僕を潤して 人気(ひとけ)を避け 薄暗さと冷たさ ああㅤ雨の憐憫(れんびん)に癒されて どこまでも進みたくなる 誰もが知らない 誰も行きたがらない そんな街を 僕はずっと雨の中を歩いていたい
もし自分の何かが変わってしまうことに耐えらないのなら、お勧めはしません。今、あなた様が拝読されている、このブログの世界から離れることです。三つ、私が数える前にお願い致します。 1・2・3 こちらの世界に興味がお有りになったのですね。でも、それ正解です。ひとに好奇心がなくなってしまったら、新しい自分に会うことなどできません。では、ご案内致します。当社は、皆様の辛い過去を消し快適な未来のための削除法人『クリーンアップ人間社』でございます。わたくし、コーディネーターの消田こころと申します。挨拶が遅れまして失礼致しました。 早速ですが、あなた様の引きずっていた過去を消し去り 、今より身軽な精神状態になるための項目をこの中からお選びください。 1.自分の生い立ち 2.失恋 3.仕事での失敗 4.人間関係 5.離婚 6.死別 その他はございませんので、こちらからお選びください。 かしこまりました。2の失恋ですね。苦い思いをされたのでしょう。お付き合いされいた先方様の記憶を綺麗さっぱり、出来事ごと消去致します。その際、先方様への良い思い出はそのままですので、ご安心くださいませ。 では、こちらの忘れ台に仰向けになってください。ヘッドナビゲーションシステムで、辛い想い出を目には見えない針にて焼いて消し去ります。痛みはございません。三分ほどで終了致します。 はい、そのような感じでリラックスしてくださいませ。 シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/シュ/ 頭に取り付けた装置の音です。ご安心くださいませ。 はい、終了致しました。 どうでしょうか? 別れました先方様のことを思い出してください。何か辛い想い出はありましたか。 そうですか、ありませんでしたね。成功致しました。 では、お会計のお話をさせて頂きます。今回の手技代とコーディネート代としてこちらのコメント欄にご感想をお願い致します。 ありがとうございました。 すこし宣伝をさせて頂きますと、先はどのクリーンアップの7項目にその他の項目が来年から奉仕の開始致します。どんな記憶でも消すことが可能になり、人生をやり直さなくても完全なる精神状態が得られるというです。この手技の認可を得ているのは当社だけとなっています。 はい、ご予約有難うございます。 では、その際にもコメント欄にご感想をお願い致します。 本日はご苦労様でした。 (コメントしなくても大丈夫ですよ!) (嫌な記憶を消すことって、どういうこと? どうなるの? しあわせなの? など、考えてみては……)