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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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秋の何者か

スレッド
公園で匍匐前進しながら
口を伸ばし草に喰いつき
怪しい乾きが裸にさせ
香りに削られてゆくカラダ

連なる360度のエゲツない
ドロドロしている私は何者か
クルクル回る赤い雲
膝に滲みた冷たい青空

痙攣は何処までも夢みる
可能性のひと欠片をフラットさせ
グロテスクな骨を地に刺して

右に私は何者か、左に私は何者か
正面に私は何者か、10時に私は何者か
2時に私は何者か、何者かは私か


頭で散歩する爺さん婆さん
足を貸してくれる子ども
すみません私を知りませんか
どの枯葉が私の首なのか

歩き出せばゴミ箱に私は何者か
広げる途中で破れる望み
駄目になってしまう精密機械は
笑いに逃げていくロケット

視界の良いジャングルから声
堕落のひと欠片をシャープさせ
ビーティフルな性を宙に浮かし

右に私は何者か、左に私は何者か
正面に私は何者か、10時に私は何者か
2時に私は何者か、何者かは私か

#詩

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贈呈本

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重なる想いと付け足される想い
贈られてきた詩集のページをめくる

有難いことに詩集を頂くことが多くなり
多角視野による詩人の凝縮されたエネルギーを
自分なりに解凍する楽しみを覚えた
しかし詩を書くことと同じように
読み砕いていくという自分のセンスが問われる
自由というのは楽しみにいつも厳しさが伴う

まずは先入観を捨て受け入れる
パッと字列の風景を見て決めてはいけない
自分のキャンパスはなるべく白くして
描かれ易くしておかなければ

すると和紙に染み込むように
滲みながら重なる想いが感情を動かす
すでに文字を追っている感覚はなく
読者が創る自由度の高い芸術であり
文字が文字でなくなるのが詩の世界だ

だから楽しいだけではない
厳しさがそこにあるから詩の魅力に囚われ
詩を読むことに覚悟が持てるのである

有難き機会に溺れるのも良い

#詩

ワオ!と言っているユーザー

時の鐘

スレッド
時の鐘
用事を済ませ小江戸の川越へ


#詩 #雑記

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夜の第二公園

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夜のブランコが飛んで行く
僕の僕を振り落とし
滑り台は腰を持ち上げて
遊園地への旅に出発したのさ

棒倒しの棒が見つからず
仕方なく僕が棒になっちゃった
削られる足元からは
隠したはずのテストが現れる

「なにもない世界ってどんな感じですか
夜に聴いてもいいですか」


鉄棒は丸く輪になっては
手招きして軽くステップをして溶けた
ジャングルジムはひっくり返り
クルクル回れば潜って消えた

砂場はさよならも言わずに
風に紛れて誰かになっちゃった
遊具のない公園には
落書きされた上履きが一足

「なにもない世界ってどんな感じですか
そこは僕の行くところですか 」

#詩

ワオ!と言っているユーザー

ホットの感を

スレッド
僕はホットの缶コーヒーを探している
まだ自動販売機にはないが
もしかしたらあるかもしれないと

襟足からスッと入る冷たさ
探してしまうのは季節のいたずら
まだ探しているのは僕の余裕のなさ

今日も行く何処へ行く仕事に行く
課せられた作業へ重たき足で突っ込んで行く

#詩

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秋の香り

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みんな、向かっている

コーヒーを啜り
数分後には私もそちらへ
ふと、何のために働いているのだろう
乾いた空気に香りだけが流れている

チラッと視線が合う見知らぬひとに
無言の催促を感じて

ドアを押せば
疑問は香ばしき哲学の風
根源を覗かされても乗り切れない
乗ってしまったら踵を返してしまう
上手くいく一日を願い
安全という人生に従いながら

辻褄を合わせない季節の中
彷徨える衣を掛けられ
私の容器は螺旋で満たされてゆく

けして悪くない季節
人間らしくのらしくの風が吹き
深み嵌ってゆく思考は
微かにユーモアの香りが混ざって

#詩

ワオ!と言っているユーザー

青く

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感じたい
もっともっと青い空を

重たくなったこころ
持ち上げて散らして欲しい

何処にいるのかさえ分からないくらい
青く 青く 青く

初めて空になりたいと思った
知らぬことばかりのまま
いつまでも吹き続ける青のように

#詩

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虹の作業員 10(全10編)

スレッド
≡ 10 ≡


「あっ、虹だよママ。パパがつくった約束の虹!」

「そうね。とってもきれいね!」


おしまい。。。

#虹の作業員 #詩

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虹の作業員 9(全10編)

スレッド
≡9≡


水蒸気をバケツで集め、休む暇もない
虹の作業員は近頃忙しい
雲の上ですってんころりん
笑って楽しい雨を降らせている
たまに威張って指示する班長に叱られながらも
あっち行って、そっち行って、水蒸気を追いかける

「班長様、あなたも水蒸気集めを手伝ってください」
「バカを言うな、俺は班長だぞ!」
「そうでした。あなたは班長様、失礼しました。
でも、汗をかくって気持ちいいですよ」
「……汗をかくのは気持ちいいか、俺様も水蒸気を集めるぞ!」
「今日は班長様、どうなされたのですか?」
「俺様は最近、からだが動くようになったんだよ!」
「でも、無理をなさらないほうが……」
「お前は虹の作業員だろ。しゃべる暇があったら水蒸気を集めろ!」
「はい」
班長の大きな声に作業員はすってんころりん
雲の上に仰向けになると厚い雲に覆われた
作業員は班長から叱られるとドキドキしてしまうので
すぐに立ち上がり、また水蒸気を集めはじめた
「汗をかくのは気持ちいいな!」
「そうですね、班長様」


続く。。。

#虹の作業員 #詩

ワオ!と言っているユーザー

虹の作業員 8 (全10編)

スレッド
≡ 8 ≡


旅から帰って一年が経つ
作業員はバケツをもって走り回っている
そして昨日、百二十色の虹をつくることができた
しかもその虹は三重
大きな虹の中にまた虹があって
その虹の中に小さな虹
見たことのない虹に誰もが喜んでいた
作業員も大満足

そんな作業員のもとに本社の人間が再び現れた
「君は未来を変える才能をもった作業員だね。
もう、ここへは来ないつもりだったが……。
下界では今、君のつくった虹で大フィーバーしている。
また、記者会見に応じてもらう」
「もちろんです」
「それと君にとってはうれしいニュースがある。
班長は我が社に復職することが決定した。
記者会見を終えて作業場へ戻って来たときには、班長もいることだろう。
さあ、下界ではみんなが君のことを待っているから、すぐに出発だ」
「はい」


続く。。。

#虹の作業員 #詩

ワオ!と言っているユーザー

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