カリフォルニア州全域を対象に、レントコントロールが制定されることが決まりました。
実施は2020年1月からになりますが、これまでレントコントロールがなかった市や、
比較的新しい物件にも賃料や退去の規制がかかることになります。
その内容とポイントについて、速報を日本語でまとめましたのでご参照ください。
(as of October 16, 2019)
■カリフォルニア州レントコントロールの名称:
「The Tenant Protection Act of 2019」が正式名称で、別名「AB-1482」「Rent Cap Bill」「State-wide Rent Control」などとも呼ばれます。
■主な規制:
1)Limitation on Rent Increase(賃料アップの上限)
2)Just Cause Eviction(立ち退きの正当理由)の2つの側面で規制が制定されます。
■カリフォルニア州レントコントロールのポイント:
1) 既存のCityのレントコントロールはそのまま継続されます。Cityでは対象にならない物件で、州のレントコントロールの対象になる物件は、州の規制が制定されます。
2) 空き室の賃料設定についてはレントコントロールの対象外となります。(現状と同様)
■カリフォルニア州レントコントロールの対象物件:
カリフォルニア州レントコントロールでは、基本的にすべての賃貸物件が規制の対象になります。その中で、対象とならない「例外」と、「その例外の例外」があります。
◎レントコントロールの対象外の物件(例外)とは?
1)一戸建て、コンドミニアムを1組のテナントに貸している場合は対象外。
(例外―1)持ち主がREITやCorporationなら、一戸建・コンドミニアムでも対象。
(例外―2)3 Bedroomを3人のルームメイトに貸していた場合、3人が1組のルームメイトとして契約していれば対象外。しかしRoom to roomで別々の3人に貸している場合はレントコントロールの対象。
2)Duplexは2ユニットを別々の2組に貸していると対象。そのうち1ユニットにオーナーがPrimary Residenceとして住んでいたら対象外。
3)その日から遡って15年以内の建物は対象外。今年築15年で来年築16年になると対象。
4)ホテル、モーテル、キャンパスハウスは対象外。
◎Cityの規制と州の規制がオーバーラップする場合は?
(例)
1)ロサンゼルス市・サンタモニカ市・ウエストハリウッド
●Cityのレントコントロールは1978年より古い物件が対象。
●州のレントコントロールは、築15年より古い物件が対象。
➡1978年以前の物件には各Cityのレントコントロールが適応。1979年~築15年の物件にはカリフォルニア州のレントコントロールが適応。
2)イングルウッド市
●Cityのレントコントロールは5 unit以上の物件が対象。
●州のレントコントロールはDuplex(2 unit)以上が対象。
➡5 unit以上の物件にはCityのレントコントロールが適応。2~4 unitにはカリフォルニア州のレントコントロールが適応。
■賃料アップの上限Limitation on Rent Increase(Civil Code 1947.12):
1年間に値上げできる賃料に上限が設定されます。
◎上限のレート:年間で5%+Regional CPI(消費者物価指数)の合計または10%の低いほう。
CPIは4月~4月は同じ=2019年4月のCPIを次の4月まで引用。
※ロサンゼルスRegionは3.3%と予想されるので(2019年4月時点)、来年4月までは5% + 3.3% = 8.3%が上限のレートと思われます。
◎基準の賃料:過去12か月の一番低い賃料をベースにする。(キャンペーンなどで2か月無料にした場合でも、平均を計算するのではなく無料期間以外の賃料をベースにする)
◎値上げの回数:1年間の間に値上げできるのは2回まで。
◎実施日:2020年1月1日からカリフォルニア州レントコントロールが開始。現在レントコントロールがなく、新たにかかる地域では、2019年12月31日までは規定以上の賃料アップが可能。ただし2020年1月1日になると、2019年3月15日の賃料を基準にした上限(8.3%)の賃料に戻さなければならない。(ただし2019年中の値上げ分については返却の必要ない)
■Just Cause Eviction/立ち退きの正当理由(Civil Code 1946.2):
レントコントロールの対象になるということは、リース契約が終了した場合やMonth to Month契約になった場合でも、貸主からは「退去してください」と言えなくなったということです。「退去してください」と言えるのは以下の場合となります。
① テナントの過失があった場合➡【リロケーション費の支払い・不要】
・賃料の未払い
・リース契約の内容の不履行
・リース契約更新を拒否
・物件を違法な目的で使用
・犯罪活動
・物件を痛める、問題を起こす等の行為
・又貸しなどの契約違反
・その他
② テナントの過失がない場合➡【リロケーション費の支払い・要】
・オーナー、配偶者(パートナー)、子供・孫、両親、祖父母が住む
※これについての文言が契約書に記載されていなければならない。また不動産マーケットへの募集告知から降ろしている必要がある。
・行政からの退去命令
・大規模リモデルを実施
※パミットが必要な大規模な工事。ペイントやマイナーな修繕は退去理由にならない。
◎リロケーション費と支払い:リロケーション費は1か月分の家賃相当額。ノーティスを出して15日以内に支払う、または最後の1か月分を免除するかのいずれか。
◎退去を言い渡せる対象者:テナントが12か月以上続けて住んでいる場合。もし途中から家族の1名が入居してきた場合、全員が1年以上住み続けた時点か、その中の1名が2年以上住み続けた時点で退去を告げられる。
■カリフォルニア州レントコントロールの期限:
2030年までの時限的な法律となります。
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今回のカリフォルニア州レントコントロールはテナントの居住がより守られる内容となり、対象物件のテナントはきちんと家賃を支払ってルールを守って住んでいる場合は退去を言い渡されることがなくなります。
一方で、アパートを購入してフルリモデルをし、高い家賃を設定できる部屋にして賃貸経営をしようと考える投資家にとっては少し難しい状況になります。今後は空き室のある状態で販売されている物件や、家賃が相場より低過ぎない物件を選ぶこと、またテナント向けの居住ルールブックや規定を充実することなどが大切になってきそうです。
何かご質問などありましたらお気軽にご連絡ください。
※まだ詳細が明確に定義されていない部分もあるため、内容が変更になることもございますが予めご容赦ください。
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H2N / Hiroko Nishikawa Naumann(西川ノーマン裕子)
RE/MAX Estate Properties所属
アメリカ・ロサンゼルスの不動産の購入・売却・リースと、渡米・移住、アメリカから日本への帰国をサポートします。
RE/MAX Estate Propertiesはカリフォルニア最大の全米大手不動産会社RE/MAXのフランチャイジーです。
H2Nが持つ日米の不動産ネットワークを駆使して、心を込めてお手伝いいたします。
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