影に対して 母をめぐる物語
10月
22日
未発表の作品が見つかったとテレビで見て、本を借りました。
久しぶりに読む作品は、なんだか古典のようでした。
読み終わって感じたことは・・・
本人が発表しなかった作品なので、発表しなくてもよかったような気もします。
清書して、発表せず、それでも手元に残していた心境は・・・。
◇内容◇
完成して清書しながらも発表されず、手許に残された「影に対して」。
「理由が何であれ、母を裏切り見棄てた事実には変りはない」
しかし『沈黙』『深い河』などの登場人物が、ついにキリストを棄てられなかったように、
真に母を棄て、母と別れられる者などいない―。
かつて暮した街を訪ね「六日間の旅行」「初恋」
破戒した神父を思い「影法師」
かくれキリシタンの里を歩きながら「母なるもの」
失われた“母”と還るべき場所を求め、長い歳月をかけて執筆されて全七篇。
「人生」を燃焼させようとする烈しい母、「生活」を大事にする父。
二人が離婚した時、幼い息子が強いられた選択は、やがて……。
2020年発見された未発表の中篇小説「影に対して」をはじめ、母を描いた名作を集成。
関連はないのですが、随分以前に読んだ『シェルシーカーズ』を思い出しました。
母が亡くなった後に遺品を整理していたら、古い流行遅れの服が見つかります。
子どもたちは、なぜこんなセンスのない母らしくない服を仕舞っていたのか?
疑問に思いつつ、さっさと処分してしまいます。
母にとってその服は、最愛の人と会ったときに着ていた思い出の服だったのです。
その人の気持ちは、誰にも推し量れないものですね。
【本】