組織改変論議と国鉄 第4話 風向きが変わってきた民営化
11月
13日
政府は、昭和29年に臨時公共企業体合理化審議会という組織を設け、公共企業体(公社)の有り方について以下の趣旨で検討する旨指示を出しました。
「公共企業体は、公企業の合理化と民主化のための新しい企業体であるが、その公共的かつ能率的経営を確保するため、なお改善を加える必要があると認められる。
これに対する改革要綱を示されたい」と諮問しました。
要は、戦後GHQ主導で作られた公共企業体という組織を、国営に戻すべきなのかそのまま現在の形態でよいのかを日本人の目で見直してみようというわけです。
この答申は、昭和29年11月に行われ、公共企業体としての形はその後も継続することが確認されましたが、これが後に国鉄の赤字体質を産むことになるのは当時既に予見できたにもかかわらず放置されてしまいました。
その点は、後ほど述べたいと思います。
この答申では、「本来の企業性を十二分に発揮するため、また同時に公共事業の本質も顧みて、改善すべきものは改善したうえ、公共企業体としての形態を存続すること」とされました。
具体的には、経営委員会の強化、合理化への取組、政府資金の手当て等がおもな要望事項とされました。
なお、鉄道部会の報告書では特に、「私企業とちがって、株主に対する利益の配分がないし、経営者に収支の決算の結果が痛切に感ぜられないと思われるので、運営当局としては常に留意すること必要」との指摘もあったのですが、この問題が国鉄問題の根本的要因として既に指摘されていたにも関わらず、ローカル新線建設の是非などは議論されたとしても鉄道敷設法そのものには言及されないなど、答申自体が中途半端なイメージを受ける結果となりました。
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