すさまじい威力を発揮する日本の弓矢の「秘密」
8月
28日
戦国の世。幾千の矢が飛び交う合戦の中、ひときわ遠くまで届き、しかも風を切るように真っ直ぐ飛ぶ矢があった。人々はそれを「神の矢」と呼び、恐れ敬った。
ある若き弓師が、その秘密を知ろうと、老いた弓匠を訪ねる。
「なぜあの矢は、他の矢よりも遠く、強く飛ぶのですか?」
老匠は静かに微笑み、一本の竹を手渡した。
「見よ、この竹は冬を越しても折れぬ。雪に押されても、しなやかに身をゆだね、やがて起き上がる。竹には、強さと柔らかさが同居しておる。その呼吸を弓と矢に移せば、風にも逆らわず、ただ自然の理に従うのだ」
若き弓師は竹を削り、心を込めて矢を作った。やがて放った矢は、狙った的を外さず、風をも味方にした。
そのとき初めて彼は悟る。
弓矢のすさまじい威力とは、力の強さではなく、自然の理を宿した「竹の心」にあったのだと。
弓矢のすさまじい威力とは、力の強さではなく、自然の理を宿した「竹の心」にあったのだと。