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【思考実験】電動スーツケースで歩道を走る自由はあるのか?

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【思考実験】電動スーツケースで...
― シニアカーと“制度のほころび”を見つめて ―
ある日、ニュースで「中国人が電動スーツケースに乗って歩道を走行し、警察に検挙された」という話題を目にした。
その光景は、突飛でユーモラスなものとして拡散されたが、ふと立ち止まって考えたくなった。
シニアカーなら合法で、電動スーツケースは違法──その線引きに法的な一貫性はあるのか?
 
制度を掘り下げてみると、驚くほど曖昧である。
まず、シニアカー(ハンドル型電動車いす)は道路交通法上、歩行者に分類されている。
最高速度6km/h以下であれば、免許もナンバーも不要。歩道の通行も認められている。
だが、これには明確な登録制度があるわけではない。
「歩行困難者のための補助機器である」という“想定”のもとで、暗黙のうちに黙認されているに過ぎない。
 
さらに特筆すべきは、シニアカーには酒酔い運転の規制が適用されないという点だ。
道路交通法第65条が禁止する「酒気帯び運転」は、車両や原動機付き自転車などに限定されており、
歩行者扱いのシニアカーには法的な制限が存在しない。
つまり、飲酒していても、シニアカーで歩道を走ることは法律上認められているのである。
 
一方で、時速6km/hも出ない電動スーツケースが、構造や見た目、用途の“印象”で「車両」とみなされ、検挙される。
ここには、明らかに制度と技術の進化の乖離がある。
見た目や目的が“遊び”に見えた瞬間、同じ速度でも歩道は許されなくなる。
では、外見がシニアカーに似ていて、使用者が高齢者であれば、同じスーツケースでも合法になるのだろうか?
こうした“現場任せ”の制度運用こそが問題の核心だ。
 
筆者自身、過去に兵庫県警と対話しながら「二人乗り電動アシスト自転車」を合法的に製作した経験がある。
当時、多くの都道府県が条件付きでタンデム自転車の公道走行を認めていたが、兵庫県は後席にペダルの有無に関する明確な記述がなく、制度上の曖昧さが際立っていた
筆者はその点を行政に確認し、後席にペダルのない構造で二人乗りを設計した。
おそらく制度の趣旨としては、「イベントなどで障がい者にも自転車体験をさせたい」という善意に基づくものであったと推測されるが、そのままでは現場の判断に委ねられかねない危うさを感じた
 
そして今回の件もまた、単なる「面白ニュース」では済まされない。
技術の進化によって、低速・安定・センサー搭載・GPS制御された新しい移動手段が実現可能になっている。
それを「形が奇抜だから」「遊びに見えるから」という理由だけで排除するのは、社会として合理的ではない。
 
制度は「危険があるから禁止」ではなく、「危険をどう制御するか」を基準に設計されるべき時代に来ている。
たとえ酔っていても、時速6km/hでゆっくり安全に帰宅できる乗り物があるなら、それを咎める社会よりも、それを許容する社会のほうが人間的ではないだろうか。
そうした気楽で合理的な暮らしを実現するには、警察官の裁量に依存する曖昧な運用ではなく、明確な基準を伴った制度改正が必要だ
 
また、世の中には「取り締まらないことが常態化している法律」も少なくない。
もし取り締まる気がないのであれば、その法律は削除すべきであり、法と現実のズレを放置することこそが混乱の根源である。
 
今回の電動スーツケースのケースも、単なる風変わりな違反ではなく、
たとえば「時速制限付きの電動キックボードを、シニアカーとして正当化する」ような新しい可能性を含んでいる。
これは制度の抜け道ではなく、制度設計そのものを問い直す契機ではないだろうか。

ワオ!と言っているユーザー

「いい人」を演じる限界──EU自動車産業の転換点

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AMGのV8ツインターボ。 左... AMGのV8ツインターボ。
左右から吸気し、Vバンク中央に向かって排気。
2つのタービンはVバンク上で回転する。
僕は、この構造がかっこいいと思えるし、この下品で迫力あるサウンドが好きだ。
かつて世界の環境政策をリードしてきた欧州連合(EU)。
しかし今、その「いい人戦略」に綻びが見え始めている。
 
中国がとった戦略は極めて巧妙だった。環境保護を旗印に掲げながら、電気自動車(BEV)の開発で世界をリードし、EU市場にも進出。しかもその手法が実に計算されていた。現地に工場を建てれば関税を回避でき、安価な中国人労働者を活用して価格競争で欧州勢を圧倒できる。これはもはや“環境ビジネス”ではなく“環境を口実とした経済侵攻”に近い。
 
ポルシェの失速に代表されるように、歴史ある欧州メーカーが軒並み苦境に立たされるなか、メルセデスAMGがV8エンジン復活に向けて動いているという報道が出た。これを単なる「懐古趣味」と捉えるべきではない。欧州はようやく、「現実」と「理想」の間に橋を架ける準備を始めたとも言える。
 
CO₂削減は重要だ。しかし、それを実現する手段はBEVだけではない。合成燃料(e-Fuel)、マイルドハイブリッド、あるいは高効率な内燃機関など、技術は多様である。にもかかわらず、欧州はこれまであまりにBEV一辺倒だった。だが、火力発電によって充電されるBEVが本当に環境に優しいと言えるのか? これは今、誰もが直面すべき問いだ。
 
中国が「環境の味方」、欧州の老舗メーカーが「環境の敵」という構図が仮に成立してしまえば、それこそ欧州の敗北である。今必要なのは、「いい人」の仮面を外し、真に持続可能で競争力のあるモビリティ社会を築く現実的な議論ではないだろうか。


 
 
 

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