最上級へのこだわり
5月
28日
これまで多くのサバニを見てきた僕達には、この艇が特別なオーラを放っている事が良くわかる。一般的に存在する同サイズのサバニから見ると、明らかに船体が細い。
これが「おじいさんが昔乗っていた、遠くに行ける船が欲しいのです」という僕達の気持ちを完全に理解した、下門おじいの入れ込み具合なのだ。
下門おじいのサバニは、安定性の高い平底の船として知られている。
しかし、おじいの話を聞いていくと、どうやらそれは現代人のために、おじいがアレンジして作っているものだと分ってきた。「今までは、素人が乗れるように作っていたから・・・。これは、一番かっこよくなるよ」
建造中のニヌハ3を前にして、下門おじい自身が語った言葉なのだ。これから仕上げられる船底は、安定感とは無縁の、昔の海人(うみんちゅ)が操っていたサバニの船底だ。
さぞや美しいことだろう。
しかし、喜んでばかりはいられない。
俊敏なスポーツカーがそうであるように、乗り手の腕もしっかりと吟味される事になるのだ。ニヌハ3にはもう1つ、大きな特徴がある。
サバニに使用されている杉材は、製材の段階で丸太の中心部分から採取した部分が一番太い(幅広い)材になる。
幅広い材を使えば、船体のつなぎ目が少なくなり、より美しい。
当然ながら、トラブルの可能性も減少する。
ニヌハ3では、まさにその一組の1番材を使用しているのだ。
しかも、正目でフシの少ないその材は、芸術的な美しささえ放っている。写真(下)からは、一組の1番材の利点がありありと分る。
船体は、お湯をかけながら、ゆっくりと曲げられていく。
しかし、これだけ長い木材だ。
通常は左右の材料の特性が異なり、最後尾を合わせる頃には5cm以上ずれてしまう。
その狂いを修正する作業も、大変なものなのだ。
しかし、このニヌハ3はどうだ。
左右が全く同じカーブを描き、最後尾でも全く狂いが生じていない。
元々面が合わさっていた材だけに、左右の相性は抜群だ。
下門おじいの几帳面で正確な作業と、最上級の材が出会うことによって、ありえないほど素晴らしいサバニが出来上がることを確信した瞬間だ。
投稿日 2007-05-28 19:02
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投稿日 2007-05-29 16:37
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投稿日 2007-05-28 23:42
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投稿日 2007-05-29 16:40
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投稿日 2007-05-29 00:25
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投稿日 2007-05-29 16:46
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