罰を受ける人
9月
1日
そのため人生をかけて懸命に働き、収入を得てもちろん多くの納税をしたうえで、数台の自動車を購入・所有しています。
普段の通勤や買い物には、あらゆる面で進化した現代の使いやすいクルマを使用しています。
使用の割合で言うと99%は、この用事がある時に「使う」クルマです。
その他に所有しているのは、いわばコレクションです。
1969年 シボレー コルベット・コンバーチブル:
高校時代に米国に短期留学した時に見た憧れのクルマ 1969年型コルベット・コンバーチブルです。
「いつかコルベットを買うのだ!」という強い思いは僕を奮い立たせ、一生懸命に仕事をする原動力となりました。
そして1996年、35歳になった頃、そのコルベットを所有する夢がやっとかないました。
FRPで構成されたコークボトル型の美しい曲線を描くボディは、それだけで芸術品と言ってもいいでしょう。
しかし、この時点で既に27年が経過している車両です。
動かせば修理・修理の連続。修理には部品調達などを含め何ヶ月もかかるのは通例です。
やっとまともに走れるようになったのは、45歳になった2006年4月のことでした。
10年間にかけたお金は、2,000万円ほど。
まさに、この修理のために頑張って働き続けた10年と言っても過言ではありません。
現在もメンテナンスを続け、実際に走行するのは、年に一度の数時間というペースです。
自動車の機能的には全くもって不要なのですが、人生を築き上げるための仕事への原動力となった一台は、なかなか手放す事ができません。
1967年 マツダ 初代ファミリア・セダン:
僕が、小学校入学前に父が乗っていたブルーのファミリアセダン。
初代ファミリア4ドアセダンが発売されたのは、1964年10月。
おそらく、父が購入したのは1965年までのはずです。
父が所有していたのは、800ccのデラックスというグレードだったと記憶しています。
今年(2022年)になってから、当時の記憶によく似た大変良い状態の初代ファミリア・セダンが販売されているのを見つけました。
1967年 マイナーチェンジ後のブルーのファミリア・セダンです。
エンジンは1,000ccとなりますが、外装の相違点は、フロントグリル形状が違うのみ。
グレードもデラックスで内装の差異は存在しないようです。
内外装、機関ともにほぼオリジナルにレストアされており、コルベットのレストア経験から考えても、前オーナーの苦労に敬意を表したくなる仕上がりです。
現代のクルマと比較するといかにも小さく、かわいらしい。
小さなベンチシートと、4速コラムシフト、細く大きなステアリングが時代を感じさせます。
日本のモータリゼーションの黎明期、日本の多くのクルマがイタリアのカロッツェリアにデザインを依頼していた時代に、日本人の若手にデザインを託したマツダ社の意欲作は、実に美しい。
歴史的な意味からも、私は早速そのクルマを購入し、当時の記憶と同じ「48-32」のナンバープレートを取得しました。
これから多少の修理を加えて故郷札幌に運び、86歳になった母に、亡き父の思い出を感じてもらおうと計画しています。
しかし、世の中には、どうしても納得のいかないことがあります。
日本の自動車に対する不公平な税金の仕組みです。
地球環境保護の観点から排出ガスが少なく、燃費のよい車はエコカー減税などの優遇措置がとられています。
それと相反して、毎年の自動車税(軽自動車の場合は軽自動車税)と車検時にかかる自動車重量税は、古い車ほど重課となっています。
自動車税は、自動車の総排気量によって税額が決まります。
新規登録から13年経過したガソリン車(ハイブリッド車を除く)・LPガス車は重課されることになり、ディーゼル車は11年以上で重課されることになりました。重課の割合はガソリン車(ハイブリッド車を除く)・LPガス車は各排気量とも約15%です。
ターボ車は少ない排気量にたくさんの燃料と空気を送り込む仕組みですがそこは考慮されず、ただ単に排気量が大きく、古いクルマを所有する事が環境に悪影響を与えると考えて作られた罰則ととらえる事ができます。
前出の1969年製コルベットは、修理の過程でGM社製の最新のエンジン(ZZ572 9400cc)が搭載されています。(構造変更届け出済み)
しかし、排気量が6,000ccを超えるため、自動車税は111,000円。
そして新規登録から13年以上が経過しているため、重課された自動車税は年間127,600円となります。
車両重量税は、エコカー(20,000円)以外の2トンまでの車両ですので32,800円。 新規登録から13年、18年が経過する車両は段階的に重課されるため、結局重量税は50,400円となります。
人生の成長と共に歩んできたクルマを所有する私に、いったいどんな罪があるというのでしょうか?
地球環境保護というのであれば、年間たった1日しか乗らない私のコルベットは表彰こそされても、罰を受けるようなことはしていません。
エコカーと言えども走行距離が多ければ、それだけ燃料を消費しその分環境への負担が増えます。
年に1度しか給油しない私のコルベットが、年間1万キロ以上走るプリウスより環境に対する税金が高い理由を示してもらいたいものです。
古くて重量が重いクルマほど重課となる重量税でも理屈は同じです。
そもそも、走行距離が少なければ少ないほど、世間様にご迷惑をおかけしていないはずです。
排気量・重量が違う為金額は変わりますが、ファミリアも同様にそれぞれ重課がかかります。
このような古いクルマと現在のクルマを比較すると、加速・ブレーキ性能、衝突安全性能、快適性など、あらゆる面で劣っています。
また、古いがゆえに、あらゆる金属部分のさび、パッキンやホースなどの劣化、プラスチックの劣化、そして配線類の劣化があり、どんなに入念に整備をしても信頼性に欠けるため、実用として利用する事や、長時間・長距離の走行には全く向いていません。
つまり、新車と同列の走行距離を前提とした重課のあり方は、実体とかけ離れていると言わざるを得ません。
もう一つ大きな矛盾として憤りを覚える事は、地球環境保護の観点からといいながら、複数台のクルマにそれぞれ重課がかけられているという事です。
僕の身体は一つですから、同時に何台もの車を動かし、地球環境により悪影響を及ぼすことは、物理的に不可能だからです。
ガレージに並ぶこの美しい2台を所有し、苦労を重ねながら維持する事で罰を受けている現状に、僕は全く納得できません。
古き良き時代を大切にする心を忘れさせるような税のあり方は、日本の自動車産業を保護するのではなく、むしろ自動車の文化を傷つけてしまうのではないでしょうか?
これらの事から、僕は国と地方自治体を相手として損害賠償の請求を行いたいと考えています。
投稿日 2022-09-02 07:56
ワオ!と言っているユーザー
投稿日 2022-09-02 09:20
ワオ!と言っているユーザー