目の前で焼き上げる興奮と感動 ファストフード・ステーキハウス『ペッパーランチ』
ステーキ専門のファストフード・チェーン『ペッパーランチ』が、今年3月21日にニューヨーク初上陸を果たし、そのわずか3カ月半後の7月3日に2号店を開店し、注目されている。
同店では、来店後まず注文・会計を済ませ、テーブルに着席し待っていると、熱々の鉄板が運ばれてきて、客自らステーキを焼き上げるというスタイル。好みの焼き加減に仕上げられるだけでなく、同店オリジナルのステーキソースや追加トッピングを加え、好みの味付けに調えることができる。上質のステーキ肉を安価に食べられることも人気に拍車をかけ、現在では、世界16カ国に約470店舗(うち日本国内136店舗)を展開している。
同チェーンを運営する『株式会社ペッパーフードサービス』(米国法人『Kuni’s Corporation』)の米国初進出は2017年2月のこと。量り売りしたステーキを立ち食いするという独自性と低価格がウリで日本国内でも圧倒的な人気を誇る『いきなり!ステーキ』を、ニューヨークのイーストヴィレッジ地区に開店し話題となった。その後わずか2年でニューヨーク市内に11店舗まで拡大。2018年10月には、日本の外食産業では初となるナスダック上場も果たした。しかし、その後の業績不振により、大幅な戦略変更を強いられ、今年に入って7店舗を閉店したほか、今秋にはナスダック上場廃止することも発表した。
「当時は、日本でのやり方を再現することに固執していた。怖いもの知らずで無謀だった」と潔く語るのは、創業者で代表取締役社⻑の⼀瀬邦夫氏。「誰に何をいくらで提供するのか。米国進出では、この点を最初から間違えてしまった」と続ける。本場・米国では、ステーキは贅沢で特別な料理。同店が提供するステーキの品質や美味しさは高く評価されたものの、低価格や立ち食いといったコンセプトが浸透しなかった。また急速に店舗拡大したことやチップ制を導入しなかったことで、従業員採用や育成に苦戦し、サービスの質低下を招いてしまった。そして、今回、大幅な軌道修正を図った結果、残した4店舗のうち2店舗で『いきなり!ステーキ』継続しブランド力を高めることに注力し、もう2店舗では海外での出店実績が豊富にある『ペッパーランチ』を展開する。
『ペッパーランチ』の海外進出は14〜15年前、シンガポールが最初だった。その後、オーストラリアへ拡大し、現地ニーズに合わせてメニューや運営面も、日本とは違う発展を遂げていった。2018年にはロサンゼルスにも2店舗開店。ニューヨークの新店舗では、これら海外での成功事例を大いに取り入れた展開となっている。
同店を代表するメニューは、ステーキ肉とご飯を炒飯のように焼き上げる「ペッパーライス」だが、ニューヨーク1号店の開店以降、客の要望を迅速に吸い上げ、海老やサーモンなど魚介類を取り入れたペッパーライスも開始した。また、安定需要があるステーキに加え、米国ではあまり見かけないハンバーグやカレーを組み合わせたメニューも追加した。さらにはステーキ2種類や、ステーキとハンバーグの組み合わせなど、コンボメニューも加えた。牛肉は、USDA認定アンガス牛のうち、トップ36%の品質のみ採用している。カップ酒も提供し、評判は上々だ。客自ら、ジュージューと音や香りを立てながら調理して食べる興奮や感動で、着々とファンを増やしている。
年内にはラスベガスにフランチャイズ店を開店予定だ。「日常的にステーキを食べるカジュアル・ステーキ文化、ジャパニーズ・ステーキを米国に広めたい」という一瀬氏の野望はとどまることがない。
Pepper Lunch Broadway
243 W 54th St. New York, NY 10019
(917) 472-7158
Pepper Lunch Chelsea
154 7th Ave, New York, NY 10011
(917) 409-5857
https://pepperlunch-usa.com/
Mon.-Sun. 11:00am-11:00pm
(Last Call: 10:30pm)