2017年5月「アルツハイマー病の話」講師:三橋将人氏
2017年5月のセミナー
タイトル: 「アルツハイマー病の話」
講師: 三橋将人(みつはし まさと)氏プロフィール
日本では小児科医。1985年にUCサンフランシスコ校に留学後、1990年からアーバイン在住。UCアーバイン校キャンパスにあるHitachi Chemical Research CenterのChief Scientific Officer、同大学病理学Associate professor兼任を経て、2014年にNanoSomiX社設立、Chief Technology Officerとしてアルツハイマー病の血液診断開発に従事。
アルツハイマー病------配布資料
2017年5月10日
三橋将人
Masato Mitsuhashi、MD、PhD
---------------------------------------------------------------------------------------
1.認知症(dementia)とは
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
要するに検査結果で判断するのではなく、臨床診断です。
2.認知症の診断(臨床症状が基本)
日本の場合
http://www.ninchi-k.com/?page_id=221
米国の場合 http://www.dementiatoday.com/wpcontent/uploads/2012/06/MiniMentalStateExamination.pdf
認知症のタイプ
https://info.ninchisho.net/type
タイプによって治療法が異なるので正確な診断が重要。
3.アルツハイマー病
認知症の中で最も多いタイプ
Dr. Alzheimerが最所に報告した病気で、彼自身は正常
その後、死後の解剖所見から、脳内のプラック(アミロイドの沈着)と神経細胞のタングル(タウタンパクのリン酸化)という二つの特徴的な所見が見つかった。
さらにPETスキャンでアミロイドやタウタンパクの脳内の状態がわかるようになった。
また、CTやMRIなどの画像診断検査の結果、海馬の萎縮がアルツハイマー病と関係することもわかってきた。
上記のような検査ができてくると、臨床状態と検査結果が一致しない症例が見つかり、多少の混乱が生じている。
4.アルツハイマー病の治療
異常タウの除去
LTMX(TauRx)
AADvac1ワクチン(Axon)
アミロイドの除去
Beta-secretase (BACE) inhibitor
MK-8931 (Merck)
Anti-beta amyloid antibody
Solanezumab(Eli Lilly)
Aducamumab(Biogen)
異常・過剰タンパクの除去
Autophagyの活性化、正常化
昨年のノーベル生理医学賞
5.アルツハイマー病の治療
新しい治療薬は脳内のアミロイドを除去する!
↓
しかし、臨床的に効果なし!
↓
ということは、
アルツハイマー病と診断されてから治療したのでは遅い!
6.今後の治験の課題
神経のネットワークがまだ保たれている早期に治療を開始する。
どうやって症状が出る前に患者を見つけることができるか?
超早期のスクリーニング法の確立が大きな話題。
PETスキャンで確認?
症状が出る前(=病気ではない人)を治療してよいのか?
7.アルツハイマー病の超早期診断
生検Biopsy: 倫理的に不可能
画像診断: 高価
髄液検査:侵襲的
血液検査:今注目の的
Nanosomix社ではエクソゾームを対象とした血液検査を開発中
8.アルツハイマー病の予防
残った神経ネットワークの整備が予防につながる
ロサンジェルスの交通網に例えると、事故車がプラックで、
故障者がタングル。
渋滞を緩和するには
道路の整備
=血管を良い状態に保つ
=高血圧、動脈硬化を避ける
=運動をして血流を上げる
救護車両の充足
=障害への迅速対処
=免疫を良い状態に保つ
車のメインテナンス
=血液を良い状態に保つ
=高血糖、高脂肪を避ける
9.南カリフォルニアの専門医
UCI: 90+ Study、Dr. Claudia Kawas
https://www.mind.uci.edu/research-studies/90plus-study/
Rates of dementia increased exponentially with age from
12.7% per year in the 90-94-year age group, to 21.2% per year in
the 95-99-year age group, to 40.7% per year in the 100+-year age group.
UCLA: ライフスタイルの改善による予防、Dr. Dale E Bredesen
http://mariashriver.com/blog/2016/09/alzheimers-prevention-dale-bredesen-maria-shriver/
-----------------------------------------------------------------------------------------------
サウスベイ マネジメント セミナー(South Bay Management Seminar)はアメリカ・ロサンゼルスのサウスベイ地域を中心とする日本人メンバーで組織されたビジネス、一般教養などの勉強会です。1995年4月に設立され、同年6月に第1回セミナーを開催し、以降原則として毎月1回セミナーを行い、会員がアメリカで企業経営に携わるうえで日々直面 する様々な問題について専門家を招いて勉強したり、会員同志で研究・話し合い等を行っています。
---お問い合わせ---
<SBMSへのお問い合わせ>
http://sbmseminar.org/contact
WEB: サウスベイ マネジメント セミナー(South Bay Management Seminar)
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タイトル: 「アルツハイマー病の話」
講師: 三橋将人(みつはし まさと)氏プロフィール
日本では小児科医。1985年にUCサンフランシスコ校に留学後、1990年からアーバイン在住。UCアーバイン校キャンパスにあるHitachi Chemical Research CenterのChief Scientific Officer、同大学病理学Associate professor兼任を経て、2014年にNanoSomiX社設立、Chief Technology Officerとしてアルツハイマー病の血液診断開発に従事。
アルツハイマー病------配布資料
2017年5月10日
三橋将人
Masato Mitsuhashi、MD、PhD
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1.認知症(dementia)とは
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」をいいます。
要するに検査結果で判断するのではなく、臨床診断です。
2.認知症の診断(臨床症状が基本)
日本の場合
http://www.ninchi-k.com/?page_id=221
米国の場合 http://www.dementiatoday.com/wpcontent/uploads/2012/06/MiniMentalStateExamination.pdf
認知症のタイプ
https://info.ninchisho.net/type
タイプによって治療法が異なるので正確な診断が重要。
3.アルツハイマー病
認知症の中で最も多いタイプ
Dr. Alzheimerが最所に報告した病気で、彼自身は正常
その後、死後の解剖所見から、脳内のプラック(アミロイドの沈着)と神経細胞のタングル(タウタンパクのリン酸化)という二つの特徴的な所見が見つかった。
さらにPETスキャンでアミロイドやタウタンパクの脳内の状態がわかるようになった。
また、CTやMRIなどの画像診断検査の結果、海馬の萎縮がアルツハイマー病と関係することもわかってきた。
上記のような検査ができてくると、臨床状態と検査結果が一致しない症例が見つかり、多少の混乱が生じている。
4.アルツハイマー病の治療
異常タウの除去
LTMX(TauRx)
AADvac1ワクチン(Axon)
アミロイドの除去
Beta-secretase (BACE) inhibitor
MK-8931 (Merck)
Anti-beta amyloid antibody
Solanezumab(Eli Lilly)
Aducamumab(Biogen)
異常・過剰タンパクの除去
Autophagyの活性化、正常化
昨年のノーベル生理医学賞
5.アルツハイマー病の治療
新しい治療薬は脳内のアミロイドを除去する!
↓
しかし、臨床的に効果なし!
↓
ということは、
アルツハイマー病と診断されてから治療したのでは遅い!
6.今後の治験の課題
神経のネットワークがまだ保たれている早期に治療を開始する。
どうやって症状が出る前に患者を見つけることができるか?
超早期のスクリーニング法の確立が大きな話題。
PETスキャンで確認?
症状が出る前(=病気ではない人)を治療してよいのか?
7.アルツハイマー病の超早期診断
生検Biopsy: 倫理的に不可能
画像診断: 高価
髄液検査:侵襲的
血液検査:今注目の的
Nanosomix社ではエクソゾームを対象とした血液検査を開発中
8.アルツハイマー病の予防
残った神経ネットワークの整備が予防につながる
ロサンジェルスの交通網に例えると、事故車がプラックで、
故障者がタングル。
渋滞を緩和するには
道路の整備
=血管を良い状態に保つ
=高血圧、動脈硬化を避ける
=運動をして血流を上げる
救護車両の充足
=障害への迅速対処
=免疫を良い状態に保つ
車のメインテナンス
=血液を良い状態に保つ
=高血糖、高脂肪を避ける
9.南カリフォルニアの専門医
UCI: 90+ Study、Dr. Claudia Kawas
https://www.mind.uci.edu/research-studies/90plus-study/
Rates of dementia increased exponentially with age from
12.7% per year in the 90-94-year age group, to 21.2% per year in
the 95-99-year age group, to 40.7% per year in the 100+-year age group.
UCLA: ライフスタイルの改善による予防、Dr. Dale E Bredesen
http://mariashriver.com/blog/2016/09/alzheimers-prevention-dale-bredesen-maria-shriver/
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サウスベイ マネジメント セミナー(South Bay Management Seminar)はアメリカ・ロサンゼルスのサウスベイ地域を中心とする日本人メンバーで組織されたビジネス、一般教養などの勉強会です。1995年4月に設立され、同年6月に第1回セミナーを開催し、以降原則として毎月1回セミナーを行い、会員がアメリカで企業経営に携わるうえで日々直面 する様々な問題について専門家を招いて勉強したり、会員同志で研究・話し合い等を行っています。
---お問い合わせ---
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http://sbmseminar.org/contact
WEB: サウスベイ マネジメント セミナー(South Bay Management Seminar)
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