BCA土曜学校 ブログ
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BCA土曜学校のコラムVol.60 〜「ひく」〜
四年生の一学期最後の授業は「いろいろな意味をもつ言葉」の学習でした。担任の先生が、とても楽しい授業だったと様子を教えてくださいました。
この時間は、いろいろな意味をもつ言葉に興味を持つことを目標に、川崎洋さんの「とる」という詩を読むところからスタートしました。
はっけよい すもうとる こんにちは ぼうしとる てんどんの でまえとる
セーターの ごみをとる のらねこの しゃしんとる
それぞれの「とる」の意味を学んだあと、この詩の続きを示し
かんごふさん 〇〇〇をとる おはなみの 〇〇〇をとる 〇〇〇の しきをとる
たんじょうび 〇〇をとる リリリリリ 受話器とる
丸の中に入る言葉を自由に考えました。そして最後に作者の詩の言葉を確認しました。
この後、辞書を使って「とる」という言葉にはいろいろな意味があることを学習し、次は「とる」と同じパターンで、「ひく」で終わる文を考えました。そして、一人ひとりが考えた文を合わせてクラスの詩が出来上がりました。
◇Aクラスの詩
りょう理に使う 牛肉をひく 算数で 4から1をひく
大すきな カードをひく フライパンに 油をひく
あのこ子はみんなの 注意ひく つるつるつるつる ひもをひく
お兄さんが ギターひく おうちに 電話をひく
ぐちゃぐちゃの くじをひく んーせーの つなをひく
のこぎりで 木の板をひく
◇Bクラスの詩
辞書を使って 言葉ひく やさしく バイオリンをひく
かみの毛の バンドひく おうちに 水道をひく
魚の あみをひく やった! カメをひく
ドレミファソ 楽きひく よいしょよいしょ つなをひく
ビリビリビリ 電池ひく あったあった 意味をひく
気をつけて いすをひく わくわくわく カードひく
クラスのみんなで作った詩、とても素敵です。子ども達の感性と生活の様子が伝わってきます。
この後の意味の確認や問題作りもとても意欲的に取り組んだとのことです。
今年度、BCAでは主体的・対話的で深い学びの視点から授業改善を目指したカリキュラムを目指しています。
言葉遊びの楽しさから言葉に興味を持った4年生の皆さんの言葉の世界が、これからどんどん広がりそうでとても楽しみです。
イラストは、BCA長友裕子先生の作品です。
(子ども達の作品は、読みやすいように一部修正してあります。)
6月1日
BCA土曜学校のコラムVol.59 〜私の枕草子〜
清少納言の「枕草子」は、高い教養を持つ清少納言が一条天皇の中宮定子に仕えている中で綴った随筆で「徒然草」や「方丈記」とともに日本の三大随筆にあげられています。
中高国語2の教科書には、「春はあけぼの」の段が載っています。この段では、四季それぞれの好きな時間帯をあげその趣を書き綴っています。
授業では、生徒さんが一番と感じる四季それぞれの風物をひとつあげ、それに簡潔な説明を加えるという「私の枕草子」を書きました。
一人ひとりの豊かな感性が表現された素敵な随筆が書きあがりました。
1 春はしだれ桜
小さなつぼみが開く。少しずつ、少しずつ。
ピンク色の世界が広がる。
夏は花火
ぱっと光って、金のきらめきが飛び散る。
暗い夜空に大きな花が咲く。
秋は紅葉
赤、黄、橙色。踊りながら地面に落ち、
色とりどりのカーペット。
冬は氷柱
陽にあたってキラキラ輝く。
めったに見えない冬の宝石。自然のダイヤ。
2 春はそよ風
草むらの僕の体にそそぐ甘い花の香り。
香りを遠くまで送り続けて自分を輝かせる、春はそよ風。
夏は夕立
木の間から怒鳴り続ける風。
竹をもしなやかにくねらせ、雷を鳴り散らす、夏は夕立。
秋は追い風
強く押しつける秋風。
僕は精一杯走りたい気持ちになっていい汗をかく。秋は追い風。
冬は吹雪
横から殴りつける大雪。
目の前がほとんど見えなくなる日は暖炉の前で丸くなる。冬は吹雪。
ここでは二作品紹介しましたが、いずれも素晴らしい作品ばかりです。
作品の交流も、いい雰囲気の中で活発に行われました。
感じる心は、時代をこえても、国をこえても変わらないものだということを確認できた時間でした。
5月25日
BCA土曜学校のコラムVol.58 ~和敬清寂~
BCA土曜学校では、淡交会の皆様のご協力を得て今年度もお茶の授業が行われています。
お茶の授業がある朝は、清水校長先生が自ら畳を丁寧に水拭きしお花を花瓶に生けるところからスタートしています。
茶道を行うときは、茶室に季節の花を飾り茶会のテーマにそった掛け軸がかけられます。
今、BCAの茶室に飾ってある掛け軸の言葉は「和敬清寂」です。
この言葉は、茶道の精神を表現するのに用いられた語で和敬は茶事における主客相互の心得を、清寂は茶庭・茶室・茶道具などに関連する心得を表しているのだそうです。
熱中小学校で講演してくださった淡交会幹事長の田中佳子先生は、
茶道の四規と言われるこの四つの言葉には一文字づつに深い意味があると教えてくださいました、
「和」はHarmony。和合、調和、和楽。
聖徳太子から伝わる「和をもって貴しと為す」と言われている精神で、和して互いにお茶を楽しむという意味を表す言葉。
「敬」はRespect。自己を慎み、他人を尊敬すること。
人だけではなくすべての物に対しても尊重する精神で、掛け軸、花、茶入れや茶碗などの道具も含めすべてのことに敬う気持ちを持つことを表す言葉。
「清」はPurity。清潔、清廉。
茶室にかかわるすべての物を清潔にするという精神で、茶室はすみずみまで掃除をし、道具は手入れをして清潔に使うことを表す言葉。
目に見えるものだけでなく心の中も清らかにするという意味も表すそうです。
「寂」はTranquility。静寂、閑寂
侘び寂びの精神で、何事にも動じない心を持つこと。もの静かで落ち着いた奥ゆかしい風情が、洗練されて自然と外に出た言葉。
このように「和敬清寂」には一字一字に意味があり、茶道が華美に流れていくことを戒めた千利休の言葉だと言われています。
この精神は、今を生きる私たちにも必要な精神的な支えになる言葉のような気がします。
土曜学校の皆さんには、お茶の授業を通して作法とともに茶道の精神を感じてもらえればと思います。
5月18日
BCA土曜学校のコラムVol.57 〜母〜
「母」という文字を見たときに、どのような感じをうけますか。
「母」という文字は、ひざまずいている女の人が手を前で重ねてうやうやしく霊所を拝んでいる「女」に胸の乳房を加えたのが語源だと言われています。両手で子を抱きかかえている姿、子供に乳を与えている姿とも言われ、その様子から子どもを産んで養い育てる女性を意味する「母」という文字が成り立ちました。
「母」が入った素敵な言葉を少し紹介します。
〇人生は、目を開いて母の顔を愛するところから始まった。(ジョージ・エリオット)
〇母親の腕は、他の誰の腕よりも慰めを与える。(ダイアナ妃)
〇子に対する母親の愛に匹敵するものは、この世にない。(アガサ・クリスティ)
〇母親の心は深き淵であり、その底には、いつでもゆるしが見つかる。(オノレ・ド・バ ルザック)
〇受容、寛容、勇気、思いやり。そういったことを、母は私に教えてくれました。(レディー・ガガ)
〇一家は習慣の学校なり、父母は習慣の教師なり。(福沢諭吉)
〇母親の愛は、普通の人間に不可能を成し遂げさせる燃料。(マリオン・C・ギャレッティ)
〇生涯の成功のすべては、母から与えられた道徳教育、知的教育、身体教育のおかげなのです。(ジョージ・ワシントン)
12日は、アメリカも日本も「母の日」を祝いました。アメリカにならって日本は5月の第2日曜日ですが、世界中では起源も日付もさまざまです。
アメリカの「母の日」は1914年に記念日として定められました。アンナ・ジャービスという女性が亡くなった母を偲び、母が日曜学校をしていた教会で追悼式を開き、白いカーネーションを贈ったことが起源とされています。彼女の母への思いに感動した人々が最初の「母の日」を祝ったのが5月の第2日曜だったことから、それ以降5月の第2日曜を「母の日」と定めたのだそうです。
100年以上も前から行われている「母の日」、土曜学校の皆さんは大好きなお母さんにどのように感謝の思いを伝えたのでしょうか。
無償の愛をそそいてくれるお母さんが、いつもそばにいてくれることの幸せを確認できた日になったでしょうか。
5月11日
BCA土曜学校のコラムVol.56 〜令和〜
日本では、5月1日に皇太子徳仁親王が即位され、元号が「平成」から「令和」に改められました。
西暦で生活しているアメリカの皆さんには馴染みのない元号ですが、日本人にとっては生涯に一度か二度しかない貴重な節目となりました。
それに伴い今年のゴールデンウィークは10連休となり、学校も職場も今日から新元号「令和」でのスタートです。
新元号は西暦645年の大化から数えて248番目ですが、今までになかったことは天皇退位に伴う改元は憲政史上初で、新元号が皇位継承に先立って事前発表されるのも初めてだと報じられています。
「令和」は、万葉集の巻五、梅花の歌三十二首の序文、「初春の令月にして気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭(らん)は珮(はい)後の香を薫らす」から引用されました。元号は今まで中国の古典を出典としてきたので、漢字が日本の古典から漢字が採用されたのは初めてということです。
「令」は、深い儀礼用の帽子(冠)とひざまずいている人の象形から、人がひざまずいて神様のお告げを聞くことを示す文字で、上位の人の「みことのり・いいつけ」の意味を持ちます。命のもととなる文字でもあり、神のお告げを受けその意に従うことから「よい・立派」の意味もあります。
・令嬢(貴人や他人の娘を敬って言う語)・令息、令子(他人の息子を敬って言う語)
・令室(他人の妻を敬って言う語)・令聞、令名(良い評判)
・命令(下位の者に対して言いつける)などの言葉に用いられています。
「和」は、口と禾(のぎへん)「穂先が茎の先端に垂れかかる」象形から、神への祈りの文を入れる器と穂がしなやかに丸く垂れた様子を表すを示す文字で、「やわらぐ・やわらげる・なごむ・なごやか」という意味を持ちます。
・和解、和睦(仲直りすること)・和気(なごやかな気分)・和親(仲良くすること。国と国とが仲良くつきあうこと)・和楽(なごやかに楽しむこと)・平和(不安を感じないで生活できること)など、
穏やかなイメージの言葉として用いられています。
梅花の歌三十二首の序文を書いた大伴旅人は、知識人らしい才能を発揮した歌人で大伴家持の父親でもあり山上憶良とも親交があった人です。万葉集から引用された「令」と「和」の語源にあたり、文学的な美しい言葉だと思いました。
元号が改められた今、日本にもアメリカにも他の国々にもこれからいい時代がくることを心から願っています。